調査で判明、中国の調査船が海底ケーブル付近に他国の船舶より長く停泊
FORUMスタッフ
新たな分析によると、中国の調査船が、太平洋全域の重要な海底通信ケーブルの周辺で、他の約50か国の船舶に比べて不釣り合いに多くの時間を費やしていることがわかった。
ワシントンD.C.に拠点を置くシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が2026年10月に発表した分析によると、この調査結果は、「軍事的に重要な価値を持つ海底データが得られる可能性のある地域において、活動が継続的に行われている」ことを示している。
2025年12月までの5年間を対象としたこの分析は、自国海域で許可なく活動する中国の調査船に対し、インド太平洋諸国の懸念の高まりを数値化するのに役立っている。
CSISの報告書は、米国とその同盟国・パートナー国に対し、多国間の取り組みをさらに発展させ、海洋領域認識を強化し、海洋法を執行し、侵入行為を公に明らかにするとともに、海底通信システムの維持管理を改善することを推奨している。 海底ネットワークは世界のデータ通信量の95%以上を伝送しており、インド太平洋地域は10年以上にわたり海底ケーブル敷設の主要な地域となっている。
CSISの分析は、47か国の200隻を超える民間調査船を対象としている。 その結果、中国籍以外の船舶は、公海上の海底ケーブルの周辺で多くの時間を費やしていないことが判明した。 特に2024年は中国の活動が際立っており、同国の7隻の船舶が海底インフラの周辺での滞在時間において上位20パーセント(80パーセンタイル)を上回った。
同調査報告書は、「この持続的かつ不釣り合いな活動は、中国が、調査船団を水中データの収集に活用し、破壊工作や潜水艦作戦に向けた海底地形の体系的な分析に役立てている可能性を示している」と指摘した。
CSISの分析によると、こうした活動は権威主義国家の戦術に見られる、より広範な傾向の一例である。すなわち、武力紛争に至らないグレーゾーン作戦において、国有の民間資産を軍民両用の手段として投入する傾向を示している。
バルト海、紅海、南シナ海などの世界情勢の緊迫地域を含め、世界各地で海底ケーブルの破壊工作が増加している。 中国は台湾に陸揚げ拠点を持つケーブルを標的にしている疑いがあり、これを受け、台湾は海巡署による24時間体制の巡視を実施し、ブラックリストに掲載された中国関連船舶を監視している。 中国共産党は台湾を中国の一部であると主張し、武力によって併合すると脅している。
調査船には、持続可能な漁業や資源管理に役立てるため、海洋生物や生態系を研究する実験室や科学機器が備えられている。 分析によると、それらを軍事目的で利用すれば、「国家レベルの諜報・監視・偵察(ISR)を行いながら、軍事目的での利用についてもっともらしい否認をすることも可能になる」という。
CSISは、中国による軍民両用の疑いがある任務について詳述しており、その中には、2024年7月から10月にかけて「向陽紅(Xiang Yang Hong)」調査船団の船舶が関与した事例も含まれている。 当初、この船舶は、米国本土と、オーストラリア、グアム、インドネシア、ミクロネシア、パラオ、フィリピン、シンガポール、東ティモールなどの島国や地域を結ぶ3本の海底ケーブルが交差する海域で活動していた。 この船舶の動きは、海底ケーブルに焦点を当てたISR任務から、鉱物資源の埋蔵が見込まれる海底の地形を調査する民間任務へと切り替えた可能性が高いことを示している。
「交差するケーブルシステムのいずも、中国に拠点を置く事業体が所有・運営しておらず、これは中国に拠点を置くシステムを避けていることを示している」とCSISは指摘している。 調査船は通常、芝刈り機の動きで前後に往復しながら航行する一方、ケーブルを監視する船舶は、その真上をたどるように航行する。
科学研究が軍事目的に役立つ場合もあると、米国海軍当局者は指摘している。 例えば、中国が水温、塩分濃度、海流に関するデータを収集することで、中国人民解放軍海軍はソナーの性能や長距離の水中監視能力を最適化できる。
CSISの調査で指摘された活動パターンは、2026年に入っても続いている。 オーストラリア放送協会(ABC)の報道によると、5月、極域調査用に設計された中国の船舶が、西太平洋の熱帯の島国パラオの排他的経済水域(EEZ)内に約75キロメートル侵入し、そこで14時間にわたり活動した。
パラオのスランゲル・ウィップス・ジュニア(Surangel Whipps Jr.)大統領は7月にも別の侵入事案について言及し、「中国は我々の光ファイバーケーブルの真上で測量を行っており、水中には機材が置かれているため、我々にとって安全保障上の懸念となっている」と述べた。
オーストラリア、インド、日本、フィリピン、台湾は、同様の侵入事案を長年にわたって報告している。 同盟国やパートナー国の対応は、非難から阻止行動に至るまで多岐にわたる。 インドは2019年11月、中国がスパイ行為を行っていると非難し、調査船「実験1号(Shi Yan 1)」を退去させるために海軍艦艇を派遣した。
国連海洋法条約は、海上での調査および測量に関する限定的な法的枠組みを定めており、他国の排他的経済水域や大陸棚におけるこうした活動には沿岸国の同意が必要であると規定している。 中国は同条約を批准しており、これを遵守していると主張している。



