パートナーシップ東南アジア

2050年構想、仏・インドネシア間の戦略的協力を深化

ガスティ・ダ・コスタ(Gusty Da Costa)

フランスとインドネシアは、2025年5月下旬にエマニュエル・マクロン大統領のインドネシア公式訪問に合わせて発表された画期的な構想「ジョイント・ビジョン2050(Joint Vision 2050)」の立ち上げを通じて、両国間の関係を格上げした。 長期的な戦略目標に基づくこの協定は、インド太平洋地域の安全保障体制の進化に大きな影響を与える可能性のある防衛協力の深化を示している。

マクロン大統領は今回の訪問を「重要な瞬間」と表現し、新たに署名された意向表明書により、戦闘機、潜水艦、フリゲート艦といったフランスの主要な軍事装備の受注を通じて、「新たな展望が開かれる可能性がある」と述べた。 インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領(Prabowo Subianto)は、フランスを「防衛装備の近代化におけるインドネシアの主要パートナーの一つ」と位置づけ、「地域の安定維持に対する共同のコミットメント」を強調した。

この防衛パートナーシップは、インドネシアが近年フランスから取得した装備に基づいて構築されている。 インドネシアの防衛アナリスト、ベニ・スカディス(Beni Sukadis)氏によると、インドネシア政府はラファール(Rafale)戦闘機42機とスコルペヌ(Scorpène)型潜水艦2隻を発注しており、後者は国有造船会社PT PALと協力して国内で共同製造される予定である。 これらの契約は、プラボウォ氏が国防相を務めていた時期に開始されたもので、軍事能力の近代化と防衛産業の強化というインドネシアの二重の優先課題を反映している。

スカディス氏はFORUMに対し、「ジョイント・ビジョン2050は、防衛産業、共同軍事演習、海洋安全保障および防衛技術の強化を含む、さまざまな戦略分野での協力を深めるという相互のコミットメントを示すものだ」と語った。

同氏によれば、この協定は単なる兵器売却にとどまらず、共同訓練、技術移転、防衛教育の拡充を含むプログラムへと拡大されている。 マクロン大統領とプラボウォ大統領は、インドネシアのマゲランにある陸軍士官学校を訪問し、戦術・作戦面での協力強化の取り組みを強調した。 フランスは、インドネシアの士官候補生を自国の軍事教育機関に招き、相互運用性と能力構築を強化するための共同訓練に参加させることを提案している。

インドネシア大学の講師ジェラング・ラマダン(Dr. Jelang Ramadhan)氏はFORUMに対し、「軍事協力と多数のラファール戦闘機の購入は、インドネシアとフランスの関係を強化するものであり、特に南シナ海においてフランスの地域的プレゼンスを拡大することにもつながる」と述べた。 「普遍的防衛という考え方の根底にあるのは、最新技術を掌握する者が最も優位に立つ、ということだ」とラマダン氏は語った。

スラバヤの安全保障戦略研究所(Institute for Security and Strategic Studies)共同創設者カイルル・ファフミ(Khairul Fahmi)氏はFORUMに対し、「ジョイント・ビジョン2050のような取り組みを通じて、インドネシアは共同生産、技術移転、技術研修を含む、より対等で戦略的な関係を構築しつつある」と語った。 同氏は、それはインドネシアが正式な同盟には加わらずに、インド太平洋地域の安全保障の力学に影響を与えていく意図を示していると述べた。

フランス海軍の空母シャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)のインドネシア海域への最近の派遣をはじめとする同地域におけるフランスの長期的な軍事プレゼンスは、より広範なインド太平洋戦略を反映していると、専門家らは指摘している。

インドネシア大学戦略・国際問題研究学部のムハンマド・シャロニ・ロフィ(Dr. Muhammad Sya’roni Rofii)博士は、「フランスのプレゼンスは、地域におけるヨーロッパの存在感を映し出している。 それは、勢力均衡を維持する役割を果たし得る」と述べる。

専門家らは、ジョイント・ビジョン2050が、地域防衛協力の設計図として機能し得ると考えている。 この協定は、戦略的自律性を追求するインドネシアの姿勢を裏付けるとともに、重要な地域におけるフランスの役割を高め、長期的なパートナーシップによって形成される多極的なインド太平洋安全保障の枠組みを示唆している。

ガスティ・ダ・コスタは、インドネシア・ジャカルタ発信のFORUM寄稿者。

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