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インドネシア、中国管理下のニッケル加工施設の環境違反を処罰する方針

ザ・ディプロマット(The Diplomat)

インドネシア政府は、スラウェシ島の大規模なニッケル加工拠点における環境違反に関して、関連企業に制裁措置を科す方針を表明した。 ブルームバーグによると、2025年6月、インドネシア環境省は、広大なインドネシア・モロワリ工業団地(Indonesia Morowali Industrial Park ‐ IMIP)で重大な環境保護規則違反を発見したと発表した。

同省は、IMIPが当初の環境影響評価報告書に記載していなかった18平方キロメートルの土地に処理施設を建設し、その他の活動を行なっていたことを確認した。 モロワリ工業団地は、排水と空気汚染の管理を怠り、基準値を超えていた。 同省はまた、IMIPの周辺で推定1,200万トンの鉱滓を発見した。

インドネシアのハニフ・ファイソル・ヌロフィク(Hanif Faisol Nurofiq)環境大臣は声明で、同施設は「環境認可の対象外となる活動を中止しなければならない」と述べたとロイター通信が報じている。

ブルームバーグによると、IMIPは中国のステンレス鋼大手の青山鋼鐵集団(Tsingshan Holding Group Co.)が支配する企業で、中央スラウェシ州に位置し、10万人以上の従業員と請負業者を雇用している。 そのテナントのほとんどが、インドネシアが世界最大の埋蔵量を保有するニッケル原鉱の加工に従事しており、ステンレス鋼や電気自動車(EV)のバッテリーに使用されている。 ロイター通信が引用した鉱業協会のデータによると、同工業団地は2024年にインドネシアのニッケル銑鉄の約20%を生産した。

環境省は、認可された活動範囲を超える事業の停止を命じ、違反した企業には罰金を科す方針を示した。 環境法執行総局のリザル・イラワン(Rizal Irawan)副局長は、同省はIMIP工業団地の環境監査を実施するよう命じる方針であると述べた。 同副局長はまた、「有害廃棄物の残渣が発見された場合、刑事および民事の法的措置を講じる」と声明で述べている。

IMIPを運営する企業の広報担当者は、排水と有毒残渣の管理を擁護し、環境省の指示に従い「すべてのテナントの業務の調整と監督を最大限に実施し、あらゆる改善措置を実施する」と述べた。

同省の発表の1週間前、プラボウォ・スビアント(Prabowo Subianto)インドネシア大統領は、環境違反を理由に、パプア州南西部のラジャ・アンパット諸島で操業するニッケル鉱山企業4社の営業許可を取消した。 2025年5月、グリーンピース・インドネシアがラジャ・アンパットの3つの島におけるニッケル採掘の影響に関する調査報告を発表した後に、一時停止措置が取られた。

インドネシアは電気自動車(EV)用電池の世界的な製造拠点となっていることから、同国のニッケル産業は過去10年間で急速に成長した。 インドネシアは世界のニッケル生産の過半数を占めているが、中国の大手企業が支配するこの業界は、社会や環境への有害な影響を理由に厳しい目を向けられている。

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