
ロイター
オーストラリアは太平洋島嶼国の領海監視を大幅に強化する計画で、違法漁船団の航空パトロールに約450億円(3億1,000万ドル)以上を費やす方針であることが文書で明らかになった。
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は、2025年6月中旬にフィジーを訪問し、地域安全保障について協議した。この訪問は、フィジーのシティベニ・ランブカ(Sitiveni Rabuka)首相が、オーストラリアが同国の巡視船に資金提供することを定めた海洋安全保障協定承認した後のことだった。
オーストラリアは、数百万キロメートルに及ぶ島嶼国の海洋排他的経済水域を監視するため、航空パトロールを委任する。 違法漁業を抑止するための取り組みは、2025年4月にフィジーに監視センターを開設する契機にもなった。
オーストラリアのペニー・ウォン(Penny Wong)外務大臣は、アルバニージー首相がフィジーを訪問した際、「海洋領域は、主権が尊重される安定した安全な地域を確保する上で重要な要素である。
これらの国々は、非常に広大な海洋領域を有しているが、一方で非常に小さな島嶼を抱えてる。そのため、海洋領域が国際法と国際規範に準拠した方法で利用されるようにすることが主権に直結する」と述べた。
違法・無報告・無規制(IUU)漁業は、世界中のコミュニティ、特にインド太平洋地域を脅かしており、その漁獲量は年間推定1,400万トンを占めている。 国連は、この慣行が「海洋資源の保全と管理、並びに多くの国、特に開発途上国の食料安全保障と経済に大きな影響を与える」と指摘している。
オーストラリアは島嶼国に24隻の巡視船を提供し、海軍と空軍が違法漁業の監視を定期的に実施している。
中国はIUU漁業の最大の加害国であり、中国籍の船舶が国際漁業規則の違反者で最も多く、2023年のグローバル指数では、152か国中で最悪の評価を受けている。
中国は、西部・中央太平洋漁業委員会に太平洋の海警局の船舶26隻を登録しているが、2025年半ばの時点では検査を実施していなかったと、同委員会の関係者が明らかにしている。
ナウル協定締約国連合最高経営責任者であるサンガア・クラーク(Sangaa Clark)氏によると、世界最大のマグロ漁業を管理する9つの島嶼国は、中国にはパトロールの実施を要請せず、代わりにオーストラリアが資金を提供し、オーストラリア、フランス、ニュージーランド、米国による監視とパトロールに頼っている。
オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究員で太平洋安全保障の専門家であるピーター・コノリー(Peter Connolly)氏は、中国海警局の同地域での巡視活動は「太平洋の漁業管理に地政学的な緊張をもたらす」と述べた。