パートナーシップ

自由で開かれたインド太平洋の鍵となる、不可欠なパートナーシップのネットワーク

米国陸軍第8戦域維持コマンド、国家安全保障法チーム

インド太平洋地域の広大さは、戦力投射を模索する国々にとって、固有の課題となっている。 高度な兵器やテクノロジーが重要であることは否定できないが、この地域における真の戦略的優位性は、強固な国際パートナーシップのネットワークと回復力のある兵站ネットワークに支えられている。

太平洋の広大な距離は、長年の規制要件と相まって、兵站面での大きな障害となっている。 例えば、軍事貨物優先法(Military Cargo Preference Act)は、米国軍および国防機関が調達する、あるいは所有するすべての物品は、妥当な料金で米国籍の船舶によってのみ輸送されなければならないと規定している。 同様に、ジョーンズ法(Jones Act)は、米国の港間で輸送される貨物は、米国市民または永住者が建造、所有、運航する船舶で輸送されることを義務付けている。

このような規制は国内企業を支援するものだが、その遵守により、輸送手段の選択が制限されたり、指定港での積み込みが余儀なくされたりして、輸送時間や輸送の複雑さが増す可能性がある。 そのためには広範な予測と計画が必要となり、迅速な対応が求められる流動的な有事環境では困難が伴う。

例えば、米国西海岸のワシントン州タコマからオーストラリアのシドニーまでの6,800海里の航海は、天候、海況、船舶の種類、積荷、安全保障環境にもよるが、17日から32日かかる。 同様に、日本、フィリピン、韓国、台湾への輸送にも1か月近くかかる。

このことは、国際日付変更線の西側に在庫を準備し、パートナーシップを築くことの重要性を物語っている。 現地の請負業者やベンダーと強い関係を築くことは、兵站の効率を高め、協力を強化する上で極めて重要だ。 このような連携は、効果的な軍事作戦を支える目に見えない足場のような存在だ。

2025年4月、フィリピンのディンガランで、バリカタン演習のために米国海兵隊の車両を陸揚げする米国陸軍予備隊艦艇ロバート・T・クロダ(Robert T. Kuroda)。
画像提供: ブライアン・ノールズ(BRIAN KNOWLES)伍長/米国海兵隊

地位協定および訪問軍地位協定は、訪問軍隊の法的地位を明確にし、受入国との軍事協力に関する規則を定めることで、こうしたパートナーシップの基盤となっている。 重要なアクセス、基地配置、および上空飛行に関する取り決めは、これらの基礎的な合意をさらに強化し、インド太平洋全域における迅速な対応と戦力投射を可能にする。

さらに、物品役務相互提供協定(ACSA)と兵站相互提供協定(MLSA)は、相互運用性と対応性を高める。 物品役務相互提供協定は、各国が相互に後方支援、物資、サービスを獲得するプロセスを合理化し、重要な資源へのアクセスを、しばしば短期間で確保することを可能にする。 同様に、兵站相互提供協定は、給油、整備、医療支援、輸送などのサービスの共有を促進する。

このような複雑に張り巡らされた協定のネットワークによって、軍隊が国境を越えてシームレスに活動し、効率的かつ効果的に危機に対応できるようになる。 また、受入国における共同契約メカニズムも重要であり、食事、宿泊、輸送、飛行場支援などの物品・サービスの効率的な調達を可能にすることで、オーストラリアでのタリスマン・セーバーのような多国間演習を含め、兵站の負担を軽減することができる。

フィリピンと米国の間の防衛協力強化協定(EDCA)は、こうしたコンセプトを体現している。 2014 年に結ばれた同協定は、フィリピンの指定施設への米軍のアクセスを拡大し、共同訓練や装備の前置、災害対応を促進するものだ。

2,866億円(20億ドル)を超える米国の防衛インフラ投資を可能にする協定を締結し、同地域における米国の戦略的能力とプレゼンスを強化した。 米国国防総省の取り組みは、ミクロネシアの地域社会における優先事項である環境、安全、維持、社会に沿ったものとなっている。 こうした投資は、米国が長年結んできたマーシャル諸島、ミクロネシア、パラオとの自由連合盟約によって支えられている。

アクセスと影響力を確保するためには、軍事力以上のものが必要だ。特に、距離が遠く、アクセスが最も重要なインド太平洋においては、信頼を築き、協力を育み、パートナーシップの価値を示すことが求められる。 協定によって正式に締結され、協力によって育まれたこれらのパートナーシップは、軍事力を倍増させ、地域の安定と安全への道を開く力となっている。

米国陸軍第8戦域維持コマンドはハワイ州ホノルルに拠点を置いている。

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