
ピーター・パーソン(Peter Parson)
太平洋地域全体の防衛協力は転換期を迎えており、相互運用性を強化するための要員交流や他国からの人材採用がますます重視されている。 島嶼諸国、特にパプアニューギニア(PNG)は、準備態勢と戦略的結束を強化するため、オーストラリア、ニュージーランド、米国などのパートナー国との軍事統合を深めている。
共同訓練から採用協定まで、パプアニューギニアは防衛パートナーシップを活用して、能力の構築、作戦範囲の拡大、そして地域の安全保障体制への統合を進めている。
「共に訓練を積んだ軍人は相互理解を深め、戦術的アプローチや文化規範を一致させることができるため、共同任務における連携が向上する」と、オーストラリアのローウィー研究所(Lowy Institute)太平洋諸島プログラムディレクター、ミハイ・ソラ(Mihai Sora)氏はFORUMに語った。 「互いをよく知ることで摩擦点を減らし、対応時間を短縮し、国境を越えた機能の統合が円滑になる」という。
パプアニューギニアは、4月に米国軍と2週間にわたる合同演習タミオク・ストライク2025(Tamiok Strike 2025)」を開催し、防衛面での役割の拡大が注目された。 米国大使館によると、5 回目となる今回の年次演習では、パプアニューギニア国防軍と米国軍が、さまざまな地形や作戦において相互運用性を向上させ、「相互理解と協力」を深めた。
一方、パプアニューギニアとオーストラリアの関わりの深化は、まもなく防衛条約として具体化される見通しだ。 2023年の二国間安全保障協定に続く、今回提案されている協定に基づき、両国の軍隊が相互に相手国の軍隊に派遣される可能性がある。
ソラ氏は、この条約は「南太平洋の二つの大国の防衛力間の相互運用性、作戦上の連携、相互理解を深めることで、地域の安全保障ネットワークを強化する重要な機会」だと述べている。
採用目標を後押しするため、オーストラリア政府は、カナダ、ニュージーランド、英国、米国などの同盟国の適格な永住者に、オーストラリア国防軍への入隊申請を認めている。 このプログラムは、パプアニューギニアやその他の島嶼国にも拡大される可能性がある。
軍隊の統合は、兵士の募集だけにとどまらない。 例えば、ニュージーランド国防軍の相互援助プログラムは、フィジー、パプアニューギニア、トンガ、バヌアツなどの国の軍人に訓練を提供している。 ニュージーランドとパプアニューギニアは2018年に地位協定を締結し、防衛教育・訓練を頻繁に実施している。
「要員の統合は、軍事ドクトリンの整合に役立つ」とソラ氏は述べ、 「また、多国間演習における連携も著しく改善され、複雑で多面的なシナリオにおける戦略的連携と相互運用性が強化される」と語った。
こうしたつながりは「問題解決の新たな方法を創出することにもつながる」と、シンガポールの S・ラジャラトナム国際学大学院(S. Rajaratnam School of International Studies)のシニアアナリスト、トーマス・リム(Thomas Lim)氏は FORUM に語っている。 「難しい問題が発生した際にも、こうした関係が緊張を緩和するのに大いに役立つだろう」
ピーター・パーソンは、ニュージーランド・ハミルトン発信のFORUM寄稿者。