東南アジア紛争・緊張

中国が南シナ海の海洋生息地の主な破壊要因であると報告書が指摘

FORUMスタッフ

研究者らの報告によると、浚渫と埋め立てによる建設が原因で南シナ海の海洋生息地に生じた被害の約3分の2は中国の人工島建設によるものだという。

中国は2013年以降、4,600エーカー(約19平方キロメートル)を超える範囲のサンゴ礁を埋め立てたと、アジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI:Asia Maritime Transparency Initiative)が2025年1月に報告した。 米国に拠点を置くシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS:Center for Strategic and International Studies)の一部であるこのグループは、衛星画像を分析した結果、8,000エーカーのサンゴ礁の被害の65%は中国によるものと断定した。

人工島建設活動は「サンゴ礁の全体的な構造と健全性に回復不可能な長期的な変化をもたらす」と報告書は述べている。

フィリピン沿岸警備隊が西フィリピン海のサビナ礁を調査したところ、海洋生態系は生物の気配がほとんどなく、海底は変色していた。 政府関係者によると、2023年9月の調査でサンゴ礁に深刻な損傷があることが明らかになり、その時期はフィリピンの排他的経済水域に中国の海上民兵船が出没している時期と重なったという。
動画提供:フィリピン沿岸警備隊

アジア海洋透明性イニシアチブの研究者らは、南シナ海の領有権を主張する国々(マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムも含む)によるサンゴ礁の破壊を分析し、その主な原因は中国にあると結論づけた。 中国は、この戦略的な水路のほぼ全域を自国の領土だと一方的に主張しており、その主張を無効とする2016年の国際法廷の判決を無視している。

2023年12月の報告書「仮訳 ‐ 深い青の傷跡:南シナ海の環境脅威(Deep Blue Scars: Environmental Threats to the South China Sea)」で、アジア海洋透明性イニシアチブは、中国の浚渫方法について「ポンプ浚渫船が岩礁を切り崩し、漂うパイプラインを通して堆積物を浅瀬に送り、埋め立てを行う。 このプロセスにより海底が乱され、研磨作用のある土砂の煙が発生し、周辺の海洋生物を死滅させ、サンゴ礁の修復能力を奪った」と指摘している。

さらに、中国船舶によるオオシャコガイの採取により、16,353エーカー(66平方キロメートル)のサンゴ礁が損傷した。 シャコガイの貝殻は彫刻され、中国で宝石や彫像として売られている。 中国人の漁師たちは、サンゴ礁の表面を掘り起こし、「サンゴ礁に付着している生きた貝と死んだ貝の両方をより簡単に収穫するために、特別に作られた真鍮製のプロペラを引きずる」という極めて有害な方法を用いている、と同報告書は指摘する。

最新報告の発表は、フィリピンが国連海洋法条約(UNCLOS)の継続的な違反を理由に、中国に対する新たな仲裁裁判を検討していると表明した矢先のことだった。 中国に対する裁定につながった訴訟を起こしたフィリピンは、他の国々も参加し、多国間訴訟となることを期待していると述べた。

2016年の判決では、中国が7つの礁で人工島を建設したことにより、海洋環境の保護と保全、汚染の削減と管理、海洋生物資源の管理調整に向けた協調的な取り組みなど、国連海洋法条約の6つの原則に違反したことが認められた。

国連海洋法条約に基づき新たな仲裁手続きが中国に対して行われる場合、環境に関する同様の主張が含まれる可能性がある。 フィリピンは以前、南シナ海の暗礁におけるシャコガイの乱獲による環境破壊について、国際的な調査を要請していた。

フィリピンはまた、拘束力の無い国連決議を求め、それを国際司法裁判所に送って勧告的意見を求めることもできると、アジア海洋透明性イニシアチブのグレゴリー・B・ポーリング(Gregory B. Poling)所長は、戦略国際問題研究所(CSIS)に寄稿している

2024年9月の国連総会で、「フィリピンは20か国以上の高官を集め、南シナ海問題でフィリピンが孤立してはいないという『シグナルを中国に送った』」とポーリング氏は記している。 さらに、「このような法的および外交的手段は相互に補強し合うものである。 実際、国際連合をより効果的に活用することで、フィリピンの仲裁の選択肢は広がるだろう」と指摘している。

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