
FORUMスタッフ
2024年にパラオが米国と自由連合盟約を更新したことにより、中国による経済的威圧行動により観光産業が縮小したブルーパシフィック国パラオの国に約1,378億円(8億9,000万ドル)の経済支援が確約された。
重要なのは、今回の盟約更新により、パラオの港湾、飛行場、その他の施設を米国が軍隊を駐留させ軍事演習を行うために共同利用することについての合意が強化されたことだ。 先ごろ再選を果したスランゲル・ウィップス・ジュニア(Surangel Whipps Jr.)大統領は、米国との関係と、それが伝える抑止力がますます重要になっていると述べた。
中国は、パラオが台湾との国交を断絶することを拒否したことを受け、旅行者に対してパラオへの渡航を控えるよう警告を発し、観光を軍事に利用したとして非難を浴びた。 中国は台湾を自国の領土だと主張し、民主的に統治されている同島を武力で併合すると威嚇し、台湾を外交的に孤立させようとしている。 また、中国は2024年初頭にパラオ政府から文書を盗んだ大規模なサイバー攻撃についても非難された。
一方、中国共産党と関連のある調査船がパラオの排他的経済水域(EEZ)内で定期的に事前通告なしに活動している。 テレグラフ紙によると、侵入事件の後、中国はパラオ語の名称がすでに存在している2つの海底山の名称を独自に発表した。
パラオは、近隣のフィリピンにおける中国の威圧行動を注視しており、中国がパラオの領土を不法に主張しようとする可能性もあると懸念していると、ウィップス大統領は同紙に語った。
中国海警局の船舶、および中国共産党の海上民兵や調査船は、他国の排他的経済水域(EEZ)において、漁船乗組員を日常的に威嚇し、石油・天然ガス探査に干渉し、軍事作戦を妨害している。 中国は、その広大な領有権主張を無効とした2016年の国際法廷の裁定を無視して、南シナ海のほぼ全域を主張している。
ウィップス大統領は、中国共産党が台湾に対して行っている脅迫についても言及している。 このような恫喝は、我々に「どうすれば最善の形で主権を確保できるか」を考えさせる。また、ブルーパシフィック全域の安全保障についても考えさせる、と同大統領は述べた。
さらに、パラオと米国の同盟関係は戦略的パートナーシップであると付け加えた。 「我が国は自国の地理的位置と、自由で開かれたインド太平洋を維持することの重要性を理解している。この地域における平和と安定を確保する上で、共同利用施設と共同運用を確保することは重要な要素だ」とウィップス大統領は述べた。
地域的な抑止力を強化するほか、パラオと米国は以下を行っている:
- 米国沿岸警備隊の船舶がパラオの排他的経済水域内でパラオの規制を法執行できる協定を正式に締結。 この計画は、違法漁業、麻薬密売、その他の不法行為に対処する。
- 米インド太平洋軍の合同機関任務部隊の支援により、パラオの法執行担当者を対象に、地域におけるメタンフェタミン密輸の増加に対処するための集中的な訓練を実施。
- パラオに麻薬探知と国境警備を強化するための警察犬部隊と軍用施設を提供する、能力開発プログラムに参加。
- 太平洋諸島警察長官と協力し、海上での違法行為に対処するための訓練を実施。
アナリストらは、パラオが今後米国との関わりを強めていく可能性が高いと指摘しており、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)ニュースが報じた。 「軍事訪問、国際犯罪や違法漁業に対抗するための共同行動、輸送とデジタル接続の強化など、米国の存在感はより強くなるだろう」と、オーストラリアのローウィー研究所(Lowy Institute)のメグ・キーン(Meg Keen)上級研究員はボイス・オブ・アメリカに語った。
また、中国の威圧行動に対抗して、パラオはオーストラリア、日本、台湾といったパートナー諸国との関係を強化し、観光業の発展に貢献している。 2024年5月には、オーストラリアのブリスベンとパラオを結ぶ直行便の航空路が開設された。
また、日経アジア誌によると、日本は医療従事者向けの高速通信ネットワークの構築を表明した。