米国、同盟国、提携国、安全な航路確保のための協力作戦を強化
FORUMスタッフ
米国とその同盟国および提携国は、重要な水路の自由と開放を世界中で維持するため、領域横断共同作戦(Combined Joint All-Domain Operations, CJADO)の拡大を続けている。
マラッカ海峡やホルムズ海峡からアフリカの角やパナマ運河に至る経済的に重要な海上交通路(SLOC)の安全保障を強化するため、連合国および提携国の海軍、空軍、陸軍は、インド太平洋全域およびその先の海上交通路の安全保障を強化する約2年間の作戦期間を通じて協力している。
2024年後半には、志を同じくする各国軍が封鎖の可能性や攻撃的な領有権主張から海難事故、海賊行為、制裁逃れまで、海洋安全保障上の脅威に対抗する目的で領域横断共同作戦を実施した。 これらの活動には、12月にフィリピンの排他的経済水域内で日本、フィリピン、米国の航空機と船舶が参加した海上協力活動(MCA)が含まれている。
2023年2月に始まった領域横断共同作戦は、戦略的な水路やチョークポイントを通る貨物や軍事輸送を保護するという同盟国や提携国のコミットメントを支援するべく、長期にわたる演習や定期的な通過、その他の活動を補完するものとなっている。 インド洋から日本海に至るインド太平洋のシーレーンは、世界の海上貿易の80%以上を担っている。
米インド太平洋司令軍はこの領域横断共同作戦について、米アフリカ軍、米中央軍、米欧州軍、米南方軍をはじめ、オーストラリア、カナダ、フランス、インド、日本、フィリピン、韓国、英国などの同盟国や提携国と調整を図った。 各国は共に、確立された規範や国際法を弱体化させようとする悪意ある行為者たちを阻止するために、世界各地のボトルネック内およびその近辺で、全領域にわたる連動した作戦を実行した。
例えば南シナ海では、米国とその同盟国・提携国は、二国間・三国間の協力活動を多国間の航行の自由作戦(FONOP)へと進展させた。 2024年6月には、オーストラリア、カナダ、日本、フィリピンの船舶が国際海域を航行した。 8月には、オーストラリア、カナダ、フィリピン、米国の空軍と海軍が同海域で海上協力活動を実施している。
8月の航行の自由作戦に先立ち、参加4か国は、南シナ海の大部分に対する中華人民共和国の恣意的な領有権主張を無効とする国際法廷の2016年判決を改めて確認した。 各国はこの判決を「紛争当事者に対する最終的かつ法的拘束力のある決定」と呼んだ。
米国は1982年の国連海洋法条約の理念を支持し、重要な水路が貿易と通商のために開かれていることを保証するため、海上交通路を保護してきた長い歴史がある。 米軍は、安全保障と繁栄を促進する自由で開かれたインド太平洋に尽力する同盟国や提携国と連携して、100年以上にわたり日々南シナ海で活動している。
アナリストらは、領域横断共同作戦や航行の自由作戦といった協力活動は、地域の緊張が高まる中で増加するだろうと述べている。
シンガポールのS・ラジャラトナム国際学大学院(Rajaratnam School of International Studies,)の防衛戦略研究所のコリン・コー(Collin Koh)上級研究員は、8月にウェブサイト「ブレイキング・ディフェンス(Breaking Defense)」に対し、「フィリピンは、カナダとの今後の協定を含め、これらの地域諸国とさまざまな協定を結んでおり、こうした(海洋協力)活動は、時期は確定していないものの、今後も継続される見込みだ」と述べた。 「ただ、これらの地域大国による全般的なコミットメントは存在すると考えられる」
海上交通路を確保する重要性は、イエメンを拠点とするフーシ派反政府勢力によるアデン湾での船舶攻撃など、世界的な悪質行為によって浮き彫りになっている。
「これは国際的な解決策を必要とする国際的な問題だ」と、グラント・シャップス(Grant Shapps)英国国防大臣(当時)は2023年12月の攻撃開始後に述べた。 それ以来、米国とその同盟国および提携国は、このような脅威に対抗するための取り組みを深化させてきた。