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インドネシア、北ナトゥナ海の緊張の高まりを受け、海上パトロールを強化

ガスティ・ダ・コスタ(Gusty Da Costa)

インドネシアは、中国海警局の船舶が排他的経済水域(EEZ)に繰り返し侵入していることを受けて、海上パトロールと監視を強化している。 これは、2024年10月にインドネシアのパトロール船が地震調査を妨害していた中国船を拿捕し、退去させた事件を含む一連の衝突を受けたものである。 この動きは、インドネシアが領有権を守り、南シナ海(インドネシアはその一部を北ナトゥナ海と呼ぶ)の安定を確保するという同国の決意を強調している。

インドネシア海上保安庁(バカムラ)と海軍の艦艇(プラウ・ダナ ‐ Pulau Dana、ステディ・セノプトラ ‐ KRI Sutedi Senoputraを含む)は、中国海警局の船がインドネシアの排他的経済水域(EEZ)に侵入し、インドネシア企業の地震調査を行っていた測量船ジオコーラル(MV Geo Coral)号を妨害したため、中国海警局の船を退去させた。 1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)は、沿岸国に200海里のEEZ内のあらゆる天然資源に対する排他的権利を認めている。

中国艦船は、マレーシアやフィリピンを含む南シナ海の領有権を主張する他の国々のEEZにも繰り返し侵入している。

海洋資源の持続可能な利用を推進する団体「破壊的漁業監視インドネシア(Destructive Fishing Watch Indonesia)」の国家コーディネーターであるモハマド・アブディ(Mohamad Abdi)氏はFORUMに対し、「中国海警局の船の侵入は、この地域における挑発的な行動の一環である」と指摘し、 「北ナトゥナ海はインドネシアにとって、経済的にも戦略的にも重要な海域であり、 このような事件はインドネシアが警戒を怠らず、海上の安全対策を強化する必要性を強調している」と述べた。

インドネシアは、バカムラと海軍による合同パトロールの強化、監視技術の向上、省庁間の連携強化を進めてきた。 アブディ氏によれば、脅威を監視し対処するため、船舶、航空機、ドローンが定期的に配備され、EEZ内で迅速かつ多層的な対応を行い、強力なプレゼンスを確保しているという。

中国は、2016年の国際法廷の裁定で領有権主張に法的根拠がないとされたにもかかわらず、資源が豊富な南シナ海のほぼ全域を自国の領土だと主張している。

インドネシアは、中国の主張を「一貫して拒否してきた」と、国際法教授で元インドネシア外交官のエディ・プラトモ(Eddy Pratomo)氏はFORUMに語った。 また、同氏は続けて「この立場は国連海洋法条約(UNCLOS)に沿っており、北ナトゥナ海がインドネシアのEEZの一部であることを裏付けている。 しかし、この立場を維持するには、法的に断固とした姿勢と、運用面での即応能力が求められる」と述べた。

1万3,000以上の島々からなる群島国家であるインドネシアは、その広大な海域をカバーするため、海洋インフラと資源の強化を進めている。 「この分野では、投資の拡大が不可欠である」とアブディ氏は語った。

インドネシアは、海上防衛力を強化する一方で、重要な経済パートナーである中国との外交関係を適切に管理している。 2024年11月の海上協力に関する共同声明をはじめとする最近の二国間対話では、国益を守りながら平和を維持することの重要性が強調されている。

インドネシアの微妙な戦略には、東南アジア諸国連合(ASEAN)の他の加盟国とのパートナーシップを活用し、地域の連帯感を育むことも含まれている。

パジャジャラン大学の国際関係学講師であるテウク・レザシャ(Teuku Rezasyah)氏は、FORUMの取材に対し、「ASEAN諸国間での協調的なパトロールと情報共有は不可欠である」と語った。 また、「インドネシアが自国のEEZの安全確保を主導すれば、他のASEAN諸国が後に続く先例となるだろう」とも述べた。

アナリストらは、北ナトゥナ海におけるインドネシアの積極的な姿勢が、より広範なインド太平洋地域の安全保障体制に貢献していると指摘する。 自国の主権を主張することにより、インドネシアは地域の安定に不可欠なルールに基づく海洋秩序を強化している。

「インドネシアの行動は、国際法を尊重するという明確なメッセージを発信している」と、海事専門家のマーセラス・ハケン・ジャヤウィバワ(Marcellus Hakeng Jayawibawa)氏はFORUMに語った。 さらに、同氏は「これは、各国が不当な侵入から自国のEEZを守る権利と責任を有していることを示しており、この原則はインド太平洋全体に共通するものである」と述べた。

ガスティ・ダ・コスタは、インドネシア・ジャカルタ発信のFORUM寄稿者。

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