相反する中国共産党の強制と連合国・パートナー諸国の沿岸警備隊の協力関係
FORUMスタッフ
ますます攻撃的になっている中国海警局は、中国共産党の南シナ海や台湾海峡における緊張の高まりをいとわない姿勢を表していると、アナリストらは指摘する。 一方、同じ志を持つ国々は、この地域の安定を維持するために協力している。
中国共産党は、密輸業者を標的とした従来の法執行任務や捜索救助活動に重点を置くのではなく、海警局の船舶を軍事化し、領土問題を抱える海域に配備している。 海上部隊の違法、強制、攻撃、欺瞞(ICAD)行為には、主権国家の石油・天然ガス探査の妨害、各国の排他的経済水域内で活動する軍・民間船舶の阻止などが含まれる。
中国は、領有権主張を無効とした2016年の国際法廷の判決を無視して、南シナ海のほぼ全域を自国の領土だと主張している。 中国政府は、国際法廷を設立した国連海洋法条約の加盟国であるが、国際法廷の権限を認めることを拒否している。
中国による根拠のない領有権主張は、国際的に認められた主権水域を侵害するものであり、フィリピンをはじめ、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムは、自国の軍事パトロールや民間漁船員に対する中国政府の長年にわたる強圧的な活動を明るみにした。
中国政府は民主的に統治された台湾の領有権を主張し、武力で併合すると威嚇している。 2024年10月、中国共産党による不安定化を狙った軍事演習中に、海警局の船が台湾を包囲した。 中国海警局の船は、中国政府が恣意的な領有権を主張している東シナ海の尖閣諸島周辺でも、日本の領海に侵入している。
これとは対照的に、地域の同盟国とパートナー国は連携を強化している。 2024年5月には、海上保安庁、米国沿岸警備隊及び韓国海洋警察庁が、他のパートナー国も含めた活動を強化することで合意している。 この協定は、海洋資源の保全、違法・無報告・無規制漁業への対策、捜索・救助の強化の重要性を認識している。
「クアッド・アット・シー(Quad-at-Sea) 船舶監視ミッション」は2025年に開始される予定である。 同ミッションは、オーストラリア国境警備隊と日本の海上保安庁、インドと米国の沿岸警備隊を統合し、相互運用性を向上させ、海上の安全を推進するものであるとクアッドの指導者らは述べている。
協力関係を強化することで、軍事衝突の基準に満たないICADの活動に対抗し、国内および国際法を維持することが可能になる、と国際交流基金インド太平洋パートナーシッププログラムのプラカシュ・パンニールセルヴァム(Prakash Panneerselvam)研究員はザ・ディプロマット(The Diplomat)誌に寄稿している。
「沿岸警備隊は、海上における法と秩序の執行、海洋領域認識の確保、漁業保護、海賊対策、違法取引や密漁の防止において重要な役割を果たしている」と同研究員は述べている。
また、東南アジア諸国は、海事活動に関する情報を提供するクアッドの「インド太平洋パートナーシップによる海洋領域認識」や、パートナー諸国が自国の海域を監視・安全を確保することを可能にする「インド太平洋における訓練のための海洋イニシアティブ」を通じて、安全保障を強化するための支援を活用することができる。 同研究員によると、いずれの取り組みも、テロやその他の犯罪に対処するための手段を提供するという。
「クアッドの沿岸警備隊の協力は、『クアッドプラス』の枠組みも強化し、ベトナム、フィリピン、インドネシアといった、海洋領域で中国からの大きな課題に直面し、同様の問題を抱えている国々との協力の道を開く。 これらの国々が、クアッド諸国からの支援をさらに求めるようになれば、このイニシアティブは信頼醸成措置として機能し、この地域における中国の軍事行動に対するより広範な連合という概念を強化できる」と同研究員は記している。