フェリックス・キム(Felix Kim)
韓国国防部は、三軸防衛システムを大幅に強化する計画を明らかにした。 国家安全保障の柱である同システムは、北朝鮮の持続的な脅威に対抗できるよう設計されており、キルチェーン先制攻撃システム、韓国型ミサイル防衛(KAMD)システム、大量反撃報復 (KMPR)計画の3つの主要な要素で構成されている。
これらの計画は、作戦能力の強化、先端技術の統合、長年にわたる韓米同盟の強化に焦点を当てている。
韓国国防部の報告書は、兵器システムの開発と配備の迅速化、調達プロセスの改善、作戦概念を能率化するための厳格な演習の実施を求めている。 韓国国防部は2024年8月、「北朝鮮のいかなる挑発にも効果的に対応できる強力な国防態勢を確立する」と述べた。
「高度な偵察能力と監視能力を統合することが強化の鍵である」と、ランド研究所の北東アジアの軍事問題を専門とするブルース・ベネット(Bruce Bennett)博士はFORUMに語った。 このような能力は、先制攻撃を可能にし、ミサイル防衛を向上させるために不可欠である。 「韓国国防部は衛星を使って核戦力、核兵器、北朝鮮の指導者の位置を特定することを計画している」と同博士は言う。
この分野における韓国の大きな前進のひとつに、初の軍事偵察衛星の配備がある。この衛星は、2023年12月に打ち上げられ、2024年8月中旬に防衛事業庁(DAPA)によって「戦闘に適している」と宣言された。
この衛星は、夜間でも監視できる電気光学/赤外線機能を搭載している。 防衛事業庁はこの成果を、キルチェーンの大きな躍進であると評価した。
2024年4月に打ち上げられた2機目の偵察衛星には合成開口レーダーが搭載されており、韓国政府の北朝鮮監視能力を強化し、あらゆる気象条件下で標的を特定できる。
韓国はKAMDコンポーネントの下で、飽和攻撃でミサイル防衛を圧倒しようとする北朝鮮の戦略に対抗するため、米国が提供するシステムに加えてミサイル防衛を開発していると、ベネット博士は言う。
北朝鮮が攻撃してきた場合に壊滅的な報復攻撃を行うことを目的とするKMPRをアップグレードする取り組みでは、人工知能(AI)サイバー能力を統合し、対応速度と精度を高めることに重点を置いている。
AIは、北朝鮮の標的の特定を加速させる上で極めて重要である。 「パターンマッチングなどの方法で、指導部、ミサイル、核兵器の位置を素早く特定することで、情報サイクル時間を大幅に短縮できる」とベネット博士は言う。
この三軸システムは、米国の「核の傘」によって支えられており、北朝鮮政府の核兵器使用を抑止するために不可欠な要素だとベネット博士は指摘する。 2024年7月、韓国と米国政府は朝鮮半島における核抑止と核作戦に関する共同指針に署名した。共同声明によると、この指針は「信頼性が高く効果的な核抑止政策と態勢」を強化しようとするものである。
三軸の強化を支援するため、DAPAは2024年のシステム予算を12%増額し、年間支出を約790億円(52億7,000万ドル)にすると発表したと、防衛分析サイト「ジェーンズ(Janes)」が報じた。 この予算は、ミサイル防衛システムや指揮統制技術の開発を含む57のプロジェクトを支援する。
フェリックス・キムは韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。