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国民の支持が高まる日本の防衛態勢の進化

ティサンカ・シリパラ(Thisanka Siripala)

自衛隊の再編や反撃能力の追加など、地域の安全保障上の課題に対応して日本の防衛態勢が進化するにつれて、日本の能力拡大に対する国民の支持が高まっている。

自衛隊は歴史的に、自然災害への効果的な対応に対して国民の強い支持を得てきたと、ワシントンを拠点とするシンクタンク、スティムソン・センター(Stimson Center)の日本プログラムのディレクターである辰巳由紀氏はFORUMに語った。 日本は地震、台風、地滑りが多く、救援活動における自衛隊の人命救助への貢献は、防衛能力の強化を求める世論を動かす一因となった。

中国政府の強硬な海上・航空活動をめぐる緊張の高まりに加えて、北朝鮮の領土周辺でのミサイル実験を含む核・ミサイル計画による脅威が増大している。 同時に、台湾海峡周辺での中国の軍事活動の活発化は、中国が武力で併合すると脅している自治権を持つ台湾との関係強化を目指す日本政府の取り組みを複雑にしている。

岸田文雄首相がこれらの課題を「近代日本史の転換点」と呼び、紛争のリスクが身近に迫っていることから、日本国民は自衛隊の強化の必要性をますます認識していると辰巳氏は述べている。 「若い世代は一般に、日本の地政学的状況をより現実的に捉えており、より強固な自衛隊全体に対して好意的な傾向にある」と同氏は語る。

2022年の2つの世論調査では、国民の支持が高まっている傾向が浮き彫りになった。 日経リサーチ社の調査では、回答者の49%が長年の日米同盟の拡充を支持しており、これは過去数年を上回る数値である。 一方、NHKの世論調査では、回答者の52%が防衛費の増額を支持しており、防衛費削減を支持する回答者は7%にとどまった。

国民の信頼を高め、支持を集めるために、自衛隊は航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」のデモンストレーションなど、交流とアウトリーチの取り組みを行っている。

2024年5月、米国海兵隊岩国航空基地第45回フレンドシップデーで演技を披露する航空自衛隊のアクロバット飛行チーム、ブルーインパルス。
動画提供: アンジェリーナ・サラ(ANGELINA SARA)伍長/米国海兵隊

「ブルーインパルスは非常に人気があり、各パイロットにそれぞれのファンがいる。 また、最大規模の実弾射撃訓練である毎年恒例の富士演習も非常に人気があり、新型コロナウイルス感染症の大流行以降はライブ配信されている」と同氏は語る。

日本はまた、防衛能力の近代化とより迅速な統合指揮対応を通じて米国との同盟を強化することにより、地域の抑止力としての役割拡大を目指している。 2027年までに、日本政府は防衛費を国内総生産の2%に倍増させる計画であり、これには米国製トマホーク巡航ミサイルなどの反撃能力の獲得や、より長距離の地対艦ミサイルの開発が含まれているほか、 F-35AおよびF-35Bステルス戦闘機などの航空戦力の整備も進めている。

ティサンカ・シリパラ(Thisanka Siripala)は東京発信のFORUM寄稿者。

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