東南アジア紛争・緊張自由で開かれたインド太平洋/FOIP

中国は南シナ海での約束を果たすことはあるのか?

FORUMスタッフ

中国は、南シナ海におけるその戦略的な意図と行動について、数十年にわたり多くの国々に対して数多くの保証と約束をしてきたが、それらを反故にし、約束とは反対のことを繰り返してきた。

他国に害を及ぼす中国政府の非遵守的で挑発的な最近の活動の例として、斧を振り回した海警局の隊員、放水砲の無謀な発射、人工島建設の継続、前哨基地の軍事化の増加が挙げられる。

2002年、中国は10か国から成る東南アジア諸国連合(ASEAN)との間で「南シナ海における締約国行動宣言」に合意したが、同地域における協力と安定の基礎となる同宣言の多くの原則に常習的に違反してきた。

同宣言には、「現在人が住んでいない島、岩礁、浅瀬、小島、その他の場所」に居住させないという約束が含まれている。 しかし、その後の数年間で、中国は南沙諸島のいくつかの地点に前哨基地を設置し、2012年には係争中のスカボロー礁を占領した。

中国はまた、同宣言の下で、「紛争を複雑化またはエスカレートさせるような活動を自制する」と約束し、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムなど、南シナ海の領有権を争う国々との紛争を、国際法に従って平和的に解決することを約束した。 しかし、中国は南シナ海における緊張を意図的にエスカレートさせ、国際法を無視してきた。

2012年に中国共産党の習近平総書記が政権の座に就いて以来、中国の虚偽の約束と公約違反は激しさを増している。

2015年9月、習総書記は中国共産党が南シナ海を軍事化しないことを約束した。 ワシントンのホワイトハウスを訪問中の習総書記は、南沙諸島の「軍事化を追求する意図はない」とし、その前哨基地は「いかなる国をも標的にせず、影響を与えない」と述べた。

それ以降も、中国共産党は紛争中の前哨基地の多くを積極的に軍事化してきた。 米国当局によれば、中国共産党は対艦巡航ミサイルを配備し、軍事レーダーと通信傍受情報能力を拡充し、何十もの戦闘機格納庫を建設し、戦闘機に適した滑走路を建設しているという。

中国は、国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき国際法廷が2016年に下した、この重要な水路に対する中国政府の主張には法的根拠がないという判決を軽視している。 中国の軍事前哨基地を含む海洋構造物の建設は、この判決に違反している。

中国は、合法的権利を持たない領海の支配を主張するために、軍事化された前哨基地を使用し続けており、 何百隻もの海上民兵船や海警局船を駐留させ、日常的に民間船舶に嫌がらせをし、他国の合法的な法執行活動や沖合漁業、炭化水素開発を妨害している。

「中国は力による現状変更を望んでいる。各国を疲弊させ、自国の主張に屈服させたいのだ」と英国王立防衛安全保障研究所(Royal United Services Institute)のアソシエイト・フェローで中国外交の専門家であるサリ・アルホ・ハヴレン(Sari Arho Havrén)氏は2024年6月、ビジネスインサイダー(Business Insider)誌に語っている。 同氏はさらに、2024年6月に中国海警局の隊員がフィリピンの船員に対してナイフ、ナタ、つるはしを振り回した事件などの中国の行動も、「応戦すれば戦争を引き起こすフィリピンの恐怖心」を煽るものであると述べている。

2002年の宣言において、中国はまた、国連海洋法条約(UNCLOS)を含む「普遍的に認められた国際法の諸原則に規定された南シナ海における航行と上空飛行の自由」を守ることを約束した。

しかし、中国の戦闘機は何度も、最近では2024年8月中旬にも、フィリピンが定期的にパトロールしているスカボロー礁上空で、フィリピン政府が挑発的とみなす行為や危険な作戦を実施している。

また同月、中国海警局は、フィリピンのパラワン州から約135キロ離れた、フィリピン政府の国際的に認められた排他的経済水域内にある南沙諸島のサビナ礁と知られる地点近くで、フィリピン沿岸警備隊の哨戒艇2隻を妨害した。 米国務省によると、この衝突によりフィリピンの船舶が損傷し、乗組員の安全が脅かされたという。

この事件は非常に悪質で、米国は直ちに中国政府にフィリピンとの防衛条約を想起させた。 米国務省は「米国は、1951年の米比相互防衛条約第4条が、南シナ海のいかなる場所においても、フィリピンの軍隊、公船、航空機(沿岸警備隊船を含む)に対する武力攻撃に適用されることを再確認する」と述べた。

さらに、中国は、セカンド・トーマス礁に駐留するフィリピン海軍艦艇シエラマドレ号への補給任務と海兵隊員交代の妨害をしないと約束したにもかかわらず、これを繰り返し実行しようとしている。 2016年の判決で明らかになったように、同礁はフィリピンの大陸棚にある。

フィリピン海軍の戦車揚陸艦シエラマドレは、南シナ海のセカンド・トーマス礁で軍事前哨基地として機能している。
画像提供:AP通信

マックス・プランク比較公法・国際法研究所(Max Planck Institute for Comparative Public Law and International Law)のシニアリサーチフェローであるクリスチャン・シュルトハイス(Christian Schultheiss)博士は、ディプロマット誌の2024年8月に記事の中で、同宣言を尊重し、セカンド・トーマス礁の緊張を緩和するためには、意図的に座礁されたシエラマドレ号が劣化しているため、フィリピンが撤退した場合、中国は同礁を占有しないと約束すべきだと書いている。

アナリストによると、同宣言の下、中国は南シナ海行動規範の採択も約束したが、合意の履行を妨害するために遅延戦術を用いているという。

中国は南シナ海やその他の場所で、妥協点を見いだすことや合意を守ることに対し、誠意がないことを繰り返し示してきたと、アナリストは指摘する。 また、中国政府は、交渉を引き延ばすように見せかけ、自国の目的や野心に適う場合には合意を破棄し、最近のフィリピンに対する攻撃もこのパターンに従っているとアナリストは主張する。

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