アレクサンダー・S・パーク中佐/米国陸軍州兵
米韓同盟は、長い間、朝鮮半島とインド太平洋地域の安定の柱となってきた。2023年4月、韓国の尹錫悦(Yoon Suk Yeol)大統領と米国のジョー・バイデン大統領は、同盟結成70周年を記念して会談した。両大統領は「ワシントン宣言」を発表し、地域の平和と安定の維持に対する同盟国の鉄壁のコミットメントを再確認した。両国の強固な関係を基礎に、この強化されたコミットメントは、日本を含む広域での協力強化の土台を築くものである。米韓両国は経済安全保障と技術面での協力を目指しており、これは国際協力の新たな区切りを意味している。
米韓同盟の動的な性質は、進化する能力を持ち、北朝鮮に関する政策の相違といった難題に耐えるというものであり、この同盟関係の本質的な強さを示している。変動は同盟の複雑で本質的に流動的な性質を浮き彫りにしており、この複雑さを理解し、認識することは、揺るぎない同盟を強化し、前進させることを目指す軍事および安全保障を実践する者にとって極めて重要である。強固で機敏かつグローバル志向の戦略的パートナーシップを確保するためには、特に人道支援・災害救援(HADR)などの分野において、国境を越えた問題や回復力に焦点を当てる必要がある。
コミットメントに向けた舵取り
北朝鮮が1950年6月に南侵する前、米国の軍事支援には、第二次世界大戦後の再建と韓国軍の常備兵力の訓練が含まれていた。中国軍が加わった北朝鮮のソ連支援部隊が、朝鮮半島全域で共産主義的支配を行使しようとしたため、国連安全保障理事会は加盟国に韓国防衛を呼びかけた。韓国の支援に軍隊を派遣した16か国のうち、米軍は国連の軍事部隊の約90%を占めていた。朝鮮戦争の休戦と1953年の米韓相互防衛条約の締結後、米国の最大の懸念は、朝鮮半島における新たな紛争に巻き込まれる可能性だった。一方、北朝鮮からの絶え間ない脅威に直面していた韓国は、国の存続と戦後の復興の取り組みにおいて極めて重要な防衛上の保証と経済的、政治的、外交的支援の保証を求めていた。
冷戦が最高潮に達した1960年代から1980年代にかけて、米韓両国はその同盟関係において、異なるが相互に関連するリスクに直面していた。米国の外交政策は、同盟国が自国の防衛に第一義的な責任を負い、米国はそれを支援する役割を果たす必要性を強調していた。さらに、米国の外交政策がますます人権を重視するようになる中、当時の権威主義政権下における韓国の人権記録は、時として両国の関係を緊張させた。こうした米国の姿勢に対し、韓国は積極的に経済発展と軍事力の近代化を進め、秘密裏に核兵器を開発する可能性を含めた自衛能力を追求した。このことが両国にとって安全保障上のジレンマとなった。
米韓両国は同盟を管理する上で、それぞれの国が直面するリスクを軽減することに努めた。1978年に韓国における米韓連合司令部(CFC)の設立は、両国の関係を強化する上で極めて重要であり、同盟の歴史において重要な瞬間となった。今日、司令官として米国軍のポール・ラカメラ(Paul LaCamera)大将と、副司令官として韓国軍のカン・シンチョル(Kang Shin Chul)大将が率いるCFCは、韓国防衛に対する米国のコミットメントを象徴している。この指揮系統は、朝鮮半島における米国のプレゼンスと関与を再確認し、韓国の防衛における自主性を確保するものである。CFCの創設は、防衛責任の共有と戦略的協調関係への新たなコミットメントを象徴しており、信頼と協力の構築に貢献している。
冷戦後の米韓同盟は、対北朝鮮政策の転換を主因とする新たな課題に直面した。韓国は1998年から2008年にかけて、南北関係改善のため北朝鮮に経済支援を行う「太陽政策」を実施したが、北朝鮮の人権侵害や核兵器開発といった根本的な問題には対処していない。韓国政府が北朝鮮に経済支援を行ったのに対し、米国は北朝鮮の核兵器開発を終わらせることを目的とした制裁など、異なるアプローチを採用した。2005年、米国は北朝鮮の人権に関する初の特使を任命し、この地域の人権問題に取り組む姿勢をさらに強調した。米国はまた、安全保障上の懸念を優先し、北朝鮮を主に地域の脅威とみなしていた。一方、韓国政府と国民は北朝鮮を差し迫った脅威というよりは疎遠な親族と見ており、和解と統一の可能性を期待していた。同盟の直近の歴史においても、米国の戦略は厳しい制裁に焦点を当て、北朝鮮に非核化交渉に参加するよう説得することを目的としており、韓国のイニシアチブとは異なっている。
しかし、長年にわたり、米国政府と韓国政府はこのような時期をうまく乗り越え、地域の安定と世界的な核不拡散に対する長年のコミットメントを強化してきた。この永続的なコミットメントは、韓国が1975年以来、核兵器不拡散条約(NPT)を遵守し、核兵器開発に反対する政策が強化されてきたことで強調されている。ワシントン宣言は、韓国政府が同盟中心の安全保障戦略に沿って非核の道を歩み続けることを改めて表明し、この立場を確固たるものにした。この一貫したアプローチは、朝鮮半島における核拡散に対する統一的な姿勢を実証する二国間の価値観と目的の深く持続的な提携を反映している。これは、非核化され安定した地域に向けた両国の共通のビジョンを示すものであり、進化する世界的な動きの中で、平和と安全に対する両国の揺るぎないコミットメントを示すものである。
過去から学ぶ
米韓同盟の70年におよぶ歴史は、両国が難局を乗り切るための進化と動的な相互作用に特徴づけられる。同盟は、国家の利益、国内の政治情勢、他国の行動に対する認識の変化に応じ、強化、脆弱化、あるいは解消される。米韓同盟は強化された時期も緊張した時期も経験し、その前進に専心する安全保障の実践者たちに以下のような根本的な疑問を投げかけてきた。過去の教訓は、将来の課題と機会に対する戦略的アプローチにどのように活かされるのか?
1953年の朝鮮戦争の休戦以来、米軍は韓国に数万人の軍人を駐留させてきた。米国の法律は、平和で安定した朝鮮半島を支援するために28,500人の軍隊を維持することに同意することで、両国の関係を肯定している。世論調査では一貫して、両国の国民のほとんどが、強化され続ける同盟関係を肯定的にとらえていることを示している。韓国の牙山政策研究院によると、2012年以降、韓国では回答者の約90%が米韓同盟を必要だと考えており、80%が朝鮮半島の統一が実現した後でも、同盟の重要性は変わらないと考えているという。シンクタンクのシカゴ国際問題評議会(Chicago Council on Global Affairs)の報告によると、米国では、2022年の調査で、在韓米軍基地に対する強い支持が明らかになり、回答者の72%が長期的な軍事プレゼンス維持に賛成しているという。
米韓同盟における核心的な問題は、自主的な防衛態勢の確立、北朝鮮との和解の追求、米国との同盟のバランスといった主要目標間の釣り合いを取るという韓国の課題を含む根本的な韓国のダイナミクスに起因する。米国は、地域の緊張を高めることなく北朝鮮の侵略を抑止することに重点を置いている。この多面的なダイナミクスは、米韓関係を形成する戦略的、地域的、世界的な要素の相互作用を反映しており、同盟自体が変わる可能性もあり、それは予想し得ることだ。韓国と米国は、韓国のダイナミクスを十分に理解することで、同盟を管理し、強化してきた。また、両国は適応性を重視し、現代の課題に対処し、現代の地政学的状況の複雑さを乗り切るためのより迅速で柔軟なパートナーシップを構築してきた。
2023年、米韓同盟は、ワシントン宣言でなされたコミットメントの直接的な成果として、核協議グループ(NCG)の設立という重要な一歩を踏み出した。この進展は、朝鮮半島における核による不測の事態に対し両政府が共同で計画を立て、準備を整えるための積極的かつ協力的な取り組みを象徴している。NCGは、米国の韓国に対する拡大抑止コミットメントを強化するだけでなく、核の脅威に直面する韓国の安全保障上の懸念に直接対処するものである。核戦略における協力のための本フォーラムは、戦略的整合性を高め、この地域における米国の核不拡散の取り組みを著しく前進させるものである。NCGの設立は、同同盟の適応力と強さの証でもある。これは、戦略的な先見性と過去からの教訓が、新たな課題への現代の対応方法を示しており、今日の複雑な地政学的状況を乗り越える上で、ダイナミックで回復力のある一団としての同盟関係を確固たるものにしている。
前進する同盟
数十年にわたり、米韓同盟は大きな変化を遂げ、非対称的で地域重視の関係から、より対称的でグローバル志向の関係へと移行してきた。当初、韓国は米国の軍事・経済援助に依存していたが、今や経済・軍事・文化の強国へと発展した。この進化は、尹大統領が発表した韓国初の「インド太平洋戦略」や日米韓三国間パートナーシップの確立に象徴されている。また、韓国政府の2023年国家安全保障戦略は、「急速に進化する安全保障環境に積極的に対処し」、国際平和、安全保障、人権、経済発展を促進するというコミットメントを再確認している。韓国政府はまた、国連平和維持活動、海賊対策、世界的な核不拡散の推進、ペルシャ湾やアフガニスタン、イラクへの部隊派遣などに貢献している。例えば、ザイトゥーン部隊は、3,600人の韓国軍兵士を擁し、テロとのグローバル戦争に貢献しているが、2004年から2008年までイラクのクルディスタン地域で平和維持・復興任務を遂行し、安定化と経済発展に貢献したと高く評価されている。世界的な影響力の高まりを反映して、韓国は経済・軍事援助を拡大してきた。政府系通信社の聯合(Yonhap)ニュースは、2023年には海外開発援助を約5,300億円(34億ドル)に増額すると報じた。この動きは、国際問題においてより重要な役割を果たすためのコミットメントを意味し、韓国が世界トップクラスの経済大国であることを強調するものである。さらに、韓国政府のウクライナへの軍事物資の供給や教育システムの再建援助を含む支援は、世界の主要プレーヤーとして台頭していることを示している。この進展は、よりバランスのとれた世界的な視点に立った米韓関係を構築し、戦略力学における重要な転換を表している。
米韓同盟が発展するにつれて、その範囲を従来の安全保障上の懸念にとどまらず、特にHADRのような分野において、国境を越えた問題や回復力にまで広げることが急務である。この変革は、国際的な課題により包括的に関与するための足がかりとなる。自然災害や人道的緊急事態を含む様々な世界的危機に適応し対応する同盟の能力は、21世紀における同盟の関連性を強化するだけでなく、世界の安定と共有済みの価値観へのコミットメントを例証するものでもある。これは同盟の戦略的進化に沿っており、世界各地で危機に見舞われた地域社会の緊急のニーズにも対処すると同時に、国際平和と安全保障に大きく貢献する。
国境を越えた問題や回復力に取り組むことは、同盟にとって極めて重要であり、世界的な相互連結と人道的義務へのコミットメントを反映し、同盟の影響力と国際的地位を高めるものである。例えば、HADRへの関与は、気候変動という増大する課題に対する両国の備えとなり、即応能力と対応能力を強化する。こうした取り組みはまた、相互の信頼と協力を醸成し、紛争の原因を緩和することで平和と安定への貢献につながる。
HADRの取り組みは、どちらの国にも望まぬ政治的・軍事的コミットメントを義務付ける可能性は低く、戦略的優先順位の大幅な転換を引き起こすこともない。この焦点は、多くの場合、地政学的利害の複雑なバランスを取る必要がある複雑な防衛・安全保障協定を結ぶことなく、両国が共有する価値観と目的に合致する。HADRへの共同対処と準備は、作戦上の調整と即応性を育成することにより、韓米同盟を著しく強化する。同盟のイニシアチブの中で民軍間の協調を強化することは、対応能力を向上させるだけでなく、相互理解と信頼を築くことにもつながるため、この点で重要である。このように、各国の手順や能力を熟知することで、災害時のより効率的かつ効果的な対応につながる。HADRイニシアチブにおける民軍間協調の強化は、実践的なステップを通じて達成できる。まず、民軍合同の作戦センターを設置することで、軍事施設と民間の災害管理当局との間のリアルタイムの通信と意思決定を促進できる。これらのセンターは、災害対応活動中の調整ハブとしての役割も果たす。次に、軍と民間の災害対応チームが定期的に合同訓練や模擬演習を行うことで、すべての関係者が互いの手順や能力を熟知し、緊急時のシームレスな統合につながる。
さらに、データ交換と情報収集のための共有プラットフォームを開発することで、軍と民間の組織が重要な情報にアクセスできるようになり、状況把握と対応効率が高まる。軍と民間の指導者が災害シナリオの戦略を立て、準備する共同計画セッションも、目的とアプローチを一致させるのに役立つだろう。さらに、災害対応活動の教訓を計画に取り入れることで、民軍間の調整向上につながる。このような措置を講じることで、米韓同盟は、軍と民間の能力を活用した包括的で迅速かつ結束力のある対応メカニズムを確保することができるのだ。
進化し続けるパートナーシップ
米韓同盟は永続的な協力と戦略的進化の証である。70年以上にわたり、同同盟は数えきれない困難を乗り越えてきた。その軌跡は、地政学的力学、国益、変化する世界情勢の複雑な相互作用によって形成されてきており、同同盟の回復力と適応性を強調している。同同盟のリスク管理能力は、その長期間の関係と有効性の中心をなしてきた。このバランス感覚は、両国の微妙な理解と戦略的先見性を反映している。同同盟は相互防衛と安全保障を基礎としながら、国境を越えて地域の安定と世界的な協力という目標を包含してきた。
同同盟が前進するにつれ、軍事中心の同盟関係から、よりバランスの取れたグローバル志向の関係へと進化することが極めて重要である。韓国の世界的な役割の増大は、地域の安定に対する米国のコミットメントと相まって、よりダイナミックで影響力のある連携の準備を整えている。現代の課題に取り組むことで、米韓同盟はその戦略的関連性を強化するだけでなく、世界の平和と安全保障に大きく貢献することになる。包括的で包摂的なアプローチに向けたこの戦略的枢軸は、この鉄壁の同盟をインド太平洋地域における安定の礎とし、世界的な課題に対処する鍵であり続けさせるのだ。