違法な海洋権益を主張する中国政府の積極的な活動を検証

FORUMスタッフ
軍事拠点に物資を補給していたフィリピン要員に対するナイフや斧を使った襲撃事件は、南シナ海における中国の最近の最も攻撃的な権力闘争を示すものである。 2024年6月17日、中国要員がこの補給船のクルーを負傷させ、ゴムボートを切り裂き、武器を奪った襲撃事件は、この地域でますます激化している一連の暴力的な紛争の後に起こった。
動画提供:フィリピン軍
中国共産党の軍事施設を支援するための襲撃、いたるところのパトロール、人工島の建設は、中国が計画的に進めている南シナ海および東シナ海での漁業、海底採掘、国際航路の支配計画の一部である。また多くの場合、それらは国際的に承認された他国の排他的経済水域(EEZ)内にある。 海は魚類の宝庫であり、石油、天然ガス、鉱物資源も豊富で、商業船舶や軍用船舶にとって重要な海上交通路となっている。 ロイター通信が2024年7月に報じたところによると、南シナ海だけでも年間480兆円(3兆ドル)以上の商取引の経路となっているとのことだ。
自由で開かれたインド太平洋を支持するため、志を同じくするインド太平洋諸国は、安全保障連合を組んで中国政府の侵略に対抗してきた。 長年の同盟国であるフィリピンと米国が協力を強化していることに加え、オーストラリア、日本、フィリピンといった国々も防衛協力を強化している。
2016年、ハーグの国際法廷は、中国政府が主張する南シナ海の大部分に対する広範な領有権主張を退け、法的根拠がないと判決を下した。 この判決はまた、南シナ海地域およびフィリピン海域での人工島建設など、中国共産党の南シナ海での行動を非難するものでもあった。 しかし中国政府はこの判決を無視し、違法な主張を続けている。
中国共産党の立場をさらに悪化させているのは、海を隔てる台湾自治島は中国の一部であり、必要であれば武力をもって本土と統一しなければならないという中国の主張である。 中国人民解放軍は台湾沖で軍事演習を繰り返す一方で、台湾の市民に対して脅迫行為や操作された情報を流し続けている。
またその一方で、2023年初頭から中国海警局の船舶がフィリピンの漁民に嫌がらせをし、シエラ・マドレ号に駐留する少数の兵士に食料やその他の物資を届ける船舶に衝突し、妨害し、放水砲を発射している。シエラ・マドレ号は1999年にフィリピンEEZ内のスプラトリー諸島のセカンド・トーマス礁に意図的に置き去りにされたフィリピン海軍の船舶である。 ラジオ・フリー・アジアの報道によると、2024年6月17日の特に激しい襲撃以来、中国共産党は海上民兵艦隊と最大規模の海警局艦船のパトロールにより、海域に対する虚偽の主張を強化しているという。

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中国共産党は南シナ海のスプラトリー諸島とパラセル諸島で、既存の地形に浚渫砂を積み上げて島を作り、港を建設し、軍事施設や滑走路を設置した。 米国を拠点とするシンクタンク、外交問題評議会(Council on Foreign Relations)の報告によると、2024年6月の時点で、中国は西沙諸島に20か所、スプラトリー諸島に7か所の前哨基地を有している。 また、南シナ海のスカボロー礁と東シナ海の尖閣諸島の領有権も主張している。
中国共産党が主張するこの広範な海域は、ブルネイ、日本、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムが主張するものと重なっている。 ブリュッセルに拠点を置く国際危機グループ(International Crisis Group)が2021年に報告したところによると、2014年に中国の石油掘削施設がベトナムのEEZ内に出現した際、ベトナムの各都市で反中国共産党暴動が発生したという。 また、中国政府は2017年、ベトナムが中国共産党の不明確な領有権主張と重なる大陸棚の一部での掘削を止めなければ、スプラトリー諸島にあるハノイの前哨基地を攻撃すると脅したと、同組織は伝えている。
日本の海上保安庁と中国の海警局は、日本が実効支配する尖閣諸島(中国側は釣魚島と呼ぶ)をめぐって衝突を繰り返してきた。 両国は8つの無人島と岩礁の領有権を主張している。
漁業が盛んで、EEZ内に潜在的な利益が見込める石油・ガス田を持つインドネシアは、インドネシア人が北ナトゥナ海と呼ぶ南シナ海の一部に現れる中国海警局の船舶を監視している。 インドネシアと中国は、インドネシアのEEZにおける漁業権や鉱物資源権をめぐって衝突を繰り返している。
その一方で、待望されていた南シナ海の行動規範の採択は依然として保留されたままである。 交渉は2002年に開始された。 東南アジア諸国連合はそのような協定の締結を強く求めているが、中国共産党の指導部は広範な領有権主張を制限する措置を受け入れることはないだろうとアナリストらは指摘している。