自由で開かれたインド太平洋を強化する日本とフィリピンの絆

FORUMスタッフ
日本とフィリピンの絆が強まるにつれ、自由で開かれたインド太平洋を確保する取り組みの一環として、両国の防衛軍が互いの領土で訓練を行うことを認める協定が近く結ばれる見通しだ。
共同通信社の報道によると、フィリピンのジルベルト・テオドロ・ジュニア(Gilberto Teodoro Jr.)国防長官は最近、2024年7月に開催される上級レベルの二国間会談で、この協定が最終合意に達する「非常に強い可能性」を認めた。 テオドロ国防相とフィリピンのエンリケ・マナロ(Enrique Manalo)外相は、マニラで日本の木原稔防衛相、上川陽子外相と会談する予定である。
この協定により、フィリピンと米国が毎年実施している大規模なバリカタン演習に日本の自衛隊も参加できるようになる、とテオドロ国防相は述べた。 日本はこれまでオブザーバーとして参加していた。
また2024年5月には、南シナ海で中国がフィリピンの船舶に対して攻撃的な行動を取る中、日本はフィリピンが日本の巡視船5隻を取得できるよう約647億6,600万円(4億1,200万ドル)の低利融資を行うことに合意した。 日本は2016年以来、フィリピン沿岸警備隊に巡視船12隻を提供しており、そのうちの2隻はフィリピンの艦隊で最大となる97メートルの巡視船である。
さらに5隻の大型船が2028年までに引き渡される予定で、沿岸警備隊の「海上監視、対応、執行能力を強化し、我が国の国民と海域を往来する人々にとってより安全で安心な海を確保する」と、マニラでの調印式でマナロ外相は述べた。
遠藤和也駐フィリピン大使は、海上保安庁の能力構築の取り組みへの支援を約束し、 「フィリピンを取り巻く情勢が深刻化し続ける中、(海上保安庁は)我々の共通の利益とルールに基づく海洋秩序を守るための最前線に立っている」と語った。
中国の海上民兵と海警局の船舶は、セカンド・トーマス礁の軍事基地への補給任務を遂行中のフィリピン船舶を妨害し続けている。 2024年3月、中国海警局の船舶が放水砲を発射し、フィリピン船員2人が負傷、補給艇が損傷した。 フィリピン軍によると、別のフィリピン船が中国海警局の船舶に衝突され、5月には中国のゴムボートがこの前哨基地への空中補給を妨害したという。
この挑発行為は、セカンド・トーマス礁周辺海域に対する中国政府の広範かつ恣意的な主張の一環である。 国際法廷は2016年、フィリピンの排他的経済水域内に含まれるこの海域に対して、中国には法的請求権がないとの判決を下した。
アジア問題アドバイザーのウルス・ショットリ(Urs Schöttli)氏は、リヒテンシュタインに拠点を置くシンクタンク「地政学的情報サービス(Geopolitical Intelligence Service)」対して2024年2月に寄稿したエッセイの中で、南シナ海で両国が共通の海洋境界線を持つことから、フィリピンは東南アジアにおける日本にとって最も重要な戦略的パートナーであると述べている。
「両隣国が直面する課題への政策対応は驚くほど似ている」と同氏は記し、日本は2016年にフィリピンと防衛装備品を供給する協定を締結しており、フィリピンは志を同じくする国々の防衛力の強化を目的とする日本の政府安全保障援助の最初の受益国であることを指摘した。
日本とフィリピンの安全保障協定は、2024年4月にワシントンD.C.で開催された岸田文雄首相、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア(President Ferdinand Marcos Jr.)大統領、ジョー・バイデン(Joe Biden)米国大統領による三か国首脳会談の後に締結された。首脳らは両国が「自由で開かれたインド太平洋と国際法に基づく国際秩序という共通のビジョンによって結ばれており、このビジョンは今後数十年にわたって共に前進していくことを誓うものである」と述べた。