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インド太平洋地域の同盟国とパートナーは、避難所や衛生キットの提供をはじめ、軍隊や緊急事態管理の専門家の派遣に至るまで、甚大な地滑りが発生したパプアニューギニア(PNG)の支援に総力を挙げて取り組んでいる。
オーストラリアは、2024年5月下旬にエンガ州で発生した災害への対応と復興活動を主導する市民社会組織への支援に加え、この北の隣国への人道支援として当初2億6,700万円(170万ドル)を拠出すると発表した。
動画提供:オーストラリア国防省
「オーストラリア国防軍は、PNG国防軍と緊密に連携し、対応を支援している」と、オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防大臣は声明で述べた。 さらに続けて、「この仕事は、両国の軍隊間の緊密なパートナーシップをまたひとつ証明するものである」と付け加えた。
米国国際開発庁(USAID)は、緊急避難所の物資や水、衛生設備、衛生支援など、人道的支援として7,860万円(50万ドル)を提供している。
ポートモレスビーの米国大使館は、「米国は、今日も、そしてこれからも、我々の親しいパートナーであり友人であるパプアニューギニアとともにある」と発表し、現地の災害対応機関と協力している。
ジョー・バイデン米大統領は声明の中で、「この悲劇によって影響を受けたすべての家族と、同胞を助けるために危険に身をさらしているすべての救急隊員に祈りを捧げる」と述べた。
午前3時頃に発生した土砂崩れで村々が押し流され、輸送用コンテナほどの大きさの岩を含む瓦礫の山の下に2,000人以上が生き埋めになった可能性がある。 報道によると、5月24日、多くの家屋や商業施設が倒壊したという。 人里離れた高地での捜索救助活動は、瓦礫が散乱する高速道路、崩落した橋、さらなる土砂崩れの恐れによって妨げられており、壊滅的な被害から1週間が経過した今も死者数は不明のままである。
数千人もの住民が避難を余儀なくされ、また飲料水の入手もままならない状況に置かれている。
「この大惨事の余波で我々が直面する課題は計り知れない」と国連移民機関のパプアニューギニア派遣団長セルハン・アクトプラク氏はニュースリリースで述べ、 「土砂の動きは止んでおらず、この地域は依然として極めて危険な状態にあり、道路の寸断、インフラの損壊、悪天候によってアクセスが妨げられている」 と続けた。
インド太平洋地域のパートナー各国は、以下を含むPNGへの支援を迅速に実施した。
- ニュージーランドは、救援物資を届けるためにニュージーランド国防軍のC-130航空機を派遣し、緊急事態管理の専門家を派遣するなど、約1億4,000万円(90万ドル)の支援を行っている。 「この災害は計り知れない苦しみを引き起こしており、ニュージーランド国防軍はその対応の一翼を担う用意がある」とジュディス・コリンズ国防相は声明で述べた。
- シンガポール赤十字社は、食糧、避難所、外傷治療、水、衛生用品に630万円(4万ドル)近くを拠出するとともに、復興活動のための公的募金活動も開始した。 「赤十字・赤新月運動のパートナーと緊密に協力して状況を監視し、我々の人道援助が被災したコミュニティをどのように支援するのが最善かを判断している」と、同機関の最高経営責任者(CEO)であるベンジャミン・ウィリアム氏はニュースリリースで述べた。
- 国連は、州政府と国家機関の間で対応策を調整し、テント、医療キット、心理社会的支援、その他の救援物資を提供している。
人口約1,000万人のパプアニューギニアは、2024年に複数の自然災害に見舞われているが、首都ポートモレスビーから北へ約600キロ離れたエンガでの土砂崩れは、そのひとつである。
パプアニューギニアのポスト・クーリエ紙によると、ジェームズ・マラペ首相は土砂崩れの数日後、「我々は、乾燥から豪雨、河川地域の洪水、沿岸地域の海面上昇、山岳地域の土砂崩れといった異常気象に直面している」と議会で語った。
激化する自然災害に直面して、USAIDは12,000人以上に災害への備えと対応支援を提供するなど、パプアニューギニアが気候関連の脅威に対する回復力を構築できるよう支援している。 さらに、PNG国防軍と米軍関係者は最近、ポートモレスビーで人道支援と災害救援の演習を完了し、医療避難や患者ケアなどの分野で危機対応の専門知識を共有した。
2023年に締結された同国の防衛協力協定に基づき実施されたこの訓練では、太平洋の島国である同国全域を対象とした災害支援計画立案の演習も行われた。
ダーウィン海兵隊ローテーション部隊司令官のブライアン・マルビヒル米海兵隊大佐は、「この演習の目的は、地域のパートナーシップを強化しながら、危機対応能力を検証することだ。 我々は準備態勢を維持し、必要な時に支援を提供できるようにしておくことが重要である」と述べている。