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台湾の民主主義は、台湾海峡、インド太平洋全域、そして世界全体の安定に貢献している。 2024年1月の台湾総統選挙では、3人の総統候補者全員が両岸の現状維持を公約に掲げた。
「軍事的、経済的な課題は増えているが、私の最優先事項は現実主義と一貫性である」と頼清徳(Lai Ching-te)副総統は選挙期間中、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿し、現状維持が台湾と国際社会にとって最善の利益であることを強調した。
台湾の領有権を主張し、台湾を武力で併合すると威嚇する中国が、経済的・軍事的威圧を強める中でも、台湾政府の主な政治姿勢は平和を守るという台湾の有権者の意思を強めている。
中国政府のグレーゾーン戦略には、台湾付近への軍用機、軍艦、準軍事組織によるパトロールの配備、台湾の金融システムに打撃を与えることを目的とした貿易措置の行使、情報操作活動やサイバー攻撃などが含まれ、これらはすべて選挙期間中に激化した。
中国と台湾を隔てる幅180キロの台湾海峡は、国際通商にとって極めて重要である。
台湾で紛争が起きれば、多くの人命が失われ、地域経済が壊滅し、世界全体の国内総生産の推定10%が失われると研究者らは指摘する。 このような事態を回避するための台北のアプローチは、世界的なパートナーのアプローチと一致しており、 日本、フィリピン、韓国を含む近隣諸国は、現状維持を繰り返し求めている。 米国は、40年以上にわたって地域の安定を維持してきた「一つの中国」政策の一環として、台湾海峡における一方的ないかなる変更にも反対している。 1979年の台湾関係法の下、米国は台湾に自衛を維持するために必要な資産と役務を提供することに合意した。
欧州連合などの機関も、両岸の平和と安定を維持することの重要性を強調している。
一方、頼副総統は、自衛が台湾の安全保障の基盤であるとして、中国の敵対行為に対する台湾の抑止力を強化し続けることを約束した。 また同副総統は、過去8年間、台湾は防衛予算を増やし、徴兵制を改革し、軍事力を増強してきたと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿しており、
「私はパートナーや同盟国との協力、特に訓練、部隊再編、民間防衛、情報共有において、より一層の協力を求めていく」と付け加えた。
一部のアナリストは、中国政府が同副総統の当選に対して軍事的対応を選択する可能性を示唆しているが、中国共産党の習近平主席は国内問題に忙しく紛争を起こすリスクは少ないと指摘する者もいる。 習近平は「国内では経済の軟化、記録的な若者の失業、軍内部の根深い汚職で手一杯だ」と、外交政策専門家のライアン・ハス(Ryan Hass)氏は米国を拠点とするシンクタンク、ブルッキングス研究所に寄稿した。
頼副総統は、習主席が10年近くにわたり台湾の指導者たちとの対話を拒否してきたことに終止符を打つため、中国との対話を再開することを支持すると繰り返し述べてきた。
AP通信によると、同副総統は当選前に「平等と尊厳の原則の下で、中国政府との関与に対して常に我々の門戸は開かれている」と語ったという。 また、同副総統は「台湾海峡両岸の人々のために、我々は喜んで関与する用意ができている。 平和はかけがえのないものであり、戦争に勝者はいない」とも述べている。