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北朝鮮の独裁者は2024年1月下旬、「調味料、食料品、消費財を含む基本的な生活必需品を地方の人々に満足に供給できていない」と認め、北朝鮮の地方経済は「ひどい状況」にあると述べた、と国営の朝鮮中央通信が報じた。
金正恩(Kim Jong Un)総書記がこのことを認めた数日後、北朝鮮の外交官たちが平壌で中国の外務次官と会談した。金正恩は、ウクライナに対する違法な戦争のためにロシアに武器を譲渡することでロシアとの関係を強化した後、中国との関係を強化しようとしている。
北朝鮮の966万人の農村地域住民の一部が飢えている一方で、金正恩は費用のかかる軍備増強を強調し、政権は習近平(Xi Jinping)総書記率いる中国共産党に依存し続けている。中国は北朝鮮の主要な同盟国かつ主要な貿易相手国であり、食糧とエネルギーのほとんどを供給している。
オーストリアのウィーン経済・経営大学(Vienna University of Economics and Business)の研究者らによると、2020年時点で北朝鮮国民の60%にあたる1,500万人が絶対的貧困状態にあり、食料、住居、飲料水、教育、医療といった基本的なニーズを維持できていないという。
米国の国連代表部は2023年10月、北朝鮮の武器輸出を禁止する国連安全保障理事会決議に違反して、金正恩政権がロシアにコンテナ1,000個以上の武器・弾薬を輸送したと発表した。
ドイツの放送局ドイチェ・ヴェレ(Deutsche Welle)が2024年2月に報じたところによると、北朝鮮の中央計画経済は2022年に約3兆6,800億円(245億ドル)規模だった。武器移転の後、ロシアは凍結されていた北朝鮮の資産13億円(900万ドル)を放出しており、さらに国際銀行ネットワークへのアクセスを提供することで、北朝鮮が経済制裁を回避する手助けをする可能性がある、とニューヨーク・タイムズ紙は報じた。
ロシアからの支払いは、北朝鮮の農村住民1人当たり1ドル足らずだ。政権はこの資金で原油を購入する意向だとタイムズ紙は報じた。
北朝鮮の核兵器とミサイル開発計画、そして新型コロナウイルスによる国際的制裁によって北朝鮮経済が荒廃するなか、与党は最近、貧困と食糧難に直面している農村地域を発展させる任務を委員会に託した。一方、国営メディアによれば、軍事費は北朝鮮の国内総生産(GDP)の16%近くを占め、近年はGDPの26%にも達している。ラジオ・フリー・アジア(Radio Free Asia)の報道によると、北朝鮮の経済は2022年に至るまで3年連続で縮小し、製造業は6年連続で縮小した。
1990年代、北朝鮮は壊滅的な飢饉に見舞われ、推定60万人から100万人が死亡した。慢性的な食糧不足は、数十年にわたる政権の経済失政の産物だと言える。
「端的に言えば、北朝鮮は飢饉の瀬戸際にある」と、ワシントンDCを拠点とするシンクタンク、スティムソン・センター(Stimson Center)は2023年に報告している。
食糧難の深刻さは、韓国統一部(Unification Ministry)が6,300人以上の脱北者へのインタビューに基づいて2024年2月に発表した報告書でも明らかになっている。ロイター通信によると、過去10年間に韓国に移住した回答者のほとんどは、北では政府からの配給を受けたことがなく、その場しのぎの市場に頼って生活費を稼いでいたという。世帯収入の70%近くをこうした非公式な収入源から得ているという人もいた。
「北朝鮮住民の住宅、医療、教育環境はまだ未整備であり、生存のための生活の多くの面で自由主義経済への移行が続いていることが確認できた」と金 暎浩(Kim Yung-ho)統一部長官は述べた。