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紅海航路を航行しようとする船に対するフーシ派の攻撃で中国貿易に打撃

FORUMスタッフ

中国の貿易業者は、フーシ派の反政府勢力の標的ではないが、武装勢力がバブ・エル・マンデブ海峡を通過する貨物船に攻撃を行っていることで大きな影響を受けており、世界で最も交通量の多い航路のひとつであるバブ・エル・マンデブ海峡の危機が永続的な影響を及ぼすことを懸念している。

ある中国人ビジネスマンによると、イランと親密な関係にあるフーシ派が紅海とアラビア海を結ぶこの戦略的航路で船舶を襲撃したことで、ヨーロッパへのコンテナ輸送費は2023年12月の約438,000円(3,000ドル)から2024年1月には1,022,000円(7,000ドル)に跳ね上がった、とロイター通信は報じている。 イエメンを拠点とする同反政府勢力は、イスラエルの対ハマス戦争を支持する国からの船だけを攻撃すると主張しており、これには中国は含まれないが、中国の輸出業者や製造業者は、狭くて危険性が増しているこの海峡を通過または迂回して貨物を輸送するための船賃や保険料の高騰に直面している。

2024年1月、紅海の船舶に対する反乱軍の攻撃に対抗するため、米国海軍の空母「ドワイト・D・アイゼンハワー(USS Dwight D. Eisenhower)」で飛行作戦が行われた。
動画提供:カルヴィン・ケス(Kalvin Kes)兵曹/米国海軍

こうした海運のボトルネックは、世界最大の貿易国である中国が、薄利多売と新型コロナウィルス規制の影響を受け続けている中で発生している。 同海峡と紅海南部での敵対行為は、中国企業が北端のスエズ運河沿いやその周辺に投資する際の安全なアクセスを妨げるものでもある。 一方、中国は不動産のメルトダウン、消費者需要の低迷、人口減少、世界的な成長鈍化に直面している、とロイター通信は2024年1月に報じている。

世界の海運業界も同様に攻撃の影響を受けている。 通常、アジアとヨーロッパを結ぶ最短の海上ルートである紅海を通過するコンテナ船、ばら積み貨物船、タンカーの多くは、現在、南部アフリカを約6,000キロ迂回しており、2週間かかることもある。 AP通信によると、英国と米国は、イエメン国内のフーシ派の兵器を標的とし、トマホークミサイルや戦闘機を使って反体制派のミサイル貯蔵所、ドローン、ランチャーを破壊することで、攻撃に対抗する多国間イニシアチブを主導している。 米国はまた、中国に対し、イラン政府に過激派を抑制するよう説得することを求めた。

中国は「すべての当事者」に対し、「紅海の航行の安全を確保する」よう要請したとフィナンシャル・タイムズ紙が1月に報じた。 しかし、中国はどちらの側にもつくことはなかった。

アナリストによれば、中国は、ヨーロッパの貿易業者が輸送リスクを減らすために、自国により近い国で取引関係を築くことを危惧しているという。 中国製機械部品をヨーロッパに輸出しているICトレード(IC Trade)社の創業者マルコ・カステッリ(Marco Castelli)氏はロイター通信に対し、「企業の中には、生産拠点をヨーロッパに時間で数えて1週間近いインドに移すことを検討するところも出てくるかもしれない」とし、 「企業はすべてを見直す必要がある」と述べた。

今回の迂回は、2021年3月にエジプトの紅海に面したスエズ運河で、巨大コンテナ船エバー・ギブン(Ever Given)号が座礁し、6日間にわたり運河を封鎖したことで、海上交通が一時的に停止し、多額の迂回費用がかかったことを思い起こさせる。 フォーブス誌が2024年1月に報じたところによると、このような運航の中断に耐えられるよう、新たなサプライチェーンを設計した海運会社もある。 中国とヨーロッパ諸国は、鉄道による物資の輸送によって、この障害を部分的に補った。

中国共産党の習近平(Xi Jinping)総書記の「一帯一路(OBOR)」インフラ構想には、エジプト、イラン、イエメンが参加している。 しかし、中国はフーシ派の攻撃阻止には介入しておらず、投資と貿易ルートを通じて参加国を結ぶという一帯一路構想の本来の目的を曖昧にしている、とロイター通信は報じている。

中国の中東専門家であるイン・ガン(Yin Gang)氏は、貿易ルートの寸断が莫大な損失をもたらしていると指摘している。 「紅海航路は中国の商船にとって非常に重要だ」とイン氏はフィナンシャル・タイムズ紙に述べ、 「中国のような国からの輸送は大丈夫かもしれないが、運賃は上がっている。 … 中国にとっては非常に悪い状況だ」と語った。

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