
マーク・ジェイコブ・プロッサー(Marc Jacob Prosser)
北朝鮮や中国といった外的脅威や、人的資源や技術向上などの内的課題といった地政学的緊張や技術革新は、今後も日本の防衛の優先事項を形成していくとアナリストは指摘する。
日本は、防衛力強化を支援する一方で、侵略者から自国の利益を守るためのセーフガードを開発している。 東京に拠点を置くシンクタンク、国際文化会館(International House of Japan)アジア・パシフィック・イニシアティブ地経学研究所(Asia Pacific Initiative and Institute of Geoeconomics)のシニアリサーチフェローを務める小木 洋人氏は、2024年は日本にとって、2022年に国防戦略文書で掲げられた防衛力強化の導入に向けた重要な年になると述べた。
動画提供:日本テレビ/ロイター通信
「R&D(研究開発)や調達は、必要な予算が計上され、着実に進んでいるが、納品までには2、3年かかるだろう」と同氏はFORUMに語り、 「その間に、日本はこれらの能力をどのように運用するかを構想する必要がある」と述べた。
こうした努力には、新たな作戦ドクトリンの策定、計画中の統合作戦本部の設置、米軍との二国間指揮協力メカニズムの見直しなどが含まれる。
元陸上自衛隊少将の吉富 望氏は、日本が防衛省以外の省庁の意見を取り入れた考え方を身につけることに重点を置くことを期待している。
「いかなる防衛政策も、防衛省だけに関係するものではない。 したがって、防衛政策をめぐる政府のアプローチや考え方は、さらに発展させる必要がある」と、日本大学危機管理学部で教授を務める吉富氏はFORUMに語り、 「これは現在進行形だが、さらなる配慮が必要だ」と述べた。
そして、より多くの女性や若年層の自衛隊入隊を奨励する取り組みなど、採用に関して特に重要になると同氏は述べた。 また、予備役を現在の6万人以上に拡大するというチャレンジもある。 ウクライナでの戦争は、紛争や危機における予備役の重要性を浮き彫りにした、と吉富氏は言う。 同様に、予備役は地震などの災害救援や対応に欠かせない。
元海上自衛隊海将補の河上 康博氏は、防衛人材の強化とともに、研究開発などの能力拡充を優先課題に挙げなければならないと FORUMに語った。
「最近発表された自律型水中ロボット(水中ドローン)の計画のような水中防衛装備の開発と配備は、日本がインド太平洋地域の継続的な展開に積極的に対処するために必要な要件だ」と、笹川平和財団安全保障研究プログラムの所長を務める河上氏は述べた。
日本国際基督教大学政治学・国際関係学デパートメントのスティーブン・ナギー(Stephen Nagy)教授によれば、より広範な地域内の抑止力は依然として優先事項であるという。 北朝鮮、台湾海峡、東シナ海と南シナ海の領土問題に関連する潜在的な紛争を考慮しなければならない、と教授はFORUMに語った。
ナギー教授はさらに「日本はまた、挑発行為を抑制するためにどのような対攻撃能力に投資するかを検討し、議論する必要があるだろう。 これらにはトマホーク・ミサイルのような物理的な能力も含まれるが、サイバーセキュリティや一般的なサイバー能力の継続的な開発にも重点が置かれるだろう」と指摘し、
日本にとっての「ソフトパワー」の優先事項には、協調外交、G7や北大西洋条約機構などのフォーラムを通じたインド太平洋問題の国際化への努力、フィリピンを含む地域の提携国との安全保障上の支援と協力の継続が含まれると述べた。
マーク・ジェイコブ・プロッサーは、東京発信のFORUM寄稿者。