今後の期待東南アジア気候連載記事

メコン地域で 科学者らが 380種以上 の生物を 新たに確認

ラジオ・フリー・アジア(RFA)

2023年5月、メコン川流域で過去2年間に攻撃的に変色するトカゲ、中国神話の女神の名を冠した毒ヘビ、ベトナム北東部の森林に覆われた石灰岩の山でしか見られないカモフラージュ効果のあるアオガエルなど、数百種の動植物が発見されたと研究者たちが発表した。

世界自然保護基金(WWF)の報告によると、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムでは世界中の数百人の科学者により、2021年に175種、2022年に205種の動植物が発見されている。

「こうした驚くべき種たちは、科学的には新しい種かもしれないが、大メコン圏で何百万年もの間、生存し、進化してきた種であり、我々の種がこの地域に移動してくるずっと以前からそこにいたことに気づかせてくれる」と、世界自然保護基金の大メコン圏野生生物責任者であるK.ヨガナンド(K. Yoganand)氏は語り、「我々は、彼らの絶滅を食い止め、生息地を保護し、その回復を助けるためにあらゆることをする義務がある」と述べた。

新たに発見された種には、ハンガリーの博物館に20年間も保管されていた親指が太くてネズミのような耳を持つコウモリも含まれている。さらに、1930年代に採集され、最近になって新たな研究チームによって新種であることが確認された植物もある。 

また、人間の活動によって、いくつかの新種が危機に瀕している。カンボジアではカジノ、ダム、住宅開発が常緑低木の破壊に貢献し、ベトナムでは農業侵食、伐採、薬用採取がタイイボイモリ(Thai crocodile newt)を脅かしている。

この2年間で、290種の植物、19種の魚類、24種の両生類、46種の爬虫類、1種の哺乳類が発見され、これで世界自然保護基金が新種のデータ収集を開始した1997年以来、メコン地域での発見数は3,389種となった。

2011年の調査によると、科学者たちは地球上の推定870万種のうち160万種しか確認しておらず、80%以上の種が未発見のままということになる。

野生生物保護に取り組む世界自然保護基金はまた、各国政府に対し、希少生物とその生息地の保護を強化するよう求めた。こうした新種は「森林伐採、生息地の劣化、道路開発、小川や河川の喪失、汚染、人間活動による病気の蔓延、外来種との競合、野生生物の違法取引による壊滅的な影響によって、強い圧力を受けている」と世界自然保護基金は報告している。「悲しいことに、多くの種は発見される前に絶滅してしまう」という。

ベトナムの上級科学者は、新種の発見は自然界に関する知識のギャップを埋めるのに役立つと語った。 

ベトナム科学技術アカデミー(Vietnam Academy of Science and Technology)の生態生物資源研究所(Institute of Ecology and Biological Resources)の副所長、チュオン・Q・グエン(Truong Q. Nguyen)氏は、「これらの生物は、我々研究者を驚きと不安で満たしてくれる — まだ見つかっていない種が無数にあることへの驚きと、それらを発見し、理解し、保護するのに十分な時間がないことへの不安だ」と語った。 

「大メコン圏は生物多様性のホットスポットであり、インド・ビルマ・ホットスポットとしても知られている」と、グエン氏は報告書の序文で述べている。 

この地域には、トラ、アジアゾウ、マレーセンザンコウ、巨大淡水エイなど、象徴的な絶滅危惧種が生息している。しかし、その生物多様性は「森林伐採、汚染、天然資源の乱獲を促進する経済発展と人口増加による多大な圧力に直面しており、さらに気候変動の影響も受けている」とグエン氏は指摘している。

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