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オーストラリア国防軍(ADF)、日本陸上自衛隊(JGSDF)、米国軍の関係者が、「キーン・エッジ24(Keen Edge 24)」で共同作戦能力を強化し、指揮統制手順を磨き、相互運用性を高めた。2024年2月上旬に行われた指揮所演習は、「キーン・ソード(Keen Sword)」実動演習と交互に行われる年次二国間演習シリーズの一環で、参加者はコンピュータ・シミュレーションを使って、危機や不測の事態への対応の予行演習を行った。
陸上自衛隊西部方面隊と米国海兵隊の第3海兵遠征軍(III MEF)の部隊約1,350人が、第1列島線における海上地形の指揮統制の訓練を行い、二国間の連携を強化し、領土防衛のための小規模ながら殺傷力のある部隊のコンセプトを適用することを目指した。
沖縄と日本の本島にある二国間の調整ノードを使い、参加者は同期したロジスティクス、射撃、展開をシミュレーションした。
「西部方面隊と第3海兵遠征軍の二国間関係は、相互防衛の基準となるものだ」と第3海兵遠征軍司令官のロジャー・ターナー(Roger Turner)中将は語り、「この訓練は、複雑なマルチドメイン作戦のための共同調整を強化するものだ」と述べた。
東京郊外では、米国陸軍第38防空砲兵旅団が指揮所訓練の一環として、統合防空・ミサイル防衛任務の予行演習を行った。
「この演習の目的は、緊急性と集中力をもって革新を試み、実験することだ」と、旅団司令官のニール・レイプ(Neal Lape)大佐は述べ、「我々は年間を通じて定期的な演習を行っており、防空上の課題を解決する新しい能力を常に開発、改良、配備し、その都度改善している」と語った。
米インド太平洋軍によれば、今回の「キーン・エッジ」では、大規模な演習や作戦に不可欠なマルチドメイン協力を反映し、米国宇宙軍(USSPACECOM)や米国サイバー軍との協力が拡大された。
このような現実的な訓練環境は、「統合部隊と同盟国および提携国が能力を同期させ統合することを可能にし、我々がこの地域で効果的かつ相互に対応できるようにする」と米国宇宙軍(USSPACECOM)は述べている。
「キーン・エッジ24」の参加者は、米国防総省のゼロ・トラスト・サイバーセキュリティのコンセプトの検証も行った。このアプローチでは、すべてのコンピューター・ネットワークが危険にさらされていることを想定し、「敵対者を妨害し、挫折させる」ために、常に認証と認可を要求する。
また、オーストラリア軍関係者がハワイと日本に派遣され、「キーン・エッジ」に初参加した。オーストラリア国防軍はまた、2023年12月に日米で実施された演習「ヤマサクラ」にも初めて参加した。
オーストラリア陸軍のグレッグ・ビルトン(Greg Bilton)合同作戦部長は、「日豪関係は防衛のあらゆる側面における関与と協力に支えられており、我々は安全保障協力へのコミットメントを積極的に強化している」と述べ、「2023年後半の『ヤマサクラ』演習に続き、オーストラリアが日本と米国という最も重要な2つの提携国と共に『キーン・エッジ』演習に参加することは、地域の安全保障に対する我々の共通のコミットメントを強化するものだ」と語った。
「キーン・エッジ」は、いくつかの日米海軍演習に続いて行われた。
2023年12月下旬から2024年1月上旬にかけてフィリピン海で実施された訓練には、日本海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いせ」、米国海軍の航空母艦カール・ヴィンソン(USS Carl Vinson)とセオドア・ルーズベルト(USS Theodore Roosevelt)、米国の誘導ミサイル駆逐艦と巡洋艦が参加した。演習では、「独自の高度な戦闘能力を向上させるため」、防空訓練、海上監視、甲板横断訓練、戦術機動が行われたと米国第7艦隊は述べた。
2月初旬には、オーストラリア、日本、米国が南シナ海で海軍訓練を行った。オーストラリア国防省によると、オーストラリア海軍のフリゲート艦ワラムンガ(HMAS Warramunga) が海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」、米国海軍の誘導ミサイル駆逐艦ジョン・フィン( USS John Finn) と沿岸戦闘艦ガブリエル・ギフォーズ(USS Gabrielle Giffords)と合流した。
「今回の三国間演習を通じて、米国海軍、オーストラリア海軍との連携強化、戦術能力の向上を図るとともに、力による一方的な現状変更を許さない安全保障環境を構築する強い意志と能力を体現することができたと考えている」と海上自衛隊の伴 昌幸2等海佐は声明で述べた。