フェリックス・キム(Felix Kim)
韓国は、地球低軌道(LEO)の民間通信衛星を軍事目的に使用できるようにすることで合意し、韓国初の国内企業開発の監視衛星を打ち上げたことで、軍事通信能力と北朝鮮政権の悪質な活動の監視を強化している。
専門家によれば、米国からの支援を受けたこの新戦力は、北朝鮮に対する国の防衛力と抑止力を強化するだけでなく、地域のパートナーとの防衛協力の機会を生み出すことも期待できるという。
2023年12月上旬、米国製の「スペースXファルコン9」ロケットが、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から軍事監視衛星を軌道に乗せた。
韓国政府系の聯合ニュースによると、韓国はこれまで北朝鮮の高解像度の地上画像を米国軍の商業・軍事衛星に頼ってきたが、情報収集のために独自の軍事衛星ネットワークを構築したい考えだという。
北朝鮮は、国連安全保障理事会の制裁に違反して、一連の弾道ミサイル発射を含む兵器開発計画を続けている。 孤立した北朝鮮政権はまた、国連の禁止事項に違反して核実験再開をちらつかせている。
聯合ニュースによると、韓国の新監視衛星は電気光学センサーと赤外線センサーを使用している。 2025年までに打ち上げられる4機の衛星には、雲を透過する合成開口レーダーが採用される。
「これまで韓国軍は多くの場合、米国の衛星を利用することができた。 しかし、自力でやっていきたいという結論に達したのだろう」と、ランド研究所の北東アジア軍事問題の専門家、ブルース・ベネット(Bruce Bennett)博士はFORUMに語った。
一方、韓国の防衛事業庁は、韓国の防衛企業ハンファシステム(Hanwha Systems)と協力し、民間の地球低軌道衛星のネットワークを使用して、「拡大された作戦区域で様々な戦闘プラットフォームと統合された作戦を実施」する予定だ。 韓国国防部は2023年11月下旬、このネットワークは「地上通信システムを運用する際に起こりうる山岳地帯での通信切断などの問題を解決し、中断のない通信を提供することになる」と発表した。
韓国の衛星強化は、北朝鮮が11月下旬にスパイ衛星を打ち上げたことを受けてのものだ。 北朝鮮は打ち上げに成功したと主張しているが、専門家たちは、衛星の監視能力が限られていることから、衛星がどの程度の脅威をもたらすのか疑問視している。
ベネットは、「もし正常に作動しているとしても、まだ定期的に韓国国内の地域を見ているに過ぎない」とベネット博士は指摘し、 「1日に1回か2回、10分程度しかその地域を見ていないようでは、戦争に備える人をフォローすることはできない。 つまり、北朝鮮は望むような警告や偵察の能力を得ていないのだ」と述べた。
韓国が計画している偵察衛星群は、「キルチェーン」先制攻撃システムの目として機能し、北朝鮮の潜在的な核・ミサイル攻撃を早期に識別・警告できるようにする。
防衛衛星の独自ネットワークの拡大は、地域の防衛提携国としての韓国の役割にとって良い兆候だ、とベネット博士は言う。
さらに「今年初め、米国、韓国、日本の首脳がミサイル警戒情報を共有することで合意したことは、協力の絶好の機会となる」とし、 「特定の脅威をさまざまな角度から監視する衛星やレーダーが多ければ多いほど、情報データはよりタイムリーで正確なものになる」と述べた。
フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。