欧州空軍、インド太平洋防衛演習に参加、地域へのコミットメントを示す

ガスティ・ダ・コスタ(Gusty Da Costa)
フランス、ドイツ、スペインの空軍は、防衛演習に参加し、地域軍との関係と相互運用性を強化するため、2024年にインド太平洋地域に向かっている。 これらの派遣はまた、この地域への欧州のコミットメントと、航行の自由やその他の国際規範の支持を、中国などの国々に示すものでもある。
計画では、2024年半ばを通じて欧州の軍事資産が演習に参加することになっており、これにはドイツ軍とスペイン軍のユーロファイター(Eurofighter)がそれぞれ8機と4機、ドイツのトルネード(Tornado)戦闘機が12機、フランスのラファール(Rafale)戦闘機が6機、ドイツ軍とフランス・スペイン軍のエアバスA400Mアトラス輸送機がそれぞれ4機、エアバスA330 MRTT空中給油・輸送機が含まれる。
動画提供: 北大西洋条約機構
派遣部隊の一部は、米国太平洋艦隊が2年ごとに開催する世界最大の国際海上演習の環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加する。 2023年11月下旬に『ディフェンス・ニュース』誌が報じたところによると、それに先立ち日本にも立ち寄り、現地の航空部隊と数日間の作戦を行う予定だという。 ドイツ空軍は、環太平洋合同演習のためにハワイにいるドイツ海軍の艦船に合流する予定だ。
7月中旬にオーストラリアで始まる「ピッチブラック(Pitch Black)」演習に参加した後、欧州の航空部隊はインドネシアまたはマレーシアを訪問し、その後にインドで行われる多国間演習「タラン・シャクティ(Tarang Shakti)」で派遣を締めくくる予定だ。
ドイツ空軍は2022年にも「ピッチブラック」に参加しているが、2024年には参加人数を大幅に増やす見込みだ。 ウクライナに対するロシアの理不尽で一方的な戦争が欧州の安全保障上の懸念の焦点となっている中でも、インド太平洋への派遣は欧州連合(EU)のこの地域への継続的なコミットメントを示すものだと、ドイツ空軍司令官のインゴ・ゲアハーツ(Ingo Gerhartz)中将は言う。
「特にウクライナでの戦争を考えると、ヨーロッパをアジアから切り離すことはできないし、ロシアに向けたシナリオとインド太平洋でのシナリオを切り離すこともできない」とゲアハーツ司令官は2023年3月に「ガーディアン」紙に語っている。
フランス、ドイツ、スペインは、FCASは、すべての戦闘領域にわたってネットワークを接続した、次世代戦闘機と無人航空資産の開発を含む「システム・オブ・システムズ」アプローチを構想する三国間「将来戦闘航空システム(FCAS)」の提携国だ。 欧州の航空宇宙企業エアバスによれば、将来戦闘航空システムは、欧州とインド太平洋諸国とのパートナーシップや対話を発展・深化させ、同地域の安全保障上の課題や機会に対処するための重要な手段でもある。
このプロジェクトは、欧州の提携国が、欧州連合のインド太平洋戦略に沿って、航行の自由、海洋安全保障、人権といった共通の利益と価値を守りながら、戦力を投射し、侵略を抑止することを可能にする。
インドネシアのペリタハラパン大学(Pelita Harapan University)で国際関係の講師を務めるアレクシウス・ジェマドゥ(Aleksius Jemadu)氏はFORUMの取材に対し、「インドネシアだけでなく、他のインド太平洋諸国にとっても、空軍技術という観点から見れば、この3か国は非常に重要だ」と語った。 ジェマドゥ氏は「フランス、スペイン、ドイツは航空宇宙技術の分野で一定の優位性を持っている。 彼らは、インドネシアを含むインド太平洋諸国がこれらの能力を理解し、双方の利益のために将来の協力関係をさらに模索することを望んでいる」と述べた。
インド太平洋諸国との防衛関係の強化はヨーロッパにもメリットがある、とジェマドゥ氏は指摘する。 欧州の製品はこの地域の水路を通って輸送されるため、航行の自由と地域の安全保障を促進するためにインド太平洋の提携国と協力する原動力ともなっている。
「ASEAN(東南アジア諸国連合)のインド太平洋に関する展望を見ると、オープンで包括的な協力を優先し、中国だけでなくさまざまな国の資源を活用しているが、それは資源が1つの国に独占されれば、支配や覇権につながるからだ」とジェマドゥ氏は述べた。
ガスティ・ダ・コスタは、インドネシア・ジャカルタ発信のFORUM寄稿者。