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中国の宇宙軍事化に対する世界的な懸念により、新たなルールを求める動きが活発化

マリア・T・レイエス(Maria T. Reyes)

中国が対衛星能力やその他の技術で宇宙領域の資産を脅かし続ける中、日本、英国、米国を含む国々は、宇宙利用の管理基準を求めている。 日本と米国はまた、中国の宇宙軍事化を抑止するために協力している。

「指向性エネルギー兵器と衛星ジャミング装置の開発に加え、中国人民解放軍は地球低軌道衛星を標的とする地上配備型衛星破壊(ASAT)ミサイルを運用している」と、2023年10月に発表された米国国防総省の報告書「中華人民共和国に関わる軍事・安全保障の発展(Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China)」は指摘し、 「中国はおそらく、地球静止軌道上の衛星を破壊できる衛星破壊兵器をさらに開発する意向であろう」と述べている。

2007年、中国は衛星破壊ミサイルを使って、上空800km以上の上空にある気象衛星を破壊した。その結果、追跡可能なスペースデブリが3,000個以上発生した。そのうちの2,700個以上が数十年にわたって地球を周回し、機能している衛星や宇宙船に危険を及ぼす可能性がある。

こうした宇宙領域への脅威が高まるにつれ、新たなルールを求める声も高まっている。 ロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官は2021年7月、「宇宙における責任ある行動の5つの原則(Tenets of Responsible Behavior in Space)」を承認した。 2023年に改正されたこの原則は拘束力は持たないながらも、他の衛星に配慮して行動すること、他の当事者の活動を妨害しないことなどの主要な概念に基づいている。

2023年10月、英国は軍縮と国際安全保障を扱う国連総会第1委員会で、「責任ある行動の規範、ルール、原則を通じた宇宙脅威の削減」に関する決議案を提出し、責任ある宇宙行動に関する世界的な議論を活気づけた。

一方、日本は防衛戦略の一環として、宇宙の安定的かつ持続可能な利用を促進するための法治に基づく国際秩序の確立を盛り込んだと、東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授は2023年6月に戦略国際問題研究所(CSIS)に寄稿した。 日本の政府関係者は、他の国連加盟国33か国の代表と協力し、英国の提案を反映した対策によって宇宙空間の脅威を軽減しようとしている。

米国宇宙軍司令官であるB・チャンス・サルツマン(B. Chance Saltzman)大将は、2023年11月、日本の日経アジア新聞に対し、宇宙での作戦を統制する普遍的なルールがほとんどないため、敵対的行為者が衛星破壊能力をテストしたり、宇宙で他の破壊的で危険な行為に従事したりすることを抑止することはほとんどできないと述べた。

さらに「我々は、効果的な行動規範を確立するための議論をリードしたい。 すべての国が責任ある行動の規範を採用し、それに則って作戦を遂行することを望む」と語った。

悪意のある宇宙活動を抑止するために、米国宇宙軍は日本に新しい部隊を設置する予定だ。また、日本と米国は、高度なセンサーのような米国の観測機器を日本の衛星と同軌道に乗せるライドシェア・プログラムも行っている、とサルツマン大将は日経アジアに語った。

さらに、日本は憲法の枠内で独自の宇宙安全保障インフラを開発していると、鈴木教授は米国を拠点とするシンクタンクの戦略国際問題研究所に寄稿している。 これには、宇宙領域認識衛星の配備や、準天頂衛星システムの強化が含まれる。準天頂衛星システムは、攻撃時に米国が所有するGPSシステムをバックアップし、日米同盟を強化するものだ。

マリア・T・レイエス(Maria T. Reyes)は、フィリピン・マニラ発信のFORUM寄稿者。

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