パートナーシップ東南アジア

中国による海洋侵略が続く中、インドネシアとベトナムが防衛協力を強化

ガスティ・ダ・コスタ(Gusty Da Costa)

インドネシアとベトナムは、2023年9月の首脳会談とその1か月後の第3回「防衛政策対話」で示されたように、関係を包括的な戦略的パートナーシップに格上げする方向に近づいている。

政府関係者や専門家によれば、両国は特に防衛協力を強化している。 東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国である両国は、これまで中国による国際法違反の領海侵犯に直面してきた。

インドネシアのジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領とベトナムのファム・ミン・チン(Fam Minh Chinh)首相は、第43回ASEAN首脳会議の傍ら、二国間協力を最適化し、とりわけ海洋協力に関する合意を実施することで合意し、両国関係を戦略的パートナーシップから発展させる機運を高めた。

この会談に続き、10月下旬にはハノイでベトナム国防次官ホアン・スアン・チェン(Hoang Xuan Chien)上将とインドネシア国防省事務総長ドニー・エルマワン・タウファント(Donny Ermawan Taufanto)中将による防衛対話が行われた。 ベトナム国防省は、「両国の関係を包括的な戦略的パートナーシップに格上げするための努力に貢献するため、成果志向で効果的な二国間防衛協力をさらに強化することを再確認した」と述べた。

国防省は、「あらゆるレベルでの」公式な防衛交流の活発化は、各国の海軍、沿岸警備隊、防衛産業、また訓練や戦略的研究に関わる「実際的で効果的な調整」によって達成されるだろうと付け加えた。

「ここ最近、特に南シナ海でいくつかの動きがあり、潜在的な不安定要素があると見ている。 例えば、中国による領有権主張などだ」とインドネシア陸軍退役少将ヤン・ピーター・アテ(Jan Pieter Ate)氏は、FORUMの取材に対して述べた。 「そのため、最近第3回目を迎えたベトナム・インドネシア防衛政策対話を通じて、我々は国防政策に関する情報交換の場の必要性に応え、協力を強化し、双方の衝突を最小化するための透明性を提供している」という。

両国はそれぞれ、南シナ海における中国のグレーゾーン戦術に直面してきた。 米国を拠点とするシンクタンク、戦略国際問題研究所によれば、このような強圧的かつ曖昧な行動は戦争とまではいかないが、この地域における中国の利益と影響力を高めることを意図しているという。 中国はインドネシアとベトナムの排他的経済水域(EEZ)内で無許可の地震探査を行い、天然資源探査を妨害している。 さらに、東南アジア諸国は過去10年間、排他的経済水域での中国籍船による違法・無報告・無規制漁業によって、数千億ドルとも言われる損失を被ってきた。

排他的経済水域の大部分に対する中国の主張は、2016年に国際法廷によって違法と裁定されている。

チェン次官とタウファント事務総長は、インド太平洋の安全保障を推進する上でのASEANの役割と、ASEANの連帯と中心性を強化するための両国の共同努力を確認した。

インドネシアとベトナムの防衛関係の強化は、地域支配という中国の「恒久的な目標」に対する対抗策として、協力が適切であることを他のASEAN諸国に示すものでもある、とインドネシアの国防と外交を監督する国会第1委員会のメンバー、デイブ・ラクソノ(Dave Laksono)議員は言う。

「インドネシアとベトナムは、対話を通じてより強固な二国間関係を築くことを約束し、様々な地域問題に対処するために新しいアイデアを取り入れ続けている」とラクソノ議員はFORUMに語り、 「インドネシアとベトナムが二国間や地域のフォーラムで果たしている役割は、『戦略的ペア』といっても過言ではない」と述べた。

ガスティ・ダ・コスタは、インドネシア・ジャカルタ発信のFORUM寄稿者。

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