ベナール・ニュース
パプアニューギニア(PNG)は、新たな二国間防衛協力協定に基づき、米国軍が太平洋の島国パプアニューギニアに部隊を展開し、重要な軍事基地を整備するための無制限のアクセスを認めることとなった。
2023年5月に調印された防衛協力協定は、ロンブルム海軍基地や首都ポートモレスビーにあるジャクソンズ国際空港を含む6つの港や空港に、米国が部隊や船舶を駐留させることを認めている。
米国はこれら施設に「自由に立ち入る」ことができ、「諜報・監視・偵察活動」を行う航空機を含む、航空機の訓練、乗り継ぎ、整備、給油など、相互に合意した活動のために使用することができるようになる。
これらの基地はまた、「兵力と物資の準備と展開」、船舶の燃料補給、安全保障支援、人道・災害救援にも使われる可能性がある。
この協定は、太平洋で影響力を拡大しようとする中国に対抗するために、米国やオーストラリアなどのインド太平洋地域の提携国が進めている取り組みの一環だ。 専門家によれば、この協定はこの地域におけるアメリカの戦略的能力を大幅に拡大するものだという。
オーストラリア拠点を置くローウィー研究所のオーストラリア・パプアニューギニア・ネットワークの責任者、ミハイ・ソラ(Mihai Sora)氏は、「私の知る限り、アメリカは他の南太平洋諸国とは同様の協定をまだ結んでいないため、この協定が最も前進的なものになるだろう」と述べた。
同氏は、この協定をフィリピンとの防衛協力強化協定と比較した。フィリピンとの防衛協力強化協定は最近拡大され、米国軍は東南アジアのフィリピン国内にある4つの軍事施設に立ち入ることができるようになった。
2023年6月初旬、パプアニューギニアのジェームズ・マラペ(James Marape)首相は国会での声明で、米国との協定は「他のいかなる国との二国間関係をも損なうものではない」と述べた。
同国の外交政策は、すべての国の友であり、誰の敵でもないというものであることに変わりはないが、従来の安全保障同盟は、地域的、世界的な課題に対処するには不十分だ、とマラぺ首相は語る。
また、この協定は防衛関連活動を行うために「米国軍の駐留を認めている」が、防衛に関するコミットメントや軍事介入を含むものでも、推進するものでもないと述べている。
2022年、中国はソロモン諸島と安全保障協定を結び、オーストラリア、米国をはじめとする提携国は、この地域に中国軍が常駐する可能性を警戒している。
ソラ氏は、地域の安全保障環境は急速に変化しており、従来の提携国は安全保障の枠組みも適応させなければならないと考えていると述べた。
「現在見られるのは、米国、オーストラリア、ニュージーランドといった太平洋地域の従来の安全保障提供国が、二国間協定を通じて、太平洋諸国の安全保障上のパートナーとして、その役割を高め、正式なものにしようとする動きだ」という。