オセアニア紛争・緊張

インド太平洋地域のパートナー、違法・無報告・無規制漁業に対する世界の戦いをリード

FORUMスタッフ

違法・無報告・無規制(IUU)漁業による世界的な損失は、年間最大2,600万トン(約3兆2,350億円(230億ドル)相当)の漁獲量の損失をはるかに超えて広がっている。 重要な漁獲資源の枯渇、犯罪組織による乗組員への虐待、強引なトロール漁船団による海洋生態系の破壊など、IUU漁業は日々、世界の数億人の糧と生活を危険にさらしている。

2017年末、国連総会は、6月5日を「違法・無報告・無規制漁業との闘いのための国際デー」と宣言し、こうした違法行為が「海洋資源の保全と管理、そして多くの国、特に途上国の食料安全保障と経済に対し大きな影響を及ぼしている」ことを強調した。

国際連合は、世界の漁獲量の20%を占めるIUU漁業を抑止・撲滅するための国際計画を実施するよう各国に呼び掛けた。 ファイナンシャル・トランスペアレンシー・コーアリション(Financial Transparency Coalition)が2022年10月に発表したレポートによると、2010年から2022年にかけてIUU漁業に従事した船舶の3分の1以上が中国籍であり、関与した上位10社のうち8社が、世界最大の遠洋漁業船団を有する中国のものであることが明らかになっている。

魚が主要なタンパク源であり、多くの海域が乱獲の危機にさらされているインド太平洋全域で、志を同じくする国々が協力してこうした行為に対抗している。 例えば、米国沿岸警備隊は、オセアニアの安全、セキュリティ、主権、経済的繁栄を促進するためのマルチミッション「ブルーパシフィック作戦」の一環として、提携諸国の関係機関と合同巡視を実施している。

米国沿岸警備隊の哨戒艇「オリバー・ヘンリー」号は、このほど太平洋での9,700キロに及ぶ巡視活動を終え、その間、沿岸警備隊員と地元の海洋法執行官がパラオの排他的経済水域(EEZ)内で外国籍の漁船5隻に乗船して規制遵守を徹底した。

その数週間前には、米国沿岸警備隊の哨戒艇「ジュニパー」号が、違法・無報告・無規制漁業の抑止を目的とした1か月間の任務を完了し、ハワイに帰港した。 二国間協定に基づき、フィジーの海軍、警察、漁業省、歳入関税庁から4名のシップライダーがジュニパー号に乗船した。

哨戒艇指揮官ティモシー・ボナー(Timothy Bonner)大尉は、2023年2月のニュースリリースで、「ジュニパーの乗組員にとって、フィジーのパートナーと共に排他的経済水域の巡視を支援する機会を得たことは光栄だった」と述べている。

シップライダー協定は、資源が豊富で広大な排他的経済水域を守る資源に乏しい太平洋島嶼国にとって、貴重な手段となっている。 2022年後半、マーシャル諸島、ミクロネシア、ナウルの海事執行機関のシップライダーを含む米国沿岸警備隊哨戒艇「フレデリック・ハッチ」号のチームが、16隻の漁船に乗船して5件の警告を発した。 (写真:2022年12月、ミクロネシアの排他的経済水域で乗船の準備をする米国沿岸警備隊の哨戒艇「フレデリック・ハッチ」号)

ミクロネシアと米国は最近、海事法執行協定を拡大し、ミクロネシアの法執行官の立ち会いなしに米国人要員が乗り込みを行うことを認めている。

フレデリック・ハッチ号の指揮官であるパトリック・ドリス(Patrick Dreiss)大尉は、「これは、米国沿岸警備隊が地域の提携国を支援する新たな手段となり、この地域で違法・無規制・無報告の漁業執行を強化する基盤を引き続き確立するものだ」と声明の中で述べている。

ミクロネシアの排他的経済水域で、フレデリック・ハッチ号の乗組員と現地の海事警察官による乗船検査を待つ漁獲物 画像提供:米国沿岸警備隊

2023年5月下旬、パプアニューギニアと米国は、IUU漁業やその他の海洋の脅威に対抗するための協定を締結し、米国沿岸警備隊のシップライダー・プログラムにパプアニューギニアが参加できるようになった。

米国国務省は、「この協定の締結は、この地域における良好な海洋ガバナンスを促進するために協力するというコミットメントを示すものだ」と述べている。

画像提供:米国沿岸警備隊

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