東南アジア特集統合抑止自由で開かれたインド太平洋/FOIP

海上における 透明性

HawkEye 360で 領域認識を向上

ジェームズ・マケイデン(James McAden)/HawkEye 360

宇宙ベースの無線周波数(RF)技術が、海洋領域認識(MDA)と違法船舶の検出に役立っている。海上では、このような違法船舶は自動識別システム(AIS)応答機能を無効にし、位置、身元、コース、速度の追跡を回避し、潜在的に悪質な活動を実行している。海洋領域認識は、特に国家の限られた資源と海の広大な地理によってチャレンジとなっている。しかしいくら困難であっても、主権国家の排他的経済水域(EEZ)内の海洋資源と国益を保護するためには、依然として重要だ。

違法船舶の動きは、違法・無報告・無規制(IUU)漁業やその他の違法な海洋活動として記録されており、依然として世界的な懸念事項となっている。こうした慣行は、環境資源の枯渇、合法的漁業企業の収入減、沿岸地域の食糧不足、麻薬やその他の不正商品の違法輸送、水中資源探査のための国家の排他的経済水域への侵入など、代償を伴うものだ。 

多くのインド太平洋諸国は、海洋領域認識を自動識別システムに依存しており、これは重大な脆弱性を生み出す可能性がある。自動識別システムは有用であるものの、船舶による自発的な識別と位置の伝達が必要となり、船舶はスイッチを切ったり、変更したりすることで船舶は簡単に検出を回避することができる。無線周波数探知と地理位置情報があれば、国は自国の排他的経済水域と関心海域を監視するために自発的に伝達される自動識別システムだけに頼る必要がなくなる。宇宙からの無線周波数探知と地理位置情報は、こうした課題に対処するための革新的で費用対効果の高いツールだ。

SEACAT 2022期間中、海洋提携諸国は協力して事に当たる。デイビッド・ラウ(David Lau)/米国海軍

シンガポールの情報融合センターを拠点に10日間
にわたり実施された、米国海軍主導の多国間演習「SEACAT(テロ対策特殊装備展) 2022」では、バージニア州に本社を置くHawkEye 360社の無線周波数データとアナリティクスがSeaVisionに統合され、演習目的をサポートした。HawkEye 360は、低軌道衛星群からの無線周波放射の検出とジオロケーションに特化しており、より安全な世界のために、米国および提携諸国にデータと分析を提供している。

SeaVisionはウェブベースの海洋状況認識ツールで、ユーザーは情報を共有することで、海上作戦の改善、海上保安の向上、海事コミュニティ内のパートナーシップの構築に役立てることができる。

20以上の地域の海事パートナーがSEACATに参加または見学し、無線周波データによって海域内の潜在的な違法船舶を明らかにする方法を直接体験した。デモンストレーションでは、こうしたデータが海上偵察機や海上哨戒など他のアセットの任務計画にどのように役立つかについても紹介された。

HawkEye 360と中国船の活動検知

近年、中国は、様々な国々が領有権を主張し、資源と貿易ルートが豊富な南シナ海での攻撃的な動きや、東シナ海にある日本の尖閣諸島の周辺海域への違法侵入を繰り返している。中国政府は、特に南シナ海で岩礁、島、環礁などの人工的な地形を作り、占領し、軍事化することによって、支配力を主張し、他国の主権主張を弱めようとしている。

自動識別システムだけでは不十分であり、より透明性の高い対策が必要である。HawkEye 360の無線周波データにより、南シナ海や尖閣諸島など他の地域での活動をより詳細に把握することができ、各国が自国の海域を守るために適切な対応を取ることが可能となる。

結論

340万平方キロメートルの南シナ海は、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、中国、台湾、ベトナムの国境に接している。この戦略的水路をめぐる中国と他の主張国の間の緊張は長年続いており、中国政府の恣意的かつ拡大した主張は、国際法廷で法的に無効であると却下されている。

中国共産党の人民解放軍は岩礁や島々に軍事前哨基地を建設し、中国海警局や海軍がこの海域を巡回している。中国政府は、国際的な規制や法律の限界を押し広げようと、周辺国に不利益をもたらす海洋での支配を確立する姿勢を示している。

中国が南シナ海で戦略的領土を占領することができたのは、広大な水域の監視が困難であったことも一因だ。しかし、HawkEye 360の無線周波数データは、この海域をより包括的に把握できるため、各国は、中国の違法な漁業活動や係争中の島々に対する支配を確立しようとする試みに対抗するため、より効率的に巡回を展開することが可能になる。

中国の海軍、中国海警局、海上民兵、漁船団の活動をより深く把握することで、周辺国や国際社会がこうした不法行為を評価し、対抗するためのより強力な基盤を得ることができるものと期待される。監視を強化しなければ、近隣諸国が自国の海域を違法な漁業やその他の不法行為から取り締まり、安全を確保するための態勢を整うことは難しいだろう。

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