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脆弱な漁業を保護するための対策を講じるインドネシア

トム・アブケ(Tom Abke)

漁業が国の食糧安全保障と経済にとって重要な要素となっているインドネシアは、特に中国船舶による乱獲、沿岸砂金採掘、領土侵食からナトゥナ海のリアウ諸島周辺の最も貴重な漁業を保護するために軍事・治安資産の配備を進めている。

1人当たりの年間の魚の消費量が40キログラム以上のインドネシアは、世界で最も魚に依存している国の1つだ。 その海域には3,000種以上の魚種が生息しており、約1,200万人が漁業で雇用されている。

インドネシア国防省(別名「ケムハン」)と海洋水産省(KKP)は、インドネシアが南シナ海の一部と呼ぶナトゥナ海における国家主権を維持しつつ、海洋の可能性を最大限に高めるために「リアウ諸島海洋漁業統合防衛地域(Riau Islands Integrated Marine and Fishery Defense Area)」の設置を模索している。 2022年10月中旬、両省庁の関係者がリアウ諸島州を訪問し、海洋と漁業の統合政策から防衛と安全保障のための国境政策にいたる計画と戦略について話し合った、と国防省は報告した。

フォーカスグループの議論の中で、リアウ諸島州のアディ・プリハンタラ(Adi Prihantara)長官は、「人々の繁栄を高めるために海洋ベースの経済成長、環境への洞察、地域の卓越性を加速させる」ことを優先事項として確認した。

同州海洋水産局のアリエフ・ファディラ(Arief Fadillah)局長によると、2021年に同州の漁業は約262億円(1億8000万米ドル)を超える漁獲高を達成したナトゥナ諸島地域を筆頭に、総漁獲高約810億円(5億5600万米ドル)を生み出している。

インドネシアにとってナトゥナ諸島の漁業が重要であることを踏まえ、それらを保護するための戦略的計画が必要だとファディラ局長は述べている。

海洋水産省は、2022年4月にリアウ島東部のビンタン島に設置された138,000ヘクタール以上の海域を含む約80の海洋保護区を設置・管理し、乱獲の減少に取り組んでいる。

米国に拠点を置く環境保護ニュースプラットフォーム「モンガベイ(Mongabay)」によると、インドネシアの離島・無人島の多くは、建設用の砂を採掘するための沿岸干拓作業に使用されている。 こうした行為は漁業に損害を与え、漁業界から国に苦情が寄せられている。

他のフォーカスグループの発表者からは、海岸線を保護する必要性と、防衛・安全保障対策を漁業養殖と組み合わせることの重要性が強調された。 中国の船舶がインドネシアのナトゥナ海域に頻繁に侵入していることを受けて、政府は軍事力を強化し、同地域最大の島である大ナトゥナ島とその周辺で海軍演習を実施している。 (写真: 2016年、ナトゥナ海のインドネシアの排他的経済水域を巡回する同国海軍艦艇カレル・サツイテュブン(KRI Karel Satsuitubun))

中国は、南シナ海の90%の領有権を独断的に主張し、インドネシアのナトゥナ諸島の領海を侵略してきたが、国際法廷はその主張の大部分を法的に無効であるとして却下した。

2009年、中国の公式地図にナトゥナ諸島が中国領内に含まれていることをきっかけに、インドネシア政府との紛争が発生した。 ロイター通信が報じたところによると、2020年初頭、中国の沿岸警備艦が護衛する中国漁船がナトゥナ諸島北部周辺海域に侵入した。 インドネシア政府はこれに対して軍艦を配備し、独自の漁船団を組織したため、数か月にわたる膠着状態に発展し、両国政府間の関係は緊張した。

 

画像提供:GETTY IMAGES

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