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米国がフィリピンと共に南シナ海における中国の軍事侵略を非難

FORUMスタッフ

中国共産党が紛争中の水路で攻撃的な軍事姿勢を続ける中、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国国務長官が、南シナ海での攻撃が発生した場合、米国がフィリピンを防衛することを明確に表明した。

ロイター通信によると、ブリンケン国務長官は20228月上旬、マニラでフェルディナンド・ボンボン・マルコス・ジュニア(Ferdinand “Bongbong” Marcos Jr.)比大統領と会談した際に、両国の防衛条約に基づき、「フィリピン軍、公船、航空機に対する武力攻撃が発生した場合、米比相互防衛条約のコミットメントが発動する」とした上で、 「フィリピンは米国にとってかけがえのない友人であり、パートナーであり、同盟国だ」と述べた。

(写真:20228月、マニラのマラカナン宮殿で会談に臨むフェルディナンド・ボンボン・マルコス・ジュニア比大統領とアントニー・ブリンケン米国務長官(左))

20228月初旬、フィリピンの国会議員らは、南シナ海の係争地を西フィリピン海と改名してマニラの領有権主張を促進する法案を支持したと、ブナールニュース(BenarNews)は報じた。

中国は、フィリピンと係争中の南シナ海の大部分に対する中国の領有権主張を無効とする国際裁判所による2016年の判決を受け入れることを拒否している。 この判決は、370キロメートルに及ぶフィリピンの排他的経済水域(EEZ)におけるフィリピンの漁業および資源探査に関する主権を中国が侵害しているとした。

マルコス大統領は先日、「互恵的な結果」に向けて中国や他の国々と協力するとした一方で、自国の領土を守ることも誓った。

ブナールニュースによると、マルコス大統領は、「外交政策では、フィリピン共和国のわずなか領土も外国に対して放棄することはない」と述べている。 「合意すれば、協力する。 合意しなければ、合意するまで話し合うだろう。 結局のところ、これがフィリピンの流儀だ。 しかし、我々は揺るがない。 国益を根本的な指針として、独立した外交政策を断固として掲げていく」

中国政府は、海上民兵を通じて南シナ海の制海権を握ろうとする姿勢をますます強めている。 一見したところ、船団は商業漁業に従事しているように見えるが、 戦略国際問題研究所(CSIS: Center for Strategic and International Studies)と先端防衛研究センター(C4ADS: Center for Advanced Defense Studies)が202111月に発表した報告書「中国の海上民兵に幕を下ろす(Pulling Back the Curtain on China’s Maritime Militia)」によると、実際にはこうした船舶は中国人民解放軍海軍と中国沿岸警備隊と共に「紛争海域で中国の政治的目的を達成するため」に活動している。

同報告書は、「2016年に中国の人工島前線基地が完成して以来、民兵艇はこれまで以上に増え、常にスプラトリー諸島に展開されている」とし、さらに 「民兵はマレーシアとベトナムとの石油とガスを巡る複数の対立で中国の法執行機関に同行し、紛争地域を対象とした大量配備に参加している。2018年にはフィリピンが実効支配しているパグアサ島の近くに約100隻の民兵艇が配備され、2021年春には約200隻が非占有のウィットサン礁に集結した」と述べている。

CSISC4ADSによると、南沙諸島では300隻もの民兵艇が活動している日もあることがリモートセンシングのデータから明らかになっている。 報告書は、「民兵の活動は、国際法の幾つかの信条に違反する」とし、「領有権を主張する他国の排他的経済水域内での合法的な活動を阻止しようとする行為は、国連海洋法条約および慣習国際法に違反している」と述べている。

AP通信が報じたところでは、中国共産党は南シナ海で構築したいくつかの人工的な機能のうち少なくとも3つを完全に軍事化し、レーザーおよび妨害装置、戦闘機、対艦および対空ミサイルシステムを配備している。2022年初旬にAP通信が報じたところによると、米インド太平洋軍のジョン・アキリーノ(John Aquilino)司令官は、「過去20年間に、中国は第二次世界大戦以来最大の軍事増強を行っている」と述べた。 「中国はあらゆる機能を高度化させており、この軍事力の増強により地域に不安定化がもたらされる」と述べている。

南シナ海で常に存在する緊張は、米国とフィリピンが軍事情報の安全保障に関する一般協定を通じて安全保障協定を強化することを促し、中国の主張に対応するための情報共有と機器の近代化を強化することを可能にした。 これは両同盟国の75年以上にわたる外交関係の上に成り立っている。

米国国務省が発表した「21世紀の米国とフィリピンのパートナーシップに関する共同ビジョン(Joint Vision for a 21st Century United States-Philippines Partnership)」では、「米国とフィリピンは、フィリピンの排他的経済水域またはその大陸棚にあると常設仲裁裁判所が認定した地域で、中国がフィリピンに対してスカボロー礁および南沙諸島から派生した排他的経済水域の領有権を含む海上請求権を合法的に主張することはできない」とし、 「さらに、これらの地域でのフィリピンの漁業と洋上エネルギー開発に対する中国の嫌がらせは違法であり、それらの資源を利用するための中国の一方的な行動も違法である。 米国とフィリピンは、国際海洋法の遵守を支持し、南シナ海および世界中の航行、飛行、およびその他の合法的な海洋使用の安全と自由を行使および支援するための活動と協力を継続している」と述べている。

CNBCによると、 米国第7艦隊司令長官のカール・トーマス(Karl Thomas)海軍中将は20228月、南シナ海における中国軍による危険な航空妨害の増加も「明らかな懸念事項である」と述べている。 また、中国が領有権を主張している南シナ海問題に異議を申し立てる必要性を強調した。

トーマス中将は、「異議を申し立てなければ、それが既成事実化してしまう恐れがある人びとはそれを受け入れてしまう」とし、さらに 「そしてある日、南シナ海全域が自分たちの領海であるかのような主張ができるような状況が出来上がってしまうだろう」と述べた。

画像提供: AP通信

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