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国内AI防衛能力の活用に乗り出すインド

マンディープ・シン(Mandeep Singh)

インドの防衛部門は、AI戦場技術や軍民両用技術人工知能を開発するなど、人工知能に取り組んでいる。軍事部門全体に人工知能のセンターオブエクセレンスが定着する中、官民の企業や学会がこのイニシアチブに参加している。2022年7月、インド空軍はこうした拠点を開設した。

2022年7月中旬、インドのラジナート・シン(Rajnath Singh)国防相は、国防省(MOD)のシンポジウム・展示会「AI in Defence(AiDef)」で、「技術曲線に取り残されず、軍務に技術を最大限に活用できるようにするためにも、防衛分野におけるAIやビッグデータなどの技術の適時注入が最も重要だ」と述べた。

国防省のニュースリリースによると、AiDefでは、国防省の国防研究開発機構(DRDO)が国営の防衛関連公営企業(DPSU)や民間企業と共同で開発した製品や技術が展示され、さらに、卓越した開発者の表彰、パネルディスカッション、防衛関係者などによるスピーチなども行われた。

シン国防相は基調講演の中で、軍、国防研究開発機構、防衛関連公営企業および民間産業が防衛のための最先端および国内のAIソリューションを開発する取り組みを称賛した。また、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が掲げる、インドをAIの国際拠点とし、社会福祉と国家安全保障を達成するためのAI対応およびAI主導のソリューションを開発するという目標を強調した。

AiDefでは、バーラト・エレクトロニクス(Bharat Electronics Ltd.)によるAI対応の音声転写/分析ソフトウェア、バーラト・アース・ムーバーズ(Bharat Earth Movers Ltd.)によるドライバー疲労監視システム、ガーデン・リーチ・シップビルダーズ&エンジニアズ(Garden Reach Shipbuilders & Engineers)による溶接の欠陥を評価するAI対応システムといった、防衛および民間用途の可能性を持つ、防衛関連公営企業開発の3種類のAI製品が紹介された。

インド政府が防衛関連のAI開発を支援する鍵となるのが、国防省の「Innovations for Defence Excellence (iDEX)」プログラムだとシン国防省は述べた。このプログラムは、スタートアップ企業、確立されたテクノロジー企業、学界および個人と協力している。iDEXは、インドの開発者に無線周波数スペクトル管理、海中領域認識、衛星画像分析、および敵味方識別のためのAIベースのシステムを開発するよう求めている。

シン国防相は、AIは戦場での訓練にも重要であり、特に仮想現実と拡張現実技術を組み合わせた場合に非常に重要となると述べた。インド電子情報技術省の下部組織であるインドAI(India AI)によると、インド軍はムンバイに拠点を置くスタートアップ企業アジナレンズ(AjnaLens)の技術を戦闘およびパイロット訓練に採用している。

シン国防相はさらに、国防研究開発機構は防衛組織、産業界、学術機関が関与するいくつかのAIセンターオブエクセレンスの設立を支援してきたと付け加えた。アナリティクス・インディア・マガジン(Analytics India Magazine)によると、インドの民間部門では2020年から、IBM、アクセンチュア(Accenture)、インドのテクノロジー大手マヒンドラ(Mahindra)などの組織との協力でAIセンターオブエクセレンスの運営が開始している。

インド空軍のAIセンターオブエクセレンスには、分析、機械学習、自然言語処理、ニューラルネットワーク、ディープラーニングアルゴリズムのあらゆる側面を処理するビッグデータアナリティクスとALプラットフォームが含まれる予定だ。

軍関係者は、新設されたセンターは、AIやその他の高度な技術を戦闘プロセスに組み込むための空軍の駆動力にとって重要だと強調した。

マンディープ・シンは、インド・ニューデリー発信のFORUM寄稿者。

画像提供:インド国防省

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