制裁は大量破壊兵器拡散の悪人を抑制するための有用な手段

制裁は大量破壊兵器拡散の悪人を抑制するための有用な手段

FORUMスタッフ

国際社会は、悪人を罰し、政府に行動を変え、悪質な行為の支援や容認を止めさせるために制裁を用いている。ここ数か月、ウクライナで不当な戦争を行っているロシアに対する制裁が次々と報じられている。

このような制裁を課す組織のひとつに、米国財務省外国資産管理局(OFAC)がある。同局のウェブサイトによると、OFACは「米国の外交政策および国家安全保障目標に基づいて、対象となる外国および外国政権、テロリスト、国際麻薬密売人、大量破壊兵器の拡散活動に従事する者、および、米国の国家安全保障、外交政策または経済に対するその他の脅威に対する経済制裁および貿易制裁を管理および執行する」としている。

ジョー・バイデン(Joe Biden)米国大統領は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基いて対ロシア制裁を強化し、OFACがロシア政府に壊滅的な影響を与える制裁を課すことを可能にした。制裁には、ロシアの金の輸入禁止、ビザの制限の実施、米国の金融システムに触れるロシアの銀行の資産の凍結などが含まれる。OFACの制裁は、インド太平洋地域における大量破壊兵器(WMD)の拡散、開発、使用に対処する際の有効な手段でもある。

OFACは、特別指定国民および資格停止者リスト(SDN)として知られているリストを通じてWMDの拡散抑制に取り組んでおり、このリストには、OFACの対象となり、制裁されているテロリストや人身売買業者を含む個人、グループ、団体が含まれる。OFACによると、リストに記載された者は資産を凍結され、米国内の個人と取引することは一般的に禁止される。

北朝鮮をはじめとする大量破壊兵器拡散国

特別指定国民および資格停止者リストには、北朝鮮などインド太平洋地域で活動する個人および政府が含まれる。

OFACは2022年初旬のニュースリリースで、北朝鮮の正式な国名である朝鮮民主主義人民共和国を挙げ、「これらの措置は、北朝鮮の大量破壊兵器および弾道ミサイル計画の進展を防ぎ、北朝鮮が関連技術を拡散させようとする試みを妨げる米国の取り組みに沿ったものだ」と述べた。OFACは、2021年9月以降の北朝鮮の核弾道ミサイル発射は複数の国連安全保障理事会決議に違反していると指摘した。

北朝鮮によるミサイル実験は「国際社会が促す外交と非核化を同国が無視し、禁止されている兵器開発計画を継続的に前進させている証拠に他ならない」とOFACのニュースリリースは述べている。

また、財務省は、中国とロシアの国民への援助を通じて大量破壊兵器開発の活動に従事している個人も対象とした。この中には、北朝鮮の武器プログラムを支援するために物品やサービスを提供したこと、または提供しようとしたことでOFACから制裁を受けた、ロシアに拠点を置く北朝鮮国民のチョ・ミョンヒョン(Choe Myong Hyon)が含まれる。

さらに、OFACによると、モスクワ在住の北朝鮮人オ・ヨン・ホ(O Yong Ho)、ロシア人のローマン・アナトリェビッチ・アラール(Roman Anatolyevich Alar)、およびロシア企業のパーセク(Parsek LLC)が、「朝鮮による大量破壊兵器またはその運搬手段の拡散を実質的に援助する」活動または取引に従事したことで制裁を受けている。

OFACはまた、北朝鮮のセコンド・アカデミー・オブ・ナチュラル・サイエンシーズ(SANS)に関連する個人を制裁した。国連安全保障理事会によると、SANSは「ミサイル、おそらくは核兵器を含む朝鮮の先端兵器システムの研究開発に責任を持つ国家レベルの組織」だ。

OFAC制裁の現在および将来の執行

OFAC制裁は、特別指定国民および資格停止者リストに掲載されている個人だけでなく、米国の管轄下にある個人、法人、金融機関を問わず、その支援者を深刻な経済的影響と禁固刑を科す上で効果的だ。さらに、財務省は、米国の銀行と関係がある外国の金融機関について、米国の制裁に違反したとして処罰することができる。その結果、外国の金融機関は米国の制裁を尊重する傾向がある。

米国にとって重大な脅威がある場合、大量破壊兵器拡散者に対するOFACの制裁は厳しいものとなる。米国大統領は国際緊急経済権限法を発動することができ、違反1件につき最大100万米ドル(約1億3,000万円)の罰金および懲役20年が課されることとなる。これは、制裁対象の個人、その支援者、およびインド太平洋地域の他のWMD拡散者の懸念をさらに増大させる。OFACの制裁は、大量破壊兵器の拡散を抑制することに成功してきた。北朝鮮などの国々に対するこうした制裁は今後も継続される見込みだ。

ロイター通信によると、米国財務省のブライアン・ネルソン(Brian Nelson)テロ対策・金融情報担当次官は声明で、「米国は北朝鮮に外交路線への復帰と、大量破壊兵器と弾道ミサイルの追求を放棄するよう促しつつ、既存の制裁を引き続き実施・執行する」と述べている。

画像提供:ISTOCK

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