オセアニアグローバルコモンズヘッドライン

豪陸軍、高度なトレーニングプラットフォームにゲーミングソフトウェアを活用

トム・アブケ(Tom Abke)

様々な機能やシステムが投入され、刻々と変化する防衛環境に対抗するため、豪陸軍は最新のコンピュータシミュレーション技術を活用した新たな訓練ツールの導入を進めている。

豪軍は間もなく、3Dコンピュータゲームの主要なソフトウェアプラットフォームとして定評のあるUnreal Engine 4を活用した、ヘリコプターパイロット、射撃手、戦車指揮官、その他様々なスペシャリストを訓練するための協調シミュレーションが各種施設で実施可能になる予定だ。(写真:ボクサー装輪装甲車の画像を表示する、豪陸軍使用のシミュレーションソフトウェア)

オーストラリアのトレーニング・シミュレーション企業・出版社ホールデール・グループ(Halldale Group)によると、アメリカ合衆国に拠点を置くエピック・ゲームズ(Epic Games)が開発したUnreal Engine 4は、豪陸軍のLand Simulation Core 2.0(LS Core 2.0)Tranche 1プログラムの一環として、オーストラリア国防軍がテクノロジー企業シム・セントリック(SimCentric)から調達したSAF-TAC仮想トレーニング環境の基盤ソフトウェアとして機能する。

エピック・ゲームズは、大人気の3D対戦格闘ゲーム「ギアーズ・オブ・ウォー(Gears of War)」と「フォートナイト(Fortnite)」を開発した。

豪国防省の2022年6月のニュースリリースで、陸軍訓練能力局のヨン・イー(Yong Yi)中佐は、「例えば、部隊を(演習)タリスマン・セーバーに向けて準備する場合、新型の車両や武器システムに触れたことがなかったり、しばらくの間、 [訓練場] タウンズビルやショールウォーター湾にしばらく行っていなかったとしても、我が軍のツールを活用してこうした状況に備えることが可能だ」

国防省によると、ソフトウェアは、より高度な仮想設定や基地間の相互運用性を可能にするために、LS Core 2.0 Tranche 1の一環としてすべての戦闘シミュレーションサイトで導入される。Tranche 2は、シミュレーションセンターのネットワーク拡張・管理により、より調整の取れた訓練を可能にする。Tranche 1と2はどちらも2024年後半までに完全運用される予定だ。

シミュレーションにより、トレーニングがより容易になり、繰り返しや定量化が可能になるほか、実行困難または費用のかかる高リスクで複雑で機密性の高いトレーニングの実施が可能になる、とイー中佐は述べた。

「部隊は、個人および組/班単位のスキルトレーニングを実施した上で、任意の場所や環境から集団トレーニングに参加することができ、複雑性を拡張させることも可能」だという。

国防省によると、シミュレーションにより、司令官は完全装備の部隊要素を敵に対して演習させることができる。

「ソフトウェアの一部には、特定の空間で一緒に任務を遂行する際に、同じ地形やモデルが見えるようにするデータが含まれている」とイー中佐は述べた。

2021年10月に「オーストラリア・ディフェンス・マガジン(Australian Defence Magazine)」が報じたところによると、豪軍のネットワーク化されたシミュレーション能力の採用と時期を同じくして、加速戦闘の指針に沿った戦闘能力の見直しが行われた。今後10年間で、アパッチ攻撃ヘリコプター、AS 9/AS 10自走榴弾砲システム、新型M1A2エイブラムス戦車、無限軌道型歩兵戦闘車、短距離地上防空システムなどのハイテクプラットフォームの導入が予定されている。

LS Core 2.0等のシミュレーションツールをはじめとする新プラットフォームは、訓練に非常に重要だと同誌は指摘している。

画像提供:豪国防省

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top button