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米国、新しい違法漁業政策の枠組みの中で対中姿勢を強化

AP通信

米国のジョー・バイデン政権は中国による不法漁業への対策を強化しており、連邦政府機関に世界の海洋の持続可能な利用を促進するために、連邦政府機関間だけでなく外国のパートナーとの調整を強化するよう命じている。

2022年6月下旬、ホワイトハウスはポルトガルのリスボンで国連海洋会議が開催されたタイミングに合わせて、IUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)に関する最初の国家安全保障メモを発表した。

米国国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission)によると、2019年の米国の魚介類輸入は24億米ドル相当で、そのうち11%近くがIUU漁業からのものだ。

政策の枠組みの中で中国の名前は挙げられていないものの、主要な魚介類加工国であり、国家の融資と燃料補助金を通じて、世界最大の遠洋漁業船団を建造し、インド太平洋、アフリカ、南北アメリカで数千の浮遊養殖場を運営している。(写真:2022年4月、対違法・無報告・無規制漁業パトロール中に、フィジー沖で中国籍の船舶に乗船するフィジーの法執行官と米国沿岸警備隊の隊員)

メモでは、具体的に21の連邦政府の部局や機関に対し、情報共有の改善、制裁措置やビザ制限などの執行措置の調整、国際的な同盟国間でのベストプラクティスの推進を指示している。

これを受けて、米国海洋大気庁(U.S. National Oceanic and Atmospheric Administration)が、違法漁業の定義に関連する強制労働を含める新たな規則を早急に策定することとなり、これは遵守しない旗国のブラックリスト掲載へとつながる第一歩となる。

保全団体は、バラク・オバマ前米大統領の下で米国の魚介類サプライチェーン浄化を目的に着手された対策を基盤とした、この取組みを称賛した。

ワシントンD.C.に拠点を置く非営利団体オセアナ(Oceana)のベス・ローウェル(Beth Lowell)副会長は、「米国の漁業従事者は米国政府による多くの規則や規制に従わなければならない」とした上で、「労働力や環境の記録が十分なされていない中国のような国々に対して行動を起こすことで、世界中の合法的に操業する漁業者に均等な機会を与えることとなる」と述べた。

同計画では、米国の魚介類輸入監視プログラムの拡大も求めており、違法に捕獲された魚が米国内に入り込まないよう、輸入業者は漁獲時点から文書を提供することが義務付けられる。現在、このプログラムでは約12種の魚介類が対象となっている。オセアナ等の団体は、プログラムがすべての輸入品を対象とすることを求めている。

「米国がすべての輸入魚介類に米国の漁獲魚類と同じ基準を課すまでは、違法に調達された魚介類が合法的な漁獲とともに販売され続けるだろう」とローウェル氏は述べた。

リスボンで5日間にわたり開催された会議には120か国以上の関係者と科学者が出席したが、国連のアントニオ・グテーレス(Antonio Guterres)事務総長は、いくつかの国々は地球のニーズではなく、自国の経済的利益を優先しているとして、(具体的に国名を挙げることなく)こうした国々を批判した。

国連は、この会議が公海の保全に関するグローバル海洋協定の長期的な取り組みに勢いをもたらすものと期待を寄せた。

バイデン政権の発表と時期を同じくして、世界貿易機関(WTO)がスイスのジュネーブで開催された2022年6月の会議で、IUU漁業を抑制し、減少する漁業資源の負担を軽減し、保全と管理措置の改善を通じてより高い透明性と説明責任を確保するという歴史的合意に達したことを歓迎した。この協定では、環境保護主義者によって世界中の魚の個体群を枯渇させる最大の要因と見なされている、補助金を明示的に禁止している。

「IUU漁業は、我々の海洋、人々、そして地球を傷つけ、環境、法の支配、そして海の安全を危険にさらしている。こうした多面的な問題に取り組むためには、多面的なアプローチが必要だ」と、モニカ・メディナ(Monica Medina)米国海洋・国際環境・科学局(Bureau of Oceans and International Environmental and Scientific Affairs)次官補はリスボンで開催された国連会議の中で述べた。「だからこそ、米国はWTO加盟国が有害な漁業補助金を規制するために前進的な一歩を踏み出し、環境を中核とした史上初の多国間貿易協定を確立したことを誇りに思っている。今後もWTOの交渉の中で、より野心的な漁業補助金規制を求めていく」

海洋は地球表面の約70%を覆い、何十億もの人々に食料と生計を提供している。活動家の中には、彼らを地球上最大の未規制領域と呼ぶ者もいる。

海洋活動に関する主要な国際協定である国連海洋法条約(U.N. Convention on the Law of the Sea)の枠組みの中で、公海条約の交渉が進んでいる。

グテーレス事務総長は、条約の合意に向けて「重大な進展」があり、世界は海洋の将来にとって「重要な瞬間」に立っているとし、

「我々は意思決定を行う人々に対する圧力を促す必要がある」と述べた。

海洋に対する脅威には、温暖化や炭素汚染による酸性化、広範なプラスチック汚染が含まれると国連は述べている。潜在的に有害な深海採掘に関しても規則が欠けている。

また、2018年にケニアのナイロビで開催された前回のサミットで各国政府が行った、海洋経済を基盤とする島嶼国の保護、持続可能な漁業、温暖化対策への取り組みをはじめとする60を超える誓約を再確認し、それらを基盤とすることが期待された。

画像提供:ネイト・リトルジョン(NATE LITTLEJOHN)一等兵曹/米国沿岸警備隊

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