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中国の工作活動は日本に影響を及ぼすことができない、とアナリスト

フェリックス・キム(Felix Kim)

日本のアナリストによると、中国は長年にわたり日本に不適切な影響力を行使しようとしてきたが、特に日本と同盟国の米国との間に分裂を引き起こそうとする試みにおいて大きく失敗している。

慶應義塾大学法学・政治学部の井上 正也教授によると、このような「抜け目のない、悪質な」と称される影響戦術には、情報操作、賄賂、さらに、政治家、一般人、ビジネスリーダーに対する強要といった手法が含まれる。

1970年代から1980年代にかけて、中国の狡猾な戦術は、与党自民党の亀裂を利用して最大の成功を収めた、とアジア太平洋研究所(Asia Pacific Institute)のジオエコノミックブリーフィングの分析で井上氏は書いている。

「1980年代、両国間で問題が発生するたびに、中国は公式の外交経路での会談と並行して、自民党陣営の指導者との裏ルート交渉を通じて問題を解決しようとした」という。

また、井上氏は、中国政府が1960年の日米安保条約締結に対する日本国内の反対を助長しようとしたことや、日本の国会議員を中国へ招待することで、日本の議員の間に分裂を生じさせようとしたことも挙げている。

ビジネスにおいても、中国政府は日本の貿易組織に同様の影響を及ぼそうとした。

中国共産党を支持するよう日本世論に影響を及ぼそうとする最近の工作活動については、戦略国際問題研究所(CSIS)が2020年7月に発表した報告書「China’s Influence in Japan: Everywhere Yet Nowhere in Particular」に記されている。

報告書の作成者で、2021年に死去した元ジャパンタイムズ紙オピニオンエディターのデビン・スチュワート氏は、「親善」工作と「悪意」工作を区別している。親善工作には、新型コロナウイルスのパンデミック中に日本を味方に引き入れようとした試みや、個人用保護具の寄付に対して中国国営メディアで感謝の意を表明したことが挙げられる。

これとは対照的に、悪意工作には、過去20年間にわたって日本の沖縄県で独立運動を扇動してきたことが挙げられる。スチュワート氏は、中国政府が資金を提供して日本各地に建設された15の孔子研究所は、公式には国境を越えた友情と中国の文化を推進しているが、中国共産党のためにプロパガンダを広め、言論の自由を妨げ、情報を収集していると広く非難されており、親善と悪意の混在を表していると述べている。

井上氏によれば、日本が中国の狡猾な権力戦術に対する耐性を身に付けたのは、数十年に及ぶこの問題に対する理解が高まり、広く認識されるようになったからだという。日本政府は1990年代に、外交政策実施における首相の役割を強化する行政改革により、日本の国会の派閥指導者に対する中国政府の影響力を制限する措置を講じた、と井上氏は付け加えている。

加えて、中国国内での弾圧と海外への侵食は、日本国内でのこうした影響工作による利得を損なっている。なかでも、自由を求める学生らが天安門広場で抗議活動を行った後、中国人民解放軍が北京で民間人を虐殺したことや、中国船舶が日本の領海に不法侵入を繰り返していることが大きく影響している。

天安門事件後、日本企業は中国企業とのつながりを縮小した。日本のビジネスリーダーの間の意見の多様性もまた、中国による影響工作の成功を妨げる要因となった。

スチュワート氏は、1972年に中国と日本の外交関係が始まると日本人の中国に対する好感度がピークに達したことを示す世論調査データを挙げた。天安門事件、そして2010年に始まった尖閣諸島紛争を受けて、好感度は急激に低下した。同データは、米国に対する日本人の感情が一貫して肯定的であることを示している。

井上氏は、中国の船舶による尖閣諸島周辺の航行で日本国民が中国を脅威として捉えていることが、中国政府の影響力の有効性をさらに制限している大きな要因となっていると述べている。

フェリックス・キムは韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。

画像提供:ISTOCK

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