日韓がNATOとの関係を醸成

日韓がNATOとの関係を醸成

FORUMスタッフ

2022年6月下旬、マドリードで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に日本と韓国が出席したことは、両国が軍事同盟NATOとのパートナーシップを強化するための大きな節目となった。

日本が欧米諸国が加盟するNATOとの連携拡大を進める中、日本の岸田文雄首相は同国首脳として初めてNATO首脳会議に出席した。一方、同じく首脳会議に出席した韓国の尹錫悦(Yoon Suk-yeol)大統領は、韓国がNATO特別代表団を設置すると発表した。

韓国安保室長の金聖翰(Kim Sung-han)氏が、「取組みの一環として、韓国は新たな安全保障上の脅威に対抗するための情報共有、合同演習、共同研究についてNATOと話を進めている」と述べたことをコリア・ソサエティ(The Korea Society)は報じている。

アナリストは、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻がインド太平洋地域に影響を及ぼす可能性があるという懸念の高まりが、インド太平洋諸国がNATOとの関係を成長させることを推進する理由のひとつだと指摘している。さらに、中国が影響力を拡大しようとすることで、地域の不安定化につながるとの懸念も残されている。こうした中国の行動を踏まえ、日本は米国との既に強固な同盟関係と他のインド太平洋諸国とのパートナーシップを補完するために、志を同じくする欧州諸国との軍事的協力の強化に踏み出した。

「ロシアの侵略は世界の平和と秩序に違反しており、決して容認することはできない」と、岸田首相がNATO首脳会談への出席を発表した際に述べたと、ブルームバーグは報じている。

岸田首相はロシアのウクライナに対する行動を戦争犯罪だと非難している。

インド太平洋地域のパートナーとの関係強化は、アジェンダ「NATO 2030」の重要な要素だ。2022年6月のNATOニュースリリースは、「今日の複雑な環境では、世界中の志を同じくするパートナーとの関係は、包括的なセキュリティ問題やグローバルな課題に対処し、ルールに基づく国際秩序を守る上でますます重要になっている」とし、オーストラリア、日本、ニュージーランド、韓国との関係強化を最優先事項として明らかにした。

さらに、「NATOとそのアジア太平洋パートナーは、サイバー空間、新技術、偽情報対策など、いくつかの分野で政治的対話と実践的協力を強化することに合意」し、「グローバルな課題はグローバルな解決策を必要とするため、海上安全保障、気候変動、レジリエンスなどの他の分野でもより緊密に協力することに合意した」と報じている。

6月上旬には、第2常設NATO海洋グループ(SNMG 2)艦艇が地中海で日本の海上自衛隊艦艇と共同訓練を行った。米国海軍のニュースリリースによると、新たに任官した自衛隊幹部とNATO部隊は、操縦演習と人員交流を行い、NATOと日本が海上でどのように運用されているかについての洞察を共有し、「部隊間の理解と相互運用性を促進」した。

さらに、SNMG 2 イタリア海軍のマウロ・パネビアンコ(Mauro Panebianco)少将は、「我々は日本の海上自衛隊と中核的価値観の多くを共有している。だからこそ、協力は双方に利益となる」とした上で、「NATOは、日本をはじめとする欧州大西洋地域以外の多くの国と関係整備を進めている」と述べたという。

NATOと日本は1990年代初頭から対話と協力を行ってきた。NATOと韓国の交流は2005年から行われている。

NATOは「政治的対話により、NATOとそのアジア太平洋パートナーは、欧州大西洋地域とアジア太平洋地域の安全保障に関する相互の状況認識を高めることができる」とし、「国際安全保障の基本原則に反する戦略的競争の時代において、NATOは志を同じくする国々とさらに密接に協力しなければならない」と述べている。

6月の首脳会談の3週間前には、日本の岸信夫防衛相がNATO関係者と会談した。岸防衛相は、NATO軍事委員長を務めるオランダ王国海軍のロブ・バウアー(Rob Bauer)大将に対して、日本がヨーロッパとの結びつきを強めたいと考えており、インド太平洋へのNATOの関与を歓迎していると伝えた。

「ヨーロッパとアジアの安全保障は密接に絡み合っており、特に国際社会が深刻な課題に直面している現在ではなおさらだ」と岸防衛相は語った。

バウアー委員長は、共通のセキュリティ課題への取り組みが強化されたことを称賛した。NATOのニュースリリースによると、バウアー氏は、「日本は欧州大西洋地域以外ではNATOと最も長い提携関係にある」と述べ、「同じ価値観と課題を共有している我々がパートナーであることは至極当然なことだ」と結んだ。

(写真:左は2022年6月に東京で会談するNATO軍事委員長のロブ・バウアー海軍大将、右は日本の山崎幸二統合幕僚長)

画像提供:ロイター

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