ヘッドライン

高度な新型ミサイルと無人航空機により防衛機能の向上を図る台湾

ロイター

兵器製造を担う軍所有機関が発表したところでは、台湾が敵の空軍基地攻撃や巡航ミサイル迎撃を可能とする兵器および敵のミサイル発射基地を攻撃する無人航空機(ドローン)を開発している。

自治国家の台湾を自国領土と主張し、台湾を支配下に置くためなら武力行使も辞さないと豪語する中国の軍用機が台湾防空識別圏を繰り返し侵入している。これに伴い中台間の緊張が記録的に高まったことを受け、2021年に台湾立法院(国会に相当)は今後5年間で82億米ドルの追加軍事費を承認した。(写真:2022年1月に嘉義市で実施された軍事訓練に参加する中華民国国軍のF-16V戦闘機)

台湾国防部が2022年3月に発表したところでは、台湾は中国を牽制できる戦闘力を強化するため、2022年にはミサイルの年間生産能力を2倍以上に増やして500発近くに引き上げる計画を策定している。

2022年4月下旬に軍所有の国家中山科学研究院が台湾立法院に提出した報告書には、同機関が開発中のミサイルと無人航空機の性能に関する詳細が含まれている。

専門家等の説明によると最大射程が1,000キロの地対地長距離巡航ミサイル「雄昇」は、塹壕や鉄壁の司令部を攻撃できる高性能爆薬型の弾頭と飛行場施設などの広範囲を破壊する「集束」型の弾薬を搭載する2種類に分かれる。

台北に本拠を置く国家政策研究基金会の揭仲(Chieh Chung)研究員の説明では、雄昇ミサイルは中国人民解放軍の東部戦域司令部下の大半の基地を射程に収める。これには上海や浙江省近辺が含まれる。

揭研究員は、「中国人民解放軍が台湾を侵攻した場合、雄昇により中華民国国軍は敵軍のペースを遅らせる、または阻害することができるため、急速な速度で短期戦を狙う敵がその目的を達成することが困難となる。同ミサイルが配備されれば、中華民国国軍の能力が大幅に向上する」と説明している。

一方、高性能地対空ミサイル「スカイボウ3(Sky Bow III)」は、弾道ミサイルや巡航ミサイル、また戦闘機を撃墜できるように設計されている。

台湾は2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻前から同計画を策定していたが、今回の戦争で中国が台湾に武力侵攻する可能性に対する警戒心が高まっていることも踏まえ、大国ロシアを相手に抵抗を貫くウクライナの戦略・戦術など、自国に適用できる教訓に関する対話が台湾国内で促されることになった。

台湾国内の某安保関係者によると、台湾は米国からハープーン対艦ミサイルなどの兵器を調達しているが、ミサイルを国内生産することで、万が一の場合にウクライナのように兵器供給を外国に頼る必要がなくなる。

匿名を条件に取材に応じた某関係者は、「これはヘッジ戦略である」と説明している。

国家中山科学研究院が説明したところでは、今回ウクライナ軍が使用して多大な効果を上げた無人航空機は、敵のミサイル発射基地の攻撃および敵レーダーを破壊する際の囮(デコイ)として用いることができる。

新型無人飛行機の生産基地と修理工場を含む施設4棟を2025年までに建設する計画も策定されている。

台湾国防部は年間で不特定の攻撃型無人航空機48機を製造する目標をすでに発表している。国防部が2022年3月に発表したところでは、台湾が初めて保有する米国製の無人攻撃機「MQ-9リーパー」は2025年までに運用が実現する予定である。同無人機は航続距離が長く、ミサイルを搭載することができる。

2022年の157億米ドルの計画支出に上乗せされた追加軍事費の約64%は、陸上ミサイルシステムなどの対艦兵器に用いられる。これには、ミサイルと「高性能」船舶を国内生産する50億米ドル相当の規模の計画が含まれる。

軍隊近代化を最優先事項として掲げる台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は、新たな等級のステルス艦や国内開発の潜水艦などの生産計画を推進している。

はるかに大規模な軍事力を備える中国に直面する蔡総統はこれまでも「非対称戦争能力」を重視し、敵の攻撃を受けにくく、精密に的を絞って攻撃できるハイテクのモバイル兵器の開発を奨励してきた。

 

画像提供:ロイター

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Back to top button