フェリックス・キム(Felix Kim)
フランスと韓国が海事協力、先端技術の共有、防衛産業における協力を通じて防衛関係を強化している。
仏海外領土として仏領ポリネシアとニューカレドニアの諸島を有するフランスは、インド太平洋地域に海外領土と常駐の海外駐留部隊を持つ唯一の欧州国である。フランス国際関係研究所(IFRI)の情報によると、同地域には約7,000人のフランス軍兵士が常駐し、約150万人のフランス国民が居住している。
フランスのフロランス・パルリ(Florence Parly)軍事相は2022年2月14日にフランスのパリで韓国の徐旭(Suh Wook)国防部長官と会談した際(写真参照)、地域の平和と安定に貢献する取り組みの一環として両国間の防衛協力体制を拡大する意向を示した。
こうした防衛関連活動として、上級軍事指導者間の交流および2022年2月22日にパリで開催された「インド太平洋に関する閣僚会合」といった会議への共同参加が挙げられる。同閣僚会合ではインド太平洋地域の安保と安定に対する欧州連合とその加盟諸国の貢献に関する円卓会議が実施された。
海洋安保に関してフランスとの協力体制を強化することで、韓国は特に中国からもたらされる脅威に対する防衛能力を拡大できる可能性があると述べたランド研究所の韓国情勢専門家、ブルース・ベネット(Bruce Bennett)博士は、フランスの戦術・戦略は大韓民国国軍が精通している米国の戦術・戦略とは異なると説明している。
ベネット博士はFORUMに対して、「中国にとって不測となる戦術・戦略を韓国はフランスから学べる可能性がある」と語っている。
韓国政府系報道機関の聯合ニュース(Yonhap News Agency)が報じたところでは、2018年にマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領と文在寅(Moon Jae-in)韓国大統領は防衛産業における協力体制を強化することで合意している。そして2022年2月には、パルリ軍事相と韓国の徐国防部長官が宇宙、サイバーセキュリティ、人工知能(AI)などの分野でも協力することで一致した。
フランスの大手防衛メーカーであるタレス・グループ(Thales Group)は韓国大手防衛企業のハンファシステム(Hanwha Systems)社やLIG Nex1社を筆頭に、その他の中小企業ともデジタルセキュリティや宇宙技術の分野で緊密に協力を図っている。
人工知能の役割は両国においてますます重要視されるようになっている。フランス国際関係研究所によると、韓国政府とフランス政府は2018年、両国の4つの大学と研究施設における人工知能研究を支援する基金を立ち上げている。「人工知能を活用することで、さまざまな脅威に即時に対応できるようになる」と述べたベネット博士は、これによりサイバーセキュリティから無人航空機(ドローン)に至るまで、あらゆるシステムの機能が強化されると説明している。
同博士はまた、「優れた人工知能があれば、ほぼ自律的に動作する無人航空機を展開することが可能となる」とし、「これは非常に魅力的な構想である。無人航空機は1機、2機設置してもあまり意味はないからである。誰でも500機から1,000機は保有したいと考えるはずだ」と話している。
同博士が説明したところでは、フランスは世界第3位、韓国は第6位の防衛輸出国である。韓仏が協力を図りながら技術を共有することで、両国がその相乗効果を活用して自国の防衛ニーズを満たしながら、防衛輸出国としての勢力を伸ばすことができる。
フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。
画像提供:韓国国防部(MND)