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米国「インド太平洋戦略」の重要な支柱:国境を越えた脅威に対する回復力の構築

FORUMスタッフ

継続的な世界経済への打撃要因となる気候変動や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックなど、国境を越えた課題を放置すると、問題が一段と深刻化して諸国の不安定化が発生する恐れがある。インド太平洋諸国の政府が自然災害、資源不足、内部抗争、統治関連の課題に取り組む中、米国は「インド太平洋戦略」に基づき諸国首脳陣と協力を図りながら、より回復力のある地域の構築に取り組む予定である。

2022年2月に米国が新たに発表したインド太平洋戦略には、「インド太平洋の未来は米国と同盟・提携諸国の現在の選択に左右される」および「気候変動の解決と対処、100年に1度のパンデミックからの世界の回復、同地域の発展の推進要素となってきた開放性、透明性、包括性の原則の維持を同地域で実現できるか否かは今後10年の努力にかかっている」と記されている。

米国のインド太平洋戦略には以下の目標が掲げられている。

  • 世界の気温上昇を摂氏1.5度以下に抑制するという目標を踏まえて、同盟・提携諸国と協力を図りながら2030年目標と2050年目標の焦点、戦略、計画、政策を策定する。
  • 気候変動と環境劣化の影響に対する地域の脆弱性を削減する。
  • 新型コロナウイルス感染症パンデミックを収束させ、世界的な健康・衛生の安全性を高める。

上記に加えてインド太平洋戦略では一段と優れた協調体制を確立することで、特に情報通信技術などに関するインフラの地域間格差に対応する必要性が強調されているだけでなく、海洋安保を改善することで、水産業の保護と海洋領域認識(MDA)の確立に取り組む提携計画の策定にも焦点が当てられている。

インド太平洋戦略には、「米国のこの著しい戦略的野心は、インド太平洋ほど世界や米国人の日常に影響を与える地域はないという信念に基づくものである。これに関しては、米国とその同盟・提携諸国は共通の構想を抱いている」および「諸国共通の目標を基本的な支柱とする戦略を追求すること、そしてその目標を実現できるように地域の能力強化を図ることで、米国はインド太平洋を開かれ相互接続され回復力のある繁栄した安全な地域として、来るべき世代に向けて確立する取り組みを主導することができる」と記されている。

(米国のインド太平洋戦略は、 https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2022/02/U.S.-Indo-Pacific-Strategy.pdfで全文にアクセス可能)

画像提供:ISTOCK

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