特集

世界共産主義帝国への ロードマップ

国際秩序への抵抗から書き換えまで 言葉とは裏腹に覇権を取りたい中国共産党

(文)周景顥(Jinghao Zhou)博士、ホバート・アンド・ウィリアム・スミス・カレッジ(HOBART AND WILLIAM SMITH COLLEGES)| (写真)AP 通信社

中国経済が軌道に乗り始めた 1980 年代初め以降、中国共産党は、中国政府がその発展モデルを輸出せず、世界の覇権も追及しないとの誓いを繰り返してきた。だが現実には、中国共産党の急速な軍事的増強、攻撃的な政治プロパガンダとイデオロギー
の検閲、そして「メイド・イン・チャイナ 2025 (Made in china 2025)」や「一帯一路」といった 野心的な経済計画に、中国政府が国内の経済力をてこに世界を支配し、中国を中心とした世界共産主義帝国を打ち立てたいという中国政府の願いが表れている。中国共産党は、その野心を「中華民族の偉大なる復活」や「チャイナ・ドリーム」などの言葉で正当化する。中国共産党の習近平総書記は、2012 年に政権を取って以来、中国が「人類共通の未来の共同体」を築く国であると主張してきた。

国際機関の潜在的ターミネーター

いずれの国にとっても国際機関の外で勢力を拡 げることはほぼ不可能である。国際機関と対峙する 中国にとって、毛沢東の下で共産主義支配が続いた 最初の 26 年間は国際的な制裁による経済・政治両面のダメージに苦しんだ時期だった。毛沢東は早くも 1950年代に、新生中華人民共和国が「15年後に英国に追 いつき 20 年後には米国を追い越す」と宣言している。しかし、彼が1976年に死亡した時の共産中国は、まさに崩壊寸前だった。鄧小平のリーダーシップの下、中国共産党はその敵対的な戦略を友好路線に変更し、自らの世界的な野望を実現すべく国際機関に参加し始めた。鄧小平の低姿勢戦略は時間を稼ぎ密かに共産主義帝国を構築するためのものだった。 

ポスト毛沢東の時代に国際機関から大きな恩恵を 受けていた中国だが、中国共産党が国際機関に満足 することは決してない。中国共産党は、ただ国際秩序を受け入れるのではなく、「潜在的ターミネーター」 「選り好み」「国際機関へのただ乗り」という 3 つの顔を持って現実的に立ち回っている。早くも 1996 年には、中国のナショナリストによって書かれた「No と言える 中国(China Can Say No)」と題する本が、国際秩序 に対する中国の不満を表明し、米国への抵抗を政府に呼びかけた。2006年には複数の著者による「不幸な中国(Unhappy China)」という後続本が、国際秩序に 対する中国の不満を明確に説明し、中国は覇者 になるべきとの考えを打ち出した。国のナショナリズム を煽りたい中国共産党は、「西洋諸国の政府に虐 げられた屈辱の世紀を経て今こそ中国は党の望 むものを手に入れるべきだ」と主張している。 

中国共産党の見解によると中国が国際秩序の中で チャイナ・ドリームを実現するのは非常に難しい。なぜなら国際秩序は米国が構築したものであり、 「米国または自由主義圏の価値観」、「米国主導の 軍事同盟」、「国際連合とその諸機関」という 3 つのシステムに支えられているからである。中国共産党の国際機関に対する戦略は、中国の総合的な国力に応じて 随時変わってきた。中国の経済力が増すにつれ 1990 年代後半からは国際機関に異議を申し立てるようになる。2010 年に世界第2位の経済大国となった後は、鄧小平 の低姿勢戦略から攻撃的な戦略への移行を開始した。2 つの大国の間で新しいタイプの二国間関係を、という 中国の提案を米国が拒絶して以来、中国は、中華帝国が 19 世紀以前に享受していた東アジアでの支配的な 地位を取り戻すべく、「強弱両面」を併せ持つ国家の戦略から強い国家としての戦略への移行を完了した。

プロパガンダは中国政府が目標を達成する上で 中心的な役割を果たしている。中国共産党は発言権 を制する者が国際体制を制するとの理解に基づき、中国に関する国外の論説をコントロールするための 「論戦」を世界中で展開している。中国政府は海外の大学や専門学校でのプロパガンダをさらに強化すべく、世界中に1000校以上の孔子学院を設立した。ワシントンD.C. に拠点を置く無党派の研究グループ「レスポンシブ・ポリティクス・センター( Center for Responsive Politics )」によると、中国の国外代理人の米国における支出は、2016 年の 1,000 万米ドル (11 億 3,000 万円)から、2020 年には 6,400 万米ドル (73 億円)にはね上がった。同研究グループは、このとてつもない増額の背景に、米国のビジネス、政治、社会情勢への影響力拡大を目論む中国の意図があるとみている。ニューヨーク市のタイムズスクエアにあるデジタル・ビルボード「チャイナ・スクリーン (The China Screen)には、中国共産党のイデオロギーが1日24時間表示され、米国における中国共産党のプロパガンダを象徴している。「チャイナ・ラジオ・インターナショナル(China Radio International)」は米国内だけでも12を超えるラジオ局と放送契約を結んでおり、「チャイナ・デイリー」紙(China Daily)は「ワシントン・ポスト」紙などの新聞に折り込み広告を載せている。中国政府はまた、Facebookや Twitter を含む他の自由主義圏のメディアプラットフォームを利用して、世界中のユーザーをターゲットとしたプロパガンダを発信している。華僑や中国系以外の外国人をターゲットとするこれらのプロパガンダの目的は、中国共産党に対する肯定的な見方を醸成し、海外から中国への投資を促進し、反中国共産党の声を抑圧して反米感情を高めることにある。米国その他の自由主義社会における中国共産党の悪しき影響は、体系的なものである。

ワシントン DC で開催されることの多い世界銀行/国際通貨基金の年次会合には、国際通貨金融委員会 (IMFC)のメンバーが出席する。中国は国際金融システムにおける自国の地位を向上させるために 超主権的な世界準備通貨制度の導入を求める運動を行っている。

国際ルールの曖昧化

中国共産党は、あらゆる手段を動員して影響力を発揮し国際ルールの意味を再定義することで国際秩序に挑戦している。安全保障分野では、第二次世界大戦終結以後の核拡散が米国主導の国際秩序に沿ったものであると主張する。イスラエルやインドなどの民主主義国が核兵器を保有しようとした時、米国は曖昧な政策を採用した。イラン、イラク、リビア、北朝鮮などの国々が核兵器を保有しようとすれば米国に制裁を課される。よって、ルールはもとよりその基盤をなす価値観にも変更が必要だ、というのが中国共産党の言い分である。 

気候変動問題に関しては、気候変動国際会議で 「共通だが差異のある責任」を繰り返し主張する中国に対し、自由主義圏の主要国は発展途上国と先進国が同等の責任を負うべきであると考えている。中国は、2009 年にデンマークのコペンハーゲンで開催された国連気候変動会議(COP 15)において、気候に関する合意成立の阻止に大きな役割を果たした。2021 年にオンラインで開催された気候リーダーズサミットでも実質的な約束は一切なかった。習主席の約束は空虚でいかなる行動計画も伴っていない。それとは対照的に、米国のバイデン政権は米国の排出量を 2030 年までに2005 年の水準から 50〜52% 削減するという野心的な計画を発表した。 

金融分野においては、経済と金融の政治化を避けるためとして国際政治問題からの分離を主張する中国が世界中の専制政権を擁護する構図となっている。2016 年には人民元を強引に特別引出権通貨に指定させた。その後も国際金融システムにおける自国の地位を向上させるべく、超主権的な世界準備通貨制度の導入を提唱している。このほか人民元の決済をめぐる世界の米国への依存度を減らすためにクロスボーダー人民元決済パイロットプログラムも立ち上げた。中国は、決済技術の世界的リーダーとしての地位確立を図るために、2022 年の北京冬季オリンピックで披露する予定のデジタル通貨を導入している。この人民元のデジタル版には中国経済の効率化により米ドルの覇権に挑戦するという狙いもある。 

選り好みとただ乗り

中国共産党は、国際機関を自らの利益を最大化し世界的な影響力を拡大する場として利用してきた。一般的に言って中国政府はグローバリゼーションの政治的側面に異議を唱えながら、経済的側面を支持して技術的な優位性の獲得を図り、自国の発展モデルを南半球などの発展途上国(グローバルサウス)に輸出している。中国は国際機関の抜け穴を利用して不公正な貿易競争を促進してきた。2001 年に中国が世界貿易機関 (WTO)への加盟を認められた際、中国政府は同機関の要件を満たすために経済体制を改革することを約束したが、その約束の多くは果たされないままである。 

米国の知的財産の侵害は中国によるものが圧倒的に多い。米国司法省によると、経済スパイ容疑による告訴事件の 80% 以上、営業秘密侵害事件の 60%にそれぞれ中国が関与しているという。中国による米国の知的財産の侵害がもたらす損失は年間 2,250 億〜6,000億米ドル(25 兆 6,000 億 〜68 兆 2,000 億円)に上る。米国が世界の安全と繁栄を維持するために公共財の提供という重荷を背負ってきた何十年もの間、中国はただ乗りを行なってきた。

上海オートショーの展示を準備する従業員。米国司法省によると、経済スパイ容疑による告発事件の 80% 以上、営業秘密侵害事件の60% など、米国の知的財産侵害事件のほとんどに中国が関わっている。

中国は、国際機関から出る巨額の資金を国内外における自国プロジェクトの推進に活用している。1981 年に 4 億5,000 万米ドル(511億5,000万円)、1986 年に 6 億米ドル(682億円)をそれぞれ特別引出権で国際通貨基金 (IMF)から借り入れたほか、1999 年までに国際開発協会(IDA)から受けた無利子貸付は 99 億 5,000 万米ドル(1 兆 1,000 億円)、2011 年までに国際復興開発銀行(IBRD)から受けた貸付は 398 億米ドル(4 兆5,000 億円)に上る。今や上位中間所得国であるにもかかわらず依然としてドイツや英国を含む先進国からの資金援助を受けている。その資金を使って世界に勢力を伸ばしながら中国の援助を受ける国々に圧力をかけて中国を支持させ、外交的な譲歩を引き出している。世界保健機関(WHO)は中国に1億米ドル(113 億円)
以上の技術援助を提供してきたが、今や中国は、COVID-19 ワクチンの配布を利用して民主主義を崩壊させ世界の覇権を握ろうとしている。 

地域の機関や国際機関における地位の上昇

中国共産党は、国際機関での勢力拡大を通じてそれらの機関での役割を飛躍的に増大させた。中国は 200 を超える国際機関に加盟しており、国連の 15 の専門機関のうち4つでトップのポストにあるほか、他の国際組織でも数々の上級職を務めている。中国共産党は 2 年前に国連の世界知的財産機関(WIPO)でトップの地位につこうとしたが、これには失敗した。中国はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)、ASEAN(東南アジア諸国連合)、アジア太平洋経済協力(APEC)などの多国間組織でも、主導的な役割を果たそうとしてきた。 

中国・アラブ諸国協力フォーラム、中国・アフリカ協力フォーラム、中国・ASEAN自由貿易地域など、さまざまな中国主導の多国間組織を立ち上げている。2001 年には、ユーラシアの政治・経済・安全保障同盟である上海協力機構(SCO)を創設している。2015 年にはアジアインフラ投資銀行(AIIB)のプロモーションを開始し、同行の構築と維持に指導的な役割を果たす意欲を示した。北京に本店を置く同行は、世界中に103 の加盟国と 21 の見込み加盟国を擁している。

「一帯一路」は、中国の発展モデルを変換し、多様な通商関係を推進して国際貿易の新しい枠組みを確立することで、中国の世界に対する影響力を拡大するという野心的なプロジェクトである。これらの取り組みはいずれも中国共産党の主導により、地域と世界の秩序を再構築することを目的としている。

その一方で中国政府は、国際政治の舞台での強気な態度を崩さない。中国共産党の価値観は、本質的に普遍的価値や人権とみなされるものとは全く相容れないものである。同党は、「集団的人権」と「発展する権利」の優先という名目で国内の政治活動家や宗教活動家を執拗に迫害し、世界中の人権侵害の非難に異議を唱えてきた。国連人権理事会は中国の人権侵害の非難決議を一度も採択していない。同理事会の年次会合でそのような決議案が出されるたびに、ほとんどの加盟国は、中国やその支持国のいずれかが提出したノーアクション動議を支持したからである。 

中国はこのほか他の利益と引き換えにコンプライアンスの意思を示すという多国間対話での交渉スキルも十分に習得した。その結果、中国は世界最悪の人権侵害国の 1 つに数えられ続けており、2020 年には最も多くのジャーナリストを投獄した国にランクされた。

2021 年 3 月、アラスカ州アンカレッジで開催された米中会談の オープニングセッションで発言する中国共産党の楊潔基外交部長 (写真中央)。

中国の脅威の影響

中国共産党が掲げる目標は多面的である。同党は、一党制の維持に加えていわゆる大中華圏(香港、マカオ、中国、台湾)の統一と南シナ海の内湖化を目論んでおり、さらには世界の超大国にもなろうとしている。中国共産党は、その最終目標への第一歩
として、「アジアのことはアジア人が決める(It is for the people of Asia to run the affairs of Asia)」というコンセプトを打ち出した。この標語は世界で勢力を伸ばすための弾みとして地域で優位性を確立し、地域と米国の同盟を破壊し、米国をインド太平洋地域から追い出す企みを正当化するために使われている。

中国は経済、価値観、軍事を含む米国の利益に深刻な課題を突き付けている。米国国防総省は 2020 年の議会報告書で、中国人民解放軍が 2049 年までに世界レベルの軍隊になることを目指していると明言した。米国の非営利研究機関「ランド研究所(Rand Corp.)は、 「世界一の大国を目指す中国の取り組み(China’s Quest for Global Primacy)」と題する最近の報告書の中で、米国が世界のリーダーとしての地位を維持できなければ、アジアの隅に追いやられる可能性があると予測している。 

ほとんどのシンクタンクは、中国経済がアメリカ経済を追い越すと予測している。中国は強大で世界を民主的価値観と法の支配から遠ざけようとするだろう。これからの 10 年は各国とグローバルコミュニティの両方にとって非常に重要である。大国間の競争は、米国と英国、米国とロシア、米国と日本の間でも繰り広げられてきた歴史がある。20年前、米国の政治学者で国際関係学者のジョン・ミアースハイマー(John Mearsheimer)博士は、大国間の競争は終わっていないと指摘した。主な大国は今も互いを恐れ、危険な安保競争を繰り返している。 

中国は、「国内の優先事項に焦点を当て改めて自立政策を最重視すること」「自国の米国依存を減らすと同時に、世界の中国への依存度を引き上げること」 「自国の海外への影響力拡大を加速させること」という3 つの面で対米戦に備えてきた。習主席は中国共産党員に「現代世界の混乱の最大の原因は米国である」と述べ、米国を基本的に中国の敵と認定している。 

2021 年 3 月、バイデン米大統領の下初めて対面で行われた米中高官会談では、中国の外交トップが 18 分間にわたる討論の中で米国の政策と米国主導の国際秩序を非難した。中国共産党の楊潔基外交部長は、「米国は世界の代表ではない。中国は、西洋民主主義よりも優れている独自の社会主義体制にこだわっていく」と主張した。 

ごく最近、習主席はパンデミック後の発展トレンドを「東の台頭、西の凋落」という言葉で表現し、「今こそ 中国が世界を直視する時だ」と述べた。中国共産党の公式ジャーナル『求是』に掲載された最近の講演では、世界が混乱の中にあると指摘し、中国はこの機会を捉えるべきであると説いている。同主席は何者も中国を打ち負かすことはできないと主張し、2049 年までには 中国を再び大国の地位に押し上げると約束した。中国共産党の世界観とやり方は明確である。今や 鄧小平式の「低姿勢」な外交政策を完全に放棄し、米国主導の国際秩序とは正反対の方向に躊躇なく動 いている。2021 年 7 月の中国共産党創立 100 周年記念式典 で習主席は、「中国を苛めようとする海外勢力は 14 億超 の人民が築いた鉄の壁にしたたかに頭をぶつけることになる」と警告した。 

2019 年、批判を集めた引き渡し法案に反対して香港の路上を行進する数千の抗議者たち。共産主義思想と中国の 父権的伝統は、もはや中国、世界のどこでも支持されていない。

戦略的安保競争の未来

世界の秩序の未来は、米国と国際社会が中国をめぐる包括的な課題にどう対応するかに大きく左右される。中国の脅威については様々な誤解がある。一部の アナリストは、中国は現在の国際秩序の恩恵を大いに受けてきたため、それを覆すつもりはないと論じている。他のアナリストは、中国政府の掲げる目標の多くが 米国のそれと対立するのは事実だが、中国が国際機関で果たす役割は依然として米国を含むグローバルコミュニティに恩恵をもたらしていると主張する。また、中国がその外交政策の原則とアプローチに基づいて国際社会での役割を果たす限り、中国の世界への影響力 は限定的であると考える者もいる。さらには、米国のメディアが中国の安全保障上の脅威を誇張しているのは、国際秩序が複雑かつ多層的であり、それを覆すことは困難だからであるという声もある。 

米国国家情報会議(NIC)の報告書「グローバルトレンド 2040(Global Trend 2040)」では、「米国 とその同盟国が引き続き国際システムを主導する」、「国際秩序は無目的で混沌としており不安定」、「民主主義社会の分裂が進む」、「世界がゆっくりと無政府状態に向かう」、「欧州連合(EU)および中国を筆頭とする世界的な同盟が誕生する」という5つのシナリオが想定されている。

それでも米国主導の国際秩序の将来が有望であるのは 間違いない。

中国共産党の世界支配の意図は決定的であるものの、いずれは行き詰まる可能性が高い。なぜならチャイナ・ドリームは主に中国共産党の世界観を表しているからだ。共産主義思想と中国の父権的伝統は、もはや中国、海外のいずれでも受け入れられなくなっている。中国の発展が米国のハイテクとサービスに大きく依存している以上、短期間で自立政策を実現するのは容易ではない。グローバル化した世界では、民主主義と 自由の追求が今も本流の目標である。 

中国の攻撃的な拡大に対抗すべく立ち上がる国は増加する一方である。カナダ、EU、英国は、少数民族の人権侵害に関する中国への制裁を調整してきた。2021 年 5 月には、EU議会において EU の中国との投資協定案を正式に凍結し、中国への対処に関する米国との調整を強化するよう呼びかける動議が可決された。ドイツは、中国共産党がウイグル族を虐殺しているとして非難されている中国北西部の新疆ウイグル自治区につき、同地区での活動を制限または停止することをドイツ企業に義務付けるサプライチェーン法を制定した。

さらに重要なのは米国が依然として強いことである。バイデン大統領は、2021 年 3 月に行われた最初の記者会見で、中国が「世界で最も指導的、裕福かつ強大な国」になることを望んでいると述べた。その上で、「私の政権下ではそうはさせない」と付け加えている。 

バイデン政権は米国同盟の国際ネットワークを強化・刷新するための改革に取り組んできた。米国は、WHO と気候変動に関するパリ協定に再び加盟したほか、技術、気候変動、人権などの問題でEU、NATO、先進7ヵ国のグループと緊密に連携し、中国がもたらす脅威への対抗を図っている。第二次世界大戦後のインド太平洋地域において、米国はオーストラリア、日本、フィリピン、韓国、タイと同盟条約を締結した。 

4 ヵ国間安全保障対話(通称「クアッド(Quad)」として知られる枠組みの中では、オーストラリア、インド、日本、米国が、経済、軍事、サプライチェーンの分野で緊密に連携している。これらの国は、中国共産党の覇権的野心に対する実質的な抑止力を構築する目的で多国間軍事演習や「クアッド」への加盟国募集も行っている。 

一方、すでに米中間の競争の最前線となっている台湾海峡と南シナ海は、中国の世界覇権への道を閉ざすという国際社会の決意が試される最初の試金石となるかもしれない。中国共産党が「中国の完全統一は同党の揺るぎないコミットメント」と断言する一方、米国は、もはや台湾問題を中国との関係という枠組みで考えるのではなく、自由で開かれたインド太平洋を推進する機会とみなすようになった。これには米中間競争の激化が反映されているだけでなく、インド太平洋地域における優位性を引き続き維持するという米国の断固たる決意が表れている。

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