Indo-Pacific Defense Forum

読者の皆様

インド太平洋防衛フォーラムへようこそ。今号では「戦略的パートナーシップ」について取り上げます。

軍事・安全保障組織と同盟国、パートナー国、志を同じくする国の政府との間で信用、信頼、協力の関係を築くことは、多国間の防衛能力と相互運用性を構築するためにも、また地域の安全保障を強化するためにも重要です。ロシアのウクライナへの侵攻とそれに続く戦争は、戦略的パートナーシップの果たす役割が自国の防衛だけでなく、地域の平和維持であることも明示しています。

今号では、信頼し合うパートナー間で思慮に富むネットワークを築くことが、地域全体で共有する価値観、規則、規範を推し進める上で不可欠であり、戦略的競争の進む環境で統合抑止力を実現するためにも重要である理由について解説します。 

今、この時代において同盟国とパートナーは、集団安全保障の機能と防衛力を成長させながら、最先端テクノロジーの開発に勤しむ悪意ある行動主体が投げかける脅威を和らげるために、安全保障への既存の取り組みが十分であるかどうかを新たな視点で見つめ直す必要があります。これについては、ダニエル・K・イノウエ アジア太平洋安全保障研究センター(DKI-APCSS/Daniel K. Inouye Asia-Pacific Center for Security Studies)のアルフレッド・エイラーズ博士
(Dr. Alfred Oehlers)が巻頭論文で詳述します。 

インド太平洋地域で受け継がれてきた安全保障体制は、米国とオーストラリア、日本、フィリピン、韓国、タイとの歴史的な同盟関係の上に成り立っており、前述の脅威に対処する上で大きな役割を果たしています。また、同志社大学の兼原信克教授は、地域の平和維持に貢献するインド太平洋戦略をどのように拡充していくかについて、中華人民共和国の台湾侵攻を効果的に抑止することも含めて、今号で日本からの視点を提供しています。

特定のテクノロジー分野と全領域(ドメイン)での運用要件に合わせた新たなパートナーシップのモデルも、おそらく求められることでしょう。別の論文では、インドの S・B・アスタナ(S B Asthana)退役陸軍少将が、オーストラリア、インド、日本、米国から構成される日米豪印戦略対話(クアッド)のような新たな同盟の枠組みに基づく多国間、マルチドメインでの対応を推奨しています。

安全保障の働きかけはここ数年さらに拡がり、主要な多国間組織とメカニズムを包含するまでになっています。そのなかでも ASEAN(東南アジア諸国連合)と拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)は際立っており、ほかにも太平洋諸島フォーラム(PIF)およびその他多くのインド太平洋地域の政治的安全保障体制も同様に顕著な例として挙げられます。

米国海軍大学(U.S. Naval War College)ストックトン国際法センターの武力紛争法に関するハワード・S・レビー プロフェッサー(Howard S. Levie professor)であるラウル・ペドロゾ(Raul Pedrozo)米国退役海軍大佐は、別の論文の中で「米国の航行の自由プログラムは、既定の国際秩序への侵害に対抗するための重要なツールであり続けるだろう」と解説。さらに、「このプログラムは、すべての国のために世界中の海洋で安定した法制度を維持してゆく米国のコミットメントを示している」とも記しています。

本誌は、これらの論説を通じて、緊急の課題に対する議論が各地域で活発化することを望んでいます。読者の方々のコメントをお待ちしております。FORUM スタッフ(ipdf@ipdefenseforum.com)宛に皆様のご意見やご感想をお寄せください。

よろしくお願いいたします。

FORUMスタッフ

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