インド太平洋の行方

読者の皆様、

ンド太平洋防衛フォーラムにようこそ。本巻は複合化する安保リスクの特集号です。

21 世紀においては、各国間の距離の縮小が世界規模で進んでいます。そのような環境と急激で破壊的な変化が混ざり合った結果、従来の  安全保障上の脅威を分ける境界は曖昧になりました。ここでは、そうした脅威によって国際ルールに基づく秩序が直面する課題およびそれらがインド太平洋地域にもたらす影響を分析します。

安保リスクが複合化すると脅威と競争の力学に変化が起こります。これらのリスクに対抗しその影響を軽減するために、われわれ同盟国とパートナー諸国は、地政学的な状況の文化的、経済的、政治的な
ニュアンスを理解する必要があります。

まずは、当地域全体における対宇宙能力・開発・政策の分析を行います。一部の敵国で対宇宙兵器の進化が見られるのに対し、同盟国とパートナー諸国は、それらの開発に対抗する革新的な進歩を遂げつつあります。戦略国際問題研究所(CSIS)のアナリストが詳述する通り日本および韓国では、優位性を維持するための技術開発が進められています。そうした進歩には宇宙基を保護し、ドメイン内の行動規範の概略を示す新たなプロトコルが必要となります。

太平洋の島嶼国や領土は国境を超えた犯罪の蔓延、違法漁業、激甚化する自然災害といった新たな安全保障上の脅威に直面しています。特集記事では、こうした安保リスクを軽減するための地域全体に
おける協力に成功した米国陸軍太平洋島嶼国作戦部隊の活動をご紹介します。

ニューヨーク州ホバート・アンド・ウィリアム・スミス・カレッジの周景顥(Junghau Zhou)博士は、中国共産党の最近の活動に、
国際舞台における勢力拡大の野望が表れていると主張します。中国共産党の軍事力増強、戦狼外交、積極的な政治宣伝、イデオロギー検閲、強制的な経済政策は、その見解を裏付けるものです。この攻撃に対抗するためには同盟とパートナーのネットワークが必要であることが一連の関連記事によって示されます。

ウィスコンシン大学ミルウォーキー校のシェール・ホロウィッツ(Shale Horowitz)博士は、中国共産党の軍事安保上の脅威としばしば結び付く中国の経済的脅威について、それらの脅威の軽減に向けた地域的なソリューションを提示します。米国国土安全保障調査局(U.S. Homeland Security Investigations)のジョン・F・トボン(John F. Tobon)は、闇の外国為替市場への中国の関与がインド太平洋地域に与える安全保障上の影響を明らかにします。AIスタートアップ企業のCEO兼共同設立者であるイ・ドゥワン (Doowan Lee)は、情報の武器化を進めてきた中国共産党のデジタル戦略に同盟国とパートナー諸国のネットワークがどう対抗できるかを解説します。

これらの記事が海上安保に関する地域の対話を促進することを願っています。ご意見をお待ちしております。当雑誌、ipdf@ipdefenseforum.com 宛に、皆様のご意見やご感想をお寄せください。

よろしくお願いいたします。

 

J・C・アキリーノ(J. C. AQUILINO)

米国海軍、大将

米インド太平洋軍司令官

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