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米国シンクタンクの報告書:中国共産党の資金提供により改修工事が進むカンボジア海軍基地で浚渫船を確認

ロイター

米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が2022年1月下旬に報告したところでは、中国共産党(CCP)の資金提供により建設改修工事が進められているカンボジアのリアム海軍基地で浚渫船が確認された。大型軍艦が入港するには水深の深い深海港が必要となる。

戦略国際問題研究所はカンボジア政府が1月に公開した写真や商業衛星画像に浚渫船が写っていると報告している。

同研究所のアジア海洋透明性イニシアチブ(AMTI)は、「リアム海軍基地に大型軍艦が入港できるようにするには、浚渫工事により水深の深い港湾施設を建設する必要がある。米国当局が2019年に報告したところでは、建設支援に関連して中国とカンボジアは秘密協定に調印しているが、今回の動きは同契約の一端と考えられる」と発表している。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は2019年、秘密協定にはインフラ建設支援の見返りとして中国が同基地を利用できるという内容が含まれていると報じたが、同イニシアチブもこの記事を引用している。2021年6月、カンボジアのティア・バン(Tea Bahn)国防相は自国の報道機関に対して、中国共産党はリアム海軍基地の近代化と拡張を支援するが、同施設を利用できるのは中国だけはないと表明している。

同イニシアチブが発表したところでは、2022年1月16日撮影の商用衛星画像には浚渫船2隻と引き上げた土砂を積む大型荷船が写っている。他の画像によると、この浚渫船2隻は13日から15日の間にリアム海軍基地付近に到着した模様である。1月18日にバン国防相がリアム海軍基地を訪問した際に撮影し、Facebookページに投稿した写真にも浚渫船の姿が写っていると述べた同イニシアチブは、「基地の機能が著しく改善される可能性がある」と付け加えている。

同イニシアチブはまた、「リアム海軍基地周辺は水深が浅く、現在は小型の哨戒艇しか入港できない。もし深海港ができれば、カンボジアと中国の両海軍にとってはるかに便利な基地となる」と述べている。

同イニシアチブが報告したところでは、同基地でh2021年秋から陸上での工事が続いており、その南西部に当たる複数の場所で整地が行われている。浚渫船が確認されたことと考え合わせると、「基地の大規模なインフラ整備に向けた準備が進む可能性」が考えられる。

中国共産党による南シナ海の広範な海域の領有権主張と軍事拡大に対抗する米国は、リアム海軍基地における中国共産党の建設活動に対する深刻な懸念を表明している。(写真:カンボジアのリアム海軍基地に停泊する哨戒艇を警備する水兵等)

2020年、米国政府はリアム海軍基地の建設に絡む汚職容疑で2人のカンボジア政府高官を制裁の対象に指定し、中国人民解放軍の影響力の高まりおよびカンボジア政府による人権侵害や汚職を理由にカンボジアに武器禁輸と輸出制限を課した。

 

画像提供:ロイター

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