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火山噴火の余波に苦しむトンガで救命活動を続ける米国と同盟諸国

FORUMスタッフ

2022年1月15日に発生した海底火山「フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ」の大規模噴火後、トンガ支援に向けて多国籍の取り組みが続く中、米国が派遣した米国海軍のミサイル駆逐艦「サンプソン(USS Sampson)」も救援作業に従事している。

噴火は衛星画像でも確認されており、その爆発音は遥か向こうのアラスカにまで響いた。噴火に伴い発生した津波によりトンガの村落やリゾート地が大規模な被害を被っただけでなく、遠くは日本、北米、南米でも津波や潮位変化が確認され、これまでに少なくとも3人の死者が確認されている。

米軍はミサイル駆逐艦「サンプソン」に搭載されたヘリコプターで被害状況を確認し、住民に必要物資を投下している。また、サンプソン駆逐艦はニュージーランドの補給艦「アオテアロア(HMNZS Aotearoa)」と海上補給を実施した。(写真:トンガでの災害救援活動時、ニュージーランドのアオテアロア補給艦と海上補給を実施するサンプソン駆逐艦)

米インド太平洋軍(USINDOPACOM)の広報長官を務める米国海軍のカイル・レインズ(Kyle Raines)大佐はニュースリリースを通して、米軍はサンプソン駆逐艦で「フランス、オーストラリア、ニュージーランド、英国、日本などと並んで人命救助活動に従事した」とし、「災害を受けた友好国に同盟・提携諸国が支援を提供するという多国籍アプローチには、地域の安定と安全に対する諸国の共通の価値観が如実に表れている」と述べている。

米国国際開発庁(USAID)の発表では、米国は太平洋島嶼国トンガへの緊急支援として先に拠出した1,000万円相当(10万米ドル)に加えて、2億5,000万円相当(250万米ドル)の人道援助を提供することを公約している。

他国からも続々と救援隊の派遣や支援金の供与が続いた。ジャパンタイムズ紙が報じたところでは、日本は数百人規模の自衛隊(JSDF)を派遣しただけでなく、飲料水や火山灰除去に必要な設備などの救援物資を輸送している。オーストラリア、フィジー、フランス、ニュージーランド、英国も補給船を展開した。ロイター通信の報道では、オーストラリア政府はトンガの災害支援として2億1,200万円相当(212万米ドル)を拠出すると発表した。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、FRANZ協定を締結しているフランス、オーストラリア、ニュージーランドは共同声明を発表し、「噴火と津波という二重の自然災害に直面したトンガの政府と国民は果敢に逆境に立ち向かっている。トンガは一丸となって困難な状況の打開に取り組んできた」とし、「トンガ政府が表明した要請に応えて、当3ヵ国はトンガの対応策を支える海軍・空軍資産を迅速に展開することで、哨戒飛行による調査を実施し、空路と海路を通して緊急支援活動を実施してきた。同活動には、飲料水、食品、発電・脱塩装置、電気通信装置、医療機器、衛生用具、港湾の状況を評価するための水中・水路測量の技術の提供や緊急避難所の設置が含まれる」と述べている。

中国も物資輸送などで支援活動に貢献したが、噴火後真っ先に飲料水と食料物資を供給した国は中国であると宣伝することも忘れていない。しかしロイター通信によると、この主張に確証はない。

国連人道問題調整事務所が発表したところでは、1月末までにトンガ全域の90%の電力が復旧した。

噴火後、最初に海軍艦艇で救援物資を届けたニュージーランドのジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相は、トンガのシャオシ・ソヴァレニ(Siaosi Sovaleni)首相と電話会談した際に、自国を代表してトンガ住民に対する配慮を表した。

アーダーン首相は、「ソヴァレニ首相がニュージーランドのトンガ共同体に伝えたいことがあれば、同首相の声を私自身の電話に録音すると伝えた」とInstagramに投稿している。

ソヴァレニ首相はこれに応じて、「神の慈悲、そして我々を守ってくれる神の保護に感謝している。それゆえに今も我々はこの地に立っていることができる。我々がこの困難な時期を乗り越えられるよう祈りを捧げていただきたい」と語った。

 

画像提供:ジョン・アレン(JOHN ALLEN)二等兵曹/米国海軍

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