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米国陸軍を引退したスザンヌ・ヴァレーズ=ラム（Suzanne Vares-Lum）退役少将（星章2つ）（写真参照）はイースト・ウエスト・センター（EWC/東西センター）の影響力拡大に向けた情熱を胸に、2022年1月付けでハワイのホノルルに所在する同独立研究機関の所長に正式に就任した。
1月10日、ヴァレーズ=ラム所長はセンターの所長就任演説で、「東洋と西洋の両方に接するインド太平洋の重要性はかつてないほどに高まっている。環境破壊や気候変動、権威主義国家の影響と同盟関係の緊張、腐敗、疾患、パンデミックなど、人類は世界中に甚大な結果をもたらす異例の課題に直面している」と述べている。
ヴァレーズ=ラム所長はまた、「人と人が真に相互理解を図り、十分な文化的情報に基づく専門知識に根ざした解決策を講じることで、こうした課題に対処できると、イースト・ウエスト・センターは確信している。共同研究、調査、対話という手段を用いて地域間の理解を促進するという当センターの使命が、かつてないほどの重要性を帯びているのはこのためである」とも話している。。
彼女は、同センターの所長としては初めての女性かつハワイ先住民である。同センターは、インド太平洋地域の住民や国家との良好な関係を推進し、共通の懸念事項に関する情報と分析を支援することを目的として1960年に米国議会の予算で教育機関として創設された。60余年にわたりインド太平洋地域で公共外交を実施してきた同センターは、6万5,000人が登録されている同窓組織と1,100を超える提携組織による世界的なネットワークを構築している。
ヴァレーズ=ラム所長は同センターを「平和かつ公正で繁栄する地域社会を推進する米国とインド太平洋地域の包括的な関与を実現する世界最高級の最先端施設であり、インド太平洋地域が直面している重大な課題に関するソートリーダーシップと能力開発に向けた『頼り甲斐のある』機関、また、米国、アジア、太平洋島嶼諸国間の建設的かつ生産的な関係の維持と強化を促す中枢機関、さらには、全人類が希望を寄せる研究所である。」と表現している。
国際的な代表者18名で構成される理事会を意思決定機関とする同センターは、インド太平洋地域で今日発生している問題に関する学際的な研究や大学院教育、政策立案者や学者などを育成する専門家教育を支援する無数のプログラムを通じてその使命遂行に取り組んでいる。同センターはまた、太平洋島嶼国計画を通して、諸島の生活の質の向上を促進するさまざまな活動を実施している。
豊富な専門的経験と特に兵役体験により、ヴァレーズ=ラム所長はこの新たな職務で貴重な洞察を引き出していくと考えられる。情報大隊兵として34年の軍歴を開始した同所長は、2015年に准将、2018年に少将に昇格した。2021年4月に引退するまでの軍歴の中で、米インド太平洋軍（USINDOPACOM）が司令部を置くハワイのキャンプ・H・M・スミスの戦略計画課や政策局の上級指導者を務めるなど、重要な任務を歴任してきた。
外交、経済、軍事政策の策定を通じて地域の安全性を確立・維持することを目指す米インド太平洋軍の取り組みも支援した経歴も有する。これまでに遂行してきた職務の中には、災害管理や人道支援から国土防衛に至るまでのさまさまな活動全体において、インド太平洋諸国全域の軍隊間や政治・軍事間の関係を構築・維持する責務が含まれていた。地域に影響を与える戦略・政策問題の監督にも携わっていた。
報道ウェブサイト「ホノルルシビルビート（Honolulu Civil Beat）」が報じたところでは、ヴァレーズ=ラム所長を「最も複雑な関係と課題を前進させる相乗効果と道筋を模索する接続と調整の立役者」と呼んだハワイ州のデービッド・イゲ（伊芸豊）知事は、「人類と軍隊に真の愛情と敬意を注ぐ同所長は、貢献できる要素は誰にでも備わっているという信念を持っている」と話している。
陸軍引退後に地域問題に関するコンサルタント会社を設立したヴァレーズ=ラム所長は、共同イニシアチブを主導し、リーダーシップやメンターシップ、女性、平和、安全などの課題について講演し、その提唱に注力してきた。
地域社会の先導者として活躍する同所長は、米国赤十字社・太平洋諸島地域支部などのさまざまな非営利団体の役員を務めているだけでなく、ハワイの経済の多様化、労働力開発、土地や水の使用などの問題に関する地域社会の対話推進にも取り組んできた。また、ハワイ商工会議所軍事評議会の戦略顧問を務めた経歴を持つ。
画像提供：イースト・ウエスト・センター
