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平和維持軍の空輸支援など防衛関係を深化するオーストラリアとベトナム

トム・アブケ(Tom Abke)

2021年11月、2022年も国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に参加するベトナム人民軍にオーストラリア国防軍が輸送支援を提供することが再確認された後、オーストラリアとベトナムはさまざまな分野を網羅する3年間防衛協力計画の承認に至った。

オーストラリア国防省報道官はFORUMに対して、「越・豪戦略的パートナーシップを結んでいるベトナムはオーストラリアの重要な防衛提携国である」とし、「ASEAN[東南アジア諸国連合]を中核として両国は共に包摂的で回復力のある開かれた地域の確立に強固に取り組んでいる」と述べている。

2021年12月1日に仮想形式で開催された二国間の第5回防衛政策対話で同計画が合意に至った。報道官が付け加えて発表したところでは、両国の防衛協力体制には平和維持の他、教育と訓練、海上安保、防衛産業における協力が含まれており、2022年から24年までを視野に入れた同計画にも上記分野における協力が盛り込まれている。

オーストラリア国防省の発表によると、2021年11月11日にベトナム国防相のファン・バン・ザン(Phan Van Giang)大将との間で開催された仮想会議においてピーター・ダットン豪国防相は、オーストラリアがベトナム国連平和維持軍の空輸を支援することを公約している。

ベトナムの野戦病院部隊が国連南スーダン共和国ミッションに参加した2018年以来、オーストラリアは過去3回にわたりベトナムに戦略的な空輸支援を提供してきたと、同国防省は発表している。(写真:ベトナム国連平和維持軍を空輸したオーストラリア空軍(RAAF)輸送機の前で写真撮影するオーストラリアとベトナムの外交官と兵士等)

ダットン国防相は、「オーストラリアによる空輸支援は両国の戦略的提携体制の堅牢性だけでなく、世界安保の積極的な推進要素となる包摂的で回復力のある開かれた地域確立に対する共通の視点を反映するものである」と話している。

ベトナム国防省によると、今回の防衛政策対話にはベトナム国防次官のホアン・スアン・チェン(Hoang Xuan Chien)ベトナム人民軍上将およびオーストラリアの戦略的政策と国防産業を担当するピーター・テッシュ(Peter Tesch)豪国防事務次官も参加している。議論では南シナ海における平和と安定および航行の自由と領空通過権を維持すること、並びに1982年の国連海洋法条約(海洋法に関する国際連合条約/UNCLOS)を含む国際法に準拠して海事紛争を解決することの重要性が強調された。

両国は代表団の交換、特に高官の相互訪問、そして訓練、国連平和維持活動、軍事医療などの分野における防衛協力体制を強化することで合意したと、ベトナム国防省は発表している。

テッシュ国防事務次官が発表したところでは、2022年、平和維持軍として医療基準のレベル2(軽傷)に対応するベトナム野戦病院部隊をオーストラリア空軍が現地に空輸するだけでなく、オーストラリアはベトナムによる平和維持活動を強化できる機器を寄付する予定となっている。オーストラリアの支援に対し、チェン(Hoang Xuan Chien)上将は政府を代表して感謝の意を表明した。

豪外務貿易省によると、ベトナム平和維持軍に対するオーストラリアの支援は、ベトナム固有の防衛協力プログラムを通じて資金提供されているものである。

オーストラリアは同プログラムを通して、ベトナム人民軍を対象とした豪防衛機関での短期・長期の専門能力開発コースの提供およびハノイへの移動訓練隊の派遣といった相互軍事要員訓練、並びに英語研修、テロ対策協力、年次寄港による海上安保協力という形態でベトナムを支援している。

在ベトナム・オーストラリア大使館によると、両国間の防衛関係はオーストラリアがハノイに駐在武官を派遣した1999年に公式に確立された。2010年に両国が防衛協力に関する覚書(MOU)に署名して以来、同協力関係は著しく成長を遂げている。

オーストラリア国防軍とベトナム人民軍の相互関与には、海軍や特殊部隊の合同演習が含まれる。

トム・アブケは、シンガポール発信のFORUM寄稿者。

 

画像提供:オーストラリア国防省

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