オーストラリアと韓国が首脳会談で防衛協定に署名
AP通信
韓国の文在寅(Moon Jae-in)大統領が2021年12月中旬に新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来初めてオーストラリアを訪問した外国首脳として818億円相当(7億2000万米ドル)の豪韓防衛協定に調印した。
この協定では、韓国の防衛会社ハンファ(Hanwha)社がオーストラリア陸軍に砲兵器や補給車両、レーダーを提供することになる。
この防衛協定はオーストラリアがインド太平洋諸国との間で結んだ協定のうち最大規模のものであり、オーストラリアと中華人民共和国(中国)との間で緊張が高まった時期に締結されている。オーストラリアは最近英国および米国と共同で原子力潜水艦を建造するパートナーシップ協定を発表した。
文大統領は訪問中にスコット・モリソン(Scott Morrison)豪首相と会談し、両首脳は両国の正式な関係を「包括的な戦略的パートナーシップ」に昇格させることに合意した。(写真:2021年12月中旬にオーストラリアのキャンベラで会談する韓国の文在寅大統領(左)とオーストラリアのスコット・モリソン首相(右))
また、両首脳は水素を含むクリーンエネルギー技術の開発、およびオーストラリアが豊富に保有するクリティカルメタルの供給を促進するために協力すると述べた。
モリソン首相は、新しい防衛契約によりオーストラリアで運営されているハンファ社の一部門で約300人の雇用が創出されると主張。
モリソン首相は「今日署名された契約は、我々が考える韓国の防衛産業の能力について多くを語っていると思う」と述べている。
文大統領は、韓国は地政学的な見解に関してはオーストラリアと同様の価値観を持っているが、北朝鮮との平和の追求のためには中国との関係が重要であると述べている。
「したがって、韓国は米国との堅固な同盟と同時に中国との同盟にも焦点を当てています。我々は調和のとれた関係を望んでいます」と文大統領は名言した。
オーストラリアのピーター・ダットン(Peter Dutton)国防大臣は、オーストラリア政府はこの地域の安全を維持することに責任をもっており、新しい協定はオーストラリア陸軍の近代化に役立つと述べている。
ダットン国防大臣は「新型車両の主な能力は発射後の素早い移動により敵の反撃を防ぐことにあります。このプロジェクトはオーストラリアの砲兵隊の火力とセキュリティのレベルを大幅に向上させることを意味します」とコメントした。
2014年から発効している自由貿易協定に基づき、韓国はオーストラリアの第4の貿易相手国であり輸出市場でもある。両国は2021年に国交樹立60周年を迎えている。
文大統領は、中国を唯一の主要な同盟国であり経済的生命線であるとみなす北朝鮮との核問題の解決と平和を安定させるために、中国は重要な役割を担っていると述べている。
北朝鮮との核協議の行き詰まりを打開するために、休戦協定だけでいまだ平和条約が締結されていない朝鮮戦争を韓国、米国および中国が正式に終結させることを宣言する可能性を探っているのだ。
だが彼によると、その足かせとなっているのは北朝鮮による反対である。
「そのために、韓国と北朝鮮間の宣言および北朝鮮とアメリカ間の宣言についての議論や交渉を始めることができない。私たちは議論が開始されることを願っている。そのために努力しているのだ」と文大統領は述べている。
中国外務省の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は、オーストラリアが防衛を強化しようとしていることを批判し、「民主主義と自由の名の下に注意をそらし、イデオロギー的な線引きをして、架空の敵を作り上げようとしている」と非難した。
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