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韓国が宇宙防衛計画を加速

フェリックス・キム(Felix Kim)

北朝鮮からの脅威に対応するため、韓国は米国の協力の下で防衛に焦点を当てた宇宙計画を強化している。

韓国航空宇宙研究院(KARI)は、2021年10月21日に韓国スペース・ローンチ・ヴィークル-IIとも呼ばれる国産3段式ロケットであるヌリを打ち上げた。搭載していた模擬衛星は軌道に乗せられなかったが、ヌリ(写真)は目的高度である700キロメートルに到達した。

韓国の文在寅(Moon Jae-in)大統領は記者団に、「ヌリの試験発射が完了しました。私はこれを誇りに思います。残念ながら、目標を完全に達成することはできませんでしたが、初めての発射にもかかわらず高く称賛に値する成果を上げました」と述べている。

韓国政府系報道機関の聯合ニュース(Yonhap News Agency)の報道によると、新たに開発されたロケットの30%しか目標高度に到達していないことを考えると、目標高度に到達したことは注目に値する。

成均館大学校(Sung Kyun Kwan University)の成均グローバル戦略研究所(Sungkyun Institute for Global Strategy)の上級研究員である金在烨(Kim Jae Yeop)氏はFORUMにに対して、韓国の宇宙イノベーションは主に北朝鮮の大量破壊兵器の脅威によって動機づけられているとコメントしている。

金氏は、「有人および無人航空機システムなどの他の手段と比較して、宇宙ベースの諜報資産はそのような脅威をより迅速に、継続して正確に監視するための最適な選択肢です」と説明した。

金氏は、75トン級の打ち上げエンジンを搭載したヌリロケットに加えて、韓国はアリラン計画と呼ばれる一連の多目的衛星も配備していると述べている。衛星には高解像度の電気光学センサーと合成開口レーダーが搭載されている。425計画と呼ばれる提案では、2020年代半ばまでに軍の監視能力を向上させるための人工衛星をさらに5機作成すると明記されている。

文大統領は2021年6月のジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領との首脳会談後、韓国は米国やその他の国を含む国際社会との宇宙協力を拡大する意向を表明した。

金氏は、「そのような取り組みはすでに進行中です」と述べた。このような取り組みには、米軍が提供した宇宙データからリアルタイムの情報を受信するために2015年に設立された大韓民国(韓国)空軍の宇宙状況認識室や韓国の米空軍基地で任務を遂行するために米宇宙軍が配備した8人のチームなどが含まれる。

また、韓国空軍と米宇宙軍の高官が2021年8月に正式な宇宙安全保障パートナーシップ協定に署名した。この協定には宇宙政策、人事交流、情報共有や技術協力などに関する共同諮問委員会による定期的な会合が含まれる。

金氏は、「その結果、韓国軍は宇宙空間での統合防衛能力を強化することを目的とした共同軍事訓練に米国宇宙軍と共に参加することが予定されている」と述べている。

ブルームバーグの報道によると、文大統領とバイデン大統領との首脳会談では韓国のミサイル開発を射程800キロメートル未満のものに限定する二国間指針も撤廃したという。金氏は、これによりKARIは弾頭重量や射程に制限を設けずに固体燃料宇宙ロケットを開発することができると述べている。

KARIはヌリの開発と同時に固体燃料の玄武(Hyunmoo)弾道ミサイルシリーズを開発している。金氏は、シリーズの最新版は1,000キログラムのバンカーバスター弾頭が搭載可能であると述べている。

金氏は、「韓国は宇宙における韓国の軍事力と同地域における中国や他の列強の軍事力とのギャップを克服する必要がある。そうしなければ、このギャップは朝鮮半島の平和と安全に大きな脅威をもたらす」と締めくくった。

フェリックス・キムは、韓国ソウル発信のFORUM寄稿者。

 

画像提供:韓国航空宇宙研究院

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